仮想通貨相場分析【12月23日】
仮想通貨市場の概況:週明けの急落と現在の立ち位置
仮想通貨市場は火曜日にかけて大幅な調整局面を迎えました。ビットコイン(BTC)は月曜日に一時、心理的節目である9万ドルを突破する勢いを見せましたが、その後は失速。現在は8万8,000ドルのラインを下回る水準で推移しています。
市場全体の動きを見ても、主要なデジタル資産の多くが下落に転じています。仮想通貨全体の時価総額は約3兆400億ドル規模となっており、過去24時間で2.4%の減少を記録しました。具体的な銘柄の動きとしては、ビットコインが87,383ドル付近で取引され、1日で約2.4%の下落。
一方、イーサリアム(ETH)は2,957ドル付近を推移しており、約2.7%の下落を見せています。
2月22日時点の米国ETF資金動向とアルトコインの逆行高
最新の米国ETF(上場投資信託)の資金動向を確認すると、ビットコインとアルトコインで対照的な動きが見られます。
·ビットコインETF($BTC ETF):1億4,200万ドルの純流出を記録。
·BlackRock(ブラックロック)の「IBIT」:唯一、600万ドルの流入を維持し、孤軍奮闘の様相を呈しています。
一方で、アルトコイン勢は全面高に近い流入を見せており、ビットコイン以外の通貨への関心が高まっていることが伺えます。
·イーサリアム($ETH):8,459万ドルの流入。
·リップル($XRP):4,389万ドルの流入。
·ソラナ($SOL):747万ドルの流入。
以上のデータから判断すると、市場全体ではビットコインからの利益確定売りが進む一方で、将来性を期待された主要なアルトコイン銘柄には着実な資金流入が続いていることが浮き彫りになっています。
アナリストによる短期的な市場展望と流動性の分析
CPキャピタルのアナリストは、現在の市場の不安定さについて「休暇中の流動性の低下」と「年末特有の税控除を目的とした損失回収(損出し)」が短期的なボラティリティを増幅させている可能性を示唆しました。
歴史的なアノマリー(経験則)に照らせば、こうした年末の調整的な動きは、1月に市場が完全に再開すると同時に反転する傾向があります。アナリストらは現状を次のように分析しています。
「現在の仮想通貨市場は、レバレッジの低下、機械的なアルゴリズムによる資金の流れ、そして投資家間での相反する見解の高まりという三者の間で板挟みになっています。その結果として、当面は特定のレンジ内での推移に限定される可能性が高いでしょう」
国内取引所における注目銘柄と2025年後半の投資戦略
2025年も残すところあと僅かとなりました。ここで、国内取引所である「ビットバンク」で取り扱われている銘柄を基に、私が現在注目し、投資を検討している銘柄についてその理由と共に詳しくお伝えします。
·ビットコイン(BTC):市場の基軸としての揺るぎない地位。
·イーサリアム(ETH):スマートコントラクトのプラットフォームとして、ETF化を含めた長期的な需要。
·ソラナ(SOL):現アメリカ大統領ドナルド·トランプ氏に関連するトランプコインの発行元としての側面も持ち、仮想通貨市場において第3の地位を確固たるものにしつつあります。
·BNB:世界最大の取引所であるバイナンス(Binance)のネイティブコインです。市場全体が上昇するたびに過去最高値を更新する強さを見せており、非常に有望な印象を受けます。また、BNBはバイナンスでの新規通貨購入の抽選券(ローンチパッド)としての役割も担っており、実需に基づいた高い需要が継続しています。
※その他の注目銘柄については、有料部分にて詳細にご紹介しております。
※投資に関する情報はあくまで一つの視点であり、情報を鵜呑みにすることなく、ご自身が投資する通貨については必ずご自身で入念に調べたうえで、最終的な投資判断を行われることを強くお勧めします。
日本の仮想通貨税制改正:2028年「分離課税」導入の光と影
2028年から、日本国内でも仮想通貨の課税方法が「申告分離課税(20%)」へ変更される予定です。自民党や維新の会が2025年12月19日に発表した税制改正大綱には、待望の変更が含まれる一方で、投資家からは批判的な声も多く上がっています。
税制改正の主な要約とメリット
·朗報:これまで最大55%が課せられていた「雑所得(総合課税)」から、株式やFXと同じ一律20%の「申告分離課税」に変更されます。
·損失繰越:3年間の損失繰越控除が導入されます。これにより、ある年に出した損失を翌年以降の利益と相殺することが可能になります。
·適用時期:金融商品取引法の改正を経て、2028年1月からの施行が有力視されています。
