負けトレードから脱却するための逆算的方法はこれだ!(中編)
― 勝てるようになるための損切り方法とは
前回の前編では、日本のFX投資家の利益と損失の現状をご紹介し、勝ちトレーダーになるためには相場では「長く継続すること」の重要性を示した。今回は中編として「資産を大きく減らさないための損切り方法」についてご紹介したい。
なお、損切りについては「できる」「できない」の区分ができるが、「損切りができない方のための損切りができる方法」という内容については今回は割愛して、損切りはできるけれども資産が目減りしているばかりの方を対象に「どのような損切りを行えば、損失を大きくしないで済むのか、に焦点を絞って述べたいと思う。
― 利食い期待値ではなくリスクから考えることが重要
早速であるが、結論から申し上げると、それは「2%ルール」もしくは「1%ルール」の実行である。この答えを聞いて「なんだ、そんなこと知っているよ」と思う方もいるかもしれない。しかし、このルールを知っていても、きちんと実行している投資家は実はそれほど多くはいない。
私の教材を購入される方の多くは、これまでなかなか相場で勝てなかった方が多数を占めるが、この「2%ルール」もしくは「1%ルール」をちゃんと自身の取引ルールとして決めてきちんと実行している方は、その後損切りと利食いを繰り返しながらも、トータルでプラスになってきている。なぜプラスになってくるのか。
それは、「増やすこと以上に大きく減らさない」からである。「大きく減らさない」ことを継続している間に「大きく増やす機会がある」ので、結局はトータルでプラスになっているのである。
― 2%ルールを実行した場合の資産の減り具合
では、ここからは具体的に数値を示しながら検証してみたい。まずは「2%ルール」からである。2%ルールというのは「1回のトレードの損切り額は、資産の2%以内に収める」ということである。
例えば、分かりやすく投資資金を100万円とした場合で見てみたい。投資資金が100万円の場合、その2%は20,000円であるので、その際のトレードの損失額は最大で20,000円に収めるということである。仮にトレードがドル円やポンド円といった対円通貨ペアでの取引の場合、取引量が1万通貨なら損切幅は200pips以内であり、これが10万通貨なら損切幅は20pips以内といった具合である。
※1回のトレードでの損切幅が200pipsというのはかなり大きな数値であるので、
中長期をメインにトレードしている場合以外は避けたほうがいい。
そこで、以下では2%ルールを行って、仮に10回連続して損切りとなった場合、資産はどのように減っていくのか。1回ずつ見てみたい。
損切り1回目:980,000円、損切り2回目:960,400円、損切り3回目:941,192円、損切り4回目:922,368円、損切り5回目:903,921円、損切り6回目:885,842円、損切り7回目:868,126円、損切り8回目:850,763円、損切り9回目:833,748円、損切り10回目:817,073円
仮に10回連続して損切りとなったとしても、資産の目減りは20%以内に収まるのである。投資経験がある方なら分かると思うが、10回連続して相場で勝てる(利食う)のが非常に難しいように、10回連続して相場で負ける(損切る)のも非常に難しい。
※もし仮に10回連続して相場で負けている方がいれば、
それはトレード方法を見直す必要があると個人的には思う。
話を戻してもう一度申し上げるが、仮に10回連続して損切りとなったとしても、資産の目減りは20%以内に収まるのである。この程度の減少ならば、十分回復は可能であるが、多くの負けている投資家は1回の損切り額が大き過ぎるために、1回、もしくは数回の損切りで回復不可能になってしまい、相場からの退場を余儀なくされている。
ちなみに、仮に1回の取引における損切り額が10%とした場合の、資産の減少具合は次のとおりである。
― 10%ルールの場合、どれだけ資産に影響を与えるのか
損切り1回目:900,000円、損切り2回目:810,000円、損切り3回目:729,000円、損切り4回目:656,100円、損切り5回目:590,490円、損切り6回目:531,441円、損切り7回目:478,297円、損切り8回目:430,467円、損切り9回目:387,420円、損切り10回目:348,678円
実に、10回連続の損切りで資産は65%減となってしまうのである。実際のところ、損切りを我慢する投資家の1回の損切りは10%で収まっていないことが多いので、もっと目減りは早くなる。
多くの個人投資家は、利食いを前提としてトレードをしている場合が多いが、相場において絶対的に確実なものがない以上、トレードにおいても、そのリスクとして損切りを前提とするくらいの内容で取り組むことが大切である。
因みに、1%ルールで行った場合はどうなるのか、以下で見てみたい。
― 1%ルールを実行した場合の資産の減り具合とは
損切り1回目:990,000円、損切り2回目:980,100円、損切り3回目:970,299円、損切り4回目:960,596円、損切り5回目:950,990円、損切り6回目:941,480円、損切り7回目:932,065円、損切り8回目:922,745円、損切り9回目:913,517円、損切り10回目:904,382円
なんと「1%ルール」で実行すれば、10回連続の損切りでも資産は90%以上残るのである。これであれば、次のトレードに悪影響を与えることはないのであるし、いつでも回復逆転は可能である。
その意味からも「損切りは早めに」というのは真実である、ということが分かる。あとは「資産の目減りを抑えながら、どのような方法を使って増やしていけばいいのか」ということである。それについては紙面の都合上、後編にて詳細をご紹介したいと思うが、キーワードは「リスクリワード」である。2種類の使い方があるこのリスクリワードの詳細を後編にてご紹介する予定である。
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