EA開発会社さんレポート 株式会社マットキャピタルマネージメント
MetaTtrader4用のExpert Adviser(略してEAといわれることが多い。MetaTtrader4上で稼働するストラテジーファイルのこと。)やMirror Traderの中に載っているストラテジーなどを開発する会社や個人は、既に日本国内にも一定数が存在し活躍している。
それら開発者は、どのような経歴で、どのようなトレードや開発を行い、投資結果はどうなのかといったことを、取材を通して明らかにしていく。
今後、それら開発する人の紹介記事をお届けする。
第一回目は、外国為替取引の経験がある投資家であれば知らない人はいないだろう今井雅人氏(マット今井)が代表を務める株式会社マットキャピタルマネージメント。
同社では、ストラテジー開発部署の遠藤氏をはじめチームで開発に取り組んでいる。
以下では、その取り組みを聞いた。
-まず、外国為替取引に関連するサービスを多数手掛けている御社は、どのような経緯で創業され業務を拡大されてきたのかを教えてください。
遠藤
元々、社長の今井は三和銀行に入行し、他行と統合後のUFJ銀行では、為替部門統括次長兼チーフディーラーとして2004年3月まで在籍していました。
当社が業務を開始しようとしていた頃の日本の投資家にとっての投資対象といえば株式でした。
外国為替取引の本格的普及はこれからという環境にあって、為替畑を歩んできた者の視点でマクロの観点からマーケットや日本を見るうちに、日本人がものすごく内向きになってしまっていると感じました。
そこで、外国為替相場というものを通じてもっと海外にいろいろ目を向けて欲しいという気持ちから、外国為替取引の普及活動を開始しました。
当初は、個人投資家や外国為替取引会社などへの講演会、レポート提供などを行っていましたが、そのうちに、外国為替取引を中心とした、株・債券など国際金融専門情報にニーズがあるということがわかり、長年に渡り外国為替取引のディーリング業務を経験した者が複数在籍している、グループ会社のグローバルインフォ株式会社で2006年にニュース配信を開始しました。
それと並行して、当社でもほぼ同時期にストラテジーの開発や売買シグナルの配信をスタートし、現在も外国為替取引会社を中心に提供をしています。
-正にディーリングのプロフェッショナルである御社が、ストラテジー開発を手掛けられるのはごく自然なことといえますが、その経緯はどのようなものだったのですか?
遠藤
ストラテジー開発は、当時、外国為替取引会社から売買シグナルをWeb上に表示したいという要望であったり、あるいは、個人投資家から当社が運営する携帯サイトで売買シグナルを配信して欲しいといったニーズが高まってきたことが始まりです。
過去のディーリング業務の中で積み上げてきた様々な売買ロジックを使って開発して行こうということで、開発エンジニアと共同でストラテジーを作って行きました。
-開発の体制、方法はどのようなものですか。
遠藤
ストラテジー開発部署は、私をはじめ数人のメンバーで構成されていまして、外国為替取引会社などから、こういうストラテジーが欲しい。通貨ペアはこれでといった大凡の要望をいただき、その線に沿ってメンバーで協議します。
そこで立案された売買ロジックを開発エンジニアがソースコードに書きます。
その後、ヒストリカルデータを使って何度も検証を繰り返し精度を上げ、最終的に、一番良い検証結果が出るストラテジー、通貨ペア、時間足を採用するというアプローチです。
ここでいう何度も検証を繰り返す作業というのは、開発をする方であればお解りいただけると思いますが、非常に地道な作業なんです。
-ストラテジー開発を行う上での御社のポリシー、基本方針や特徴といったものはどのようなものですか?
遠藤
やはり、我々のディーリング経験から、至極シンプルなロジックがあらゆる相場状態に適合できる。だからシンプルであることがベストであると考えています。
そして、大切なことは資産を増やすことであり勝率にはこだわらない。
ドローダウンを起こさず、資産の増加曲線が右肩上がりになること。
また、もう一つ重要なこととして、例えばギリシャショック、アジア通貨危機、サブプライム危機も金融行政の緩みが起こした現象で、大きな危機のほとんどは政治が起点となっています。
ですから、政治などマクロの観点からマーケットを見て判断し、円安に動くときは円安に強いストラテジーを採用するなど、そのタイミングのマーケットにあったストラテジーを採用する判断、提案ができるということがあります。
-シンプルなストラテジーということですが、代表的なロジックはどんなものですか?
遠藤
MACDのストラテジーを例に上げますと、異なるパラメータのMACDインジケータを2つ使用します。MACDの基準線、シグナル線の位置関係で買い、売りサインを判定します。2つのMACDのサインが同一方向であった時にエントリーします。損益レシオが1を超えている利大損小のストラテジーに仕上がっていることがリリースの条件です。
この様に、至極シンプルなシステムといえると思います。
-多くの外国為替取引会社が提供する取引システムで、御社のストラテジーを目にしていますが、今までに開発なさったストラテジーの実績や実例を教えていただけますか?
遠藤
ある会社のMirror Trader で、2011年4月8日時点で、Tスコア(Mirror Traderのストラテジー測定基準)9.72をマークし世界一位のストラテジーとなりました。
また、ユーロ円のストラテジーが人気ランキングにおいて2012年7月2位、8月2位、9月3位にランクインしています。
売買シグナルの配信では、ドル円のオシレーター系シグナルが2011年2月から2011年9月まで、8カ月連続でプラスを獲得したという実績もあります。
-最後に、為替取引を行う投資家へのメッセージをお願いします。
遠藤
投資やトレードはそんなに簡単なものではありません。
必勝法があるわけではなく、ちゃんと勉強しないと難しい、甘い世界ではありません。
しかしながら、世界中で、何が起きるのだろうかと予想して相場を考えるのは純粋に楽しいものです。自分の予想が当たって儲かったらもっともっと楽しく、それこそが相場の醍醐味です。
ストラテジーを使用するトレードを行う場合も、マーケットをはじめ関連する様々な事柄を勉強し世界中で何が起きるだろうと予測して、ストラテジーを停止したり使用する判断を適切に行っていただきたいと思います。
株式会社マットキャピタルマネージメント
住所 〒105-0003
東京都港区西新橋3-24-8
代表取締役 今井雅人
投資助言・代理業 登録番号 関東財務局長 第1074号