残念な点と制限事項(批判が集まっているポイント)
·対象の限定:この20%課税が適用されるのは、あくまで「国内の登録済み取引所(KYC·本人確認必須の中央集権型)」で売却した場合に限られる見込みです。海外取引所、DEX(分散型取引所)、DeFiといった非中央集権的なプラットフォームでの利益は、引き続き最大55%の重税が課される可能性が高いとされています。
·銘柄の制限:対象となる銘柄も、金融商品として認可された主要通貨(BTC、ETHなど)に限定される恐れがあります。独自の開示体制が整っていない中小型の銘柄(アルトコイン)については、適用外となる懸念も拭えません。
さらに、仮想通貨ETFの国内解禁についても、この税制変更の時期に合わせて2028年まで先送りされる公算が高まっています。
また、実務上の大きな懸念として「国内取引所で利益確定した際、その通貨が国内で購入されたものであることを証明しなければならない」という議論も浮上しています。これが義務化されれば、海外で購入して国内へ送金した資産の取り扱いが極めて煩雑になるでしょう。
理想的には「国内で日本円に換金した時点ですべて分離課税を適用する」「仮想通貨同士の交換(コンバート)を非課税とする」といった簡素な仕組みが望まれますが、現状はまだ議論の途上です。とはいえ、国内取引所のみで完結して取引を行っているライトユーザーにとっては、間違いなく大きな朗報と言えます。
セキュリティの脅威:北朝鮮ハッカー集団による資産奪取の深刻さ
Chainalysisの調査報告によると、北朝鮮のハッカー集団は2025年に合計で20億2,000万ドル相当もの暗号資産を盗み出しました。これは2024年の実績と比較して、さらに6億8,100万ドルも増加している計算になります。
こうした盗まれた資金が北朝鮮の軍事費や核開発に転用されている可能性を考えると、国際社会として、また一人のユーザーとして「なんとかしなければならない」という危機感を抱かざるを得ません。自ら価値あるサービスを生み出す努力をせず、他者が築き上げた富を盗むことに固執する勢力に対し、私たちができる最善の防御策はセキュリティ意識を極限まで高めることです。強固なウォレット管理や2段階認証の徹底、不審なリンクを踏まないといった基本的な対策こそが、こうした国々に対する重要な対抗措置となります。
日本経済の岐路:利上げ容認か円安の加速か
元ゴールドマン·サックスのチーフ為替ストラテジストは、現在の日本経済について非常に厳しい見方を示しています。
「日本はもはや『詰んでいる』状態にある。選択肢は二つしかない。一つは、金利の上昇を容認して国債の利払い負担増による財政危機に直面すること。もう一つは、日銀を介して無理やり金利を低く抑え込み、その結果として円が下落し続けるという悪循環に陥ることだ。本日見られた円の急落は、今後日本に待ち受けている深刻な事態の前触れに過ぎないと言えるだろう」
仮想通貨投資家にとっても、円の価値が毀損することは資産防衛の観点から無視できない問題となっています。
海外大手Bybit(バイビット)の日本市場撤退と、その波紋
2025年12月22日、海外取引所大手であるBybitから、2026年より日本居住者向けのサービスを段階的に停止するという衝撃的な発表がありました。
「お客様は日本居住者に該当いたします。Bybitは日本の法規制を遵守するための積極的な取り組みの一環として、日本在住のお客様へのサービス提供を終了し、段階的にアカウント制限を実施することを決定いたしました」
今回の発表を受けて、市場では「Bybitが本格的に国内進出(日本ライセンス取得)を果たすのではないか」との憶測が飛び交っています。しかし、国内に進出する場合は金融庁の厳格な監視下に入るため、これまでのような海外拠点から日本人ユーザーを抱える形態を維持することはできません。そのためのサービス停止措置であると考えられます。
このニュースがなぜこれほど大きな注目を集めているかというと、日本の仮想通貨投資家の多くが、その利便性から海外取引所をメインで利用しているためです。海外取引所には「ハッキング時の資産保護が国内ほど保証されていない」というリスクがある反面、「数多くの新銘柄がいち早く上場される」「流動性が非常に高く、大口の取引もスムーズ」という大きなメリットがあります。仮想通貨のトレンド変化は極めて速く、最新の流れに乗りたい投資家にとって、国内取引所の限定的なラインナップでは物足りないのが実情です。
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