【 注意喚起 】「AIシステム」の甘い言葉に潜む落とし穴:見極め方と自己防衛策。AI開発者経験のある 私が思うこと。
近年、「AIシステム」という言葉は、投資分野から私たちの日常生活に至るまで、いたるところで目にするようになりました。
まるでAIが私たちの生活のあらゆる側面を支配しているかのような錯覚さえ覚えるほどです。
しかし、この「AI開発」という言葉の裏側には、想像を絶するほど長く、困難な道のりがあります。
皆さんがよくご存知のChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)の根幹をなす自然言語処理の技術は、実は1950年代から研究が始まりました。
1990年代の統計的機械翻訳の誕生から、ニューラルネットワーク、そして画期的なTransformerアーキテクチャを経て、ようやく現代のLLMが登場したのです。
これまでのAIの進化は、その時代の最高の知性と天才たちの努力が結集された結果です。
しかし残念ながら、そのAIの進歩を悪用し、AIの利用を偽装したり、AIであるかのように装って商品を販売したりするケースが後を絶ちません。
特に、投資分野では、その悪質な手口が顕著に見られます。
AI開発の経験がないと見破るのが難しい手口も少なくありません。
投資ツールにおける「偽AI」の巧妙な手口
たとえば、MT4やMT5といった取引プラットフォームで使われるMQL言語で「AI開発をした」と謳う業者がいたとしましょう。
率直に言って、MQL言語単体で本格的なAI開発を行うのは非現実的です。その理由はいくつかあります。
必要なライブラリや環境がない: 複雑なAIモデルの学習や推論には、専用のライブラリや計算環境が不可欠です。MQLにはそれが備わっていません。
計算負荷への不向き: MQLは、大量のデータ処理や深層学習のような計算負荷の高いタスクには全く向いていません。AI開発、特に深層学習には、GPU(グラフィック処理装置)を活用できる環境が必須となることが多く、MQLではそうした環境を利用できません。
確かに、外部でAI開発環境を整え、そこで学習させた結果をMQLに送るという代替案は理論上可能です。
しかし、これは莫大なコストがかかり、実用的な精度を維持するのが非常に困難であるため、現実的ではありません。
だからこそ、私は「AIシステム」として直接販売されている投資ツールに対して懐疑的にならざるを得ません。
AIに計算させた数値を元にシステムを開発したり、AIが導きだした、何かしらの優位性を表現するために複数のシステムでそのポイントを狙えるように設計し、
随時学習型のAIシステムの販売はしておりません。
では、彼らはどのようにして利用者を「AIが動いている」と信じ込ませるのでしょうか?
彼らはMQLのソースコード内で、システムをチャートに導入した後に、まるでその場で計算しているかのような画面を表示させるコードを組み込みます。
そして、この「計算中」の画面が表示される時間を、例えば10秒から60秒の間でランダムに変化させるのです。
これにより、毎回表示が消えるタイミングが異なるため、利用者は「今回はAIの学習に時間がかかったんだな」と勘違いしてしまいます。
しかし、実際のロジックには何の違いもありません。
また、過去に表示されたシグナルや何らかの描写については、「過去に描画されたものは保存される設計になっている」という説明で利用者を納得させます。
しかしこれも、実際は単に決まったロジックに基づいて描画されているだけに過ぎません。
なぜこの記事を書いたのか?
この記事を書こうと思ったきっかけは、私の学生時代の友人が、先日オンラインで投資ツールを購入しようとして、まさにこうしたO欺まがいの行為に遭いかけたからです。
彼とは同窓会以来、ほとんど連絡を取っていなかったのですが、同窓会で私がAI開発者だと話したことを覚えていて、システムを購入する前に私に相談してくれました。
彼が被害者にならずに済んだことに安堵すると同時に、このような被害に遭う人が増えてほしくないという願いを込めて、この記事を作成しました。
「AIシステム」購入を検討中のあなたへ:自衛のための質問術
もしあなたが「AIシステム」と銘打たれた製品の購入を検討しているのであれば、以下の質問を販売者に投げかけることで、その信憑性を確かめることができます。
販売者に「AIシステム」の具体的な特徴を尋ね、その情報が本当にGeOOOOやChatGPTで実現可能かを問いかけてみましょう。
GeOOOOやChatGPTの回答を基に、さらに深く質問を掘り下げてみてください。
販売者が「ロジックは公開できない」と返答した場合でも、「AIの学習方法」だけは具体的に尋ねてみましょう。
「AIの学習方法」について得た情報を、再びGeOOOOやChatGPTに尋ね、それが本当に実現可能なのかを確認してください。
このように、AI開発の専門知識がなくても、大規模言語モデルの力を借りることで、簡単に深い質問ができるレベルに引き上げられます。
この記事を読んで、一人でも多くの人が、AIを口実にした不当な商売の被害 にならずに済むことを心から願っています。
Is it OK?