100万円復活で見通しは明るい
不正アクセスにより顧客資産が流出した大手取引所コインチェックが事業継続との見通しから再び地合いが好転し、100万円を突破しました。ここからは昨年から続く緩やかな下落チャネルの上限を目指します。
■底打ち感から上昇トレンドに転換
前回指摘した通り、テザー疑惑など相場が噂話で腑に落ちない売られ方をする時は、今買っている参加者を振り落すための最後の絞りだしのステージとなります。このように不可解な下落で買いのポジションが一掃された結果、65万円で大きなひげをつけそこで大きく反発。これが底入れのシグナルとなり、その後日足のMACDがクロス。しばらく上値が重く100万円目前で停滞する展開でしたが、週足でローソク足が好転した事を受け次第に買いの勢いが増し、ようやく100万円台を回復しました。
この一週間は明確な材料がなかったものの、このような相場心理の変化やテクニカルを手掛かりに、相場に勢いが戻りました。
■不正アクセス被害の余波
下落の最中はセキュリティへの脆弱性が残る仮想通貨が今後法定通貨に代わる存在まで発展できるのか様々な議論が交わされました。しかし冷静に考えれば今回の被害で露呈したのは取引所によるセキュリティ対策の必要性であり、ブロックチェーン自体の危険性が見えたわけではない事を認識しておくべきです。
また今回の件を受けて投資家保護を目的とする公的規制や自主規制が強化される可能性が高く、そうなれば仮想通貨への信頼も徐々に回復していく事が考えられます。仮想通貨の実用化に向けて規制機関が積極的に動き出したと解釈されれば、マーケットにとってはポジティブな材料です。
■2月の展望
100万円を再び突破すると同時に、1月ぶりに日足のボリンジャーバンド中心線を上抜けしました。この中心線が上向きになると上昇トレンドが固まりそう(上図)ですが、さすがに心理的節目を突破してもしばらくは我慢をしてストップを入れないプレーヤーが多いので、大きく値を上げるのはしばらく後、例えば10,000ドルを突破した後からだと考えています。
また、4時間足を見ると100万円を突破すると同時にスクイーズしていた(平行だった)ボリンジャーバンドがエクスパンション(拡大)している事が伺えます。このスクイーズからエクスパンションのテクニカルパターンは高確率でトレンドが継続するシグナルです。ボリンジャーバンドが平行しているタイミングでは売り買いがガチガチに拮抗した状態でポジションが溜まっていくのに対し、これが片側に抜けると損切りが起こり、損切りが損切りを生み、ドミノ倒し的にトレンドが発生するというのがその理由です。このようなトレンドが終了するのは明確な材料が出るか損切りが一段落するタイミングですが、BTC相場の場合ファンダメンタル的な材料がないためしばらくこのトレンドは続くと見ています。
目標は昨年末から続く下落チャネルの上限です。
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【執筆者】
河田 西欧(カワダ サイオウ)
トレイダーズ証券市場部ディーリング課
スイス・ジュネーブ生まれ。慶應義塾大学卒。
世界各国を旅した経験から実体験に根ざしたファンメンタルズ分析は説得力がある。
学生時に学んだ行動経済学を活かし、市場参加者の心理的バイアスを理論的に分析しトレードに活かす。
趣味は将棋でアマ高段者の腕前。中盤の駆け引きは相場の次の一手を読む時にも活かしている。
「大衆は常に間違っている」が信条。
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