2025年4月第4週 FX相場の見通しまとめ
今週4月24日(木)までの市場動向まとめ
(1)為替全般:米関税ショックとドル安
米トランプ政権が追加関税強化を打ち出し、日本や中国、EUに対して高関税を課す方針を表明。世界的にリスク回避が進み、米ドルが売られる局面が目立ちました。
特に4月22日にドル円が1ドル=139円台へ急落し、昨年9月以来の円高水準(ドル安値)をつける場面も。
ユーロやポンドは対ドルで大幅上昇し、ユーロドルは1.15ドル超、ポンドドルは一時1.34ドル前後まで上伸。2025年4月前半にかけてドル安トレンドが鮮明でした。
月末にかけては、米が対中関税「大幅引き下げ」を示唆するなど強硬姿勢がやや緩み、ドルは下げ止まり。24日NY終盤ではドル円が142円台半ばへ、ユーロドルは1.14近辺へ小反落して引けています。
(2)金利・債券:FRB利下げ観測強まる
米国債市場では関税ショックや景気不透明感を背景に、週前半に大きく買われて利回り低下。
2年債利回りは一時3.79%を割り込み、短期金利スワップ市場では「6月FOMCでの利下げ」を織り込む動きが急拡大。年内合計で0.75~1.00%(3~4回分相当)の利下げ余地が意識されています。
一方、日本は4月25日に発表された東京都区部CPI(生鮮除くコア)が前年比+3.4%と予想を上回り、インフレ加速を示唆。日銀が早期に金融正常化へ舵を切る可能性も取り沙汰され、一時国債が売られて利回り上昇する場面が見られました。ただし、米関税による景気下振れリスクもあり「年内利上げは困難」との見方も根強い状況です。
(3)株式市場:リスクオンとオフを乱高下
週前半は関税強化を嫌気し株式が下落、米株・日経平均ともに大幅安の場面がありました。
しかしFRB高官の「早期利下げ容認」発言や、米中協議での歩み寄り期待が浮上し、週後半には株式が急反発。24日の米国株は+2%超の上昇で、リスクオンでドル安・株高という展開に。
東京市場でも25日朝、日米財務相会談で為替水準を巡る具体的な要求が出なかった安心感から円安・株高が進行。投資家心理は悲観一辺倒からやや持ち直しています。
(4)最近のインフレ・指標動向と当局発言
英国では3月CPIがやや伸び鈍化し、BOEは金利据え置き見込み。
日本は都区部CPIが想定超えで物価高継続。来週の日銀会合で「タカ派転換か」との思惑も一部で浮上。
米国では労働市場・個人消費が底堅い一方、企業設備投資には慎重姿勢が見え始め、通商リスクが長引くと景気減速が懸念される状況。FRB当局者の利下げ容認発言がドル売りを誘発。
日米財務相会談では「為替介入や水準の具体的言及なし」となり、日本側には安心感が広がりやすい展開となっています。
本日4月25日(金)の東京時間動向
リスクオンの円安: 米国が対中関税を一部引き下げる可能性に言及し、通商摩擦への過度な悲観が後退。日米財務相会談後、円安・株高が進み、ドル円は一時143円台へ上昇。
インフレ指標への反応: 25日朝に発表された東京都区部CPI(+3.4%)は予想を上回る強さでしたが、ドル買いフローが優勢となり、円は下げ渋ったものの大きく反発するには至らず。
投資家心理: 「為替水準を巡る米国からの具体的圧力がなかった」という材料が好感され、五十日の実需ドル買いも重なり、円売りが先行。リスク回避が後退する一方、依然として米関税の行方には不透明感も残るため、上値追いには慎重さも見られます。
今後の注目ポイント
米通商政策:
米中・米欧交渉が進むか、関税撤廃・引き下げにつながるかが最大の焦点。進展あればリスクオン(ドル円・クロス円上昇)が見込まれる一方、再度強硬策が出ればリスクオフの円高も再燃し得る。各国金融政策:
FRBの6月利下げ観測が市場で急速に強まっており、今後の米指標や要人発言がカギ。
日銀は来週金融政策決定会合を控え、東京都CPIの強さを受けたタカ派サプライズがあるか注目。現状は「据え置き→材料出尽くしの円安」観測が優勢か。
ECBではハト派的意見(利下げ含み)が浮上。ユーロ高トレンドの一服要因になるか見定めが必要。
BOEは引き続き高インフレに苦慮。5月以降の金融政策を巡る思惑がポンドを左右。
主要指標発表:
来週の日米・欧州の物価・PMIなど経済指標の結果に要注意。英国では小売売上が底堅いが、欧州や新興国には景気減速シグナルがあり、各国指標がリスク感応度を高める可能性がある。
主要通貨ペアの展望(ファンダメンタルズ)
(1) ドル円(USDJPY)
ドル安・円高トレンドが一服する一方、米FRB利下げ観測が根強く、ドルの上値は重い。
日銀は年内利上げ見送り予想が多いものの、強い国内インフレで思惑が乱れる可能性もあり、140~144円レンジ内の神経質な動きが想定される。
通商交渉が好転すれば円安、逆にリスクオフ再燃なら円高への振れも大きく、短期のボラティリティに注意。
(2) ユーロドル(EURUSD)
米利下げ→ドル売りがベースとなり、ユーロ高が続きやすい。足元1.14台前半~1.15近辺で上昇一服の様相。
ECB内部に利下げ論が出始めた点がユーロの重し。米欧貿易摩擦の激化も警戒要因。
今後1週間は1.13~1.15ドルのレンジが中心か。ブレイクアウトには通商やECB関連の強い材料が必要。
(3) ユーロ円(EURJPY)
ドル円・ユーロドルの綱引きで方向感が定まりにくい。ユーロと円はいずれも今は“安全通貨”扱いで、共に買われやすい局面が多い。
通商リスクが落ち着けば円安優勢で上がりやすい一方、ECBハト派化がユーロ高を抑えたり、リスクオフだと円買いが強まったりと、交錯する要因が多い。
158~163円程度のレンジが予想され、突発材料で上下ブレが拡大する可能性あり。戻り売り・押し目買いの逆張り中心の展開か。
(4) ポンドドル(GBPUSD)
BOEは高インフレ対応で金利据え置きスタンスを保ち、対照的にFRBは利下げ方向へ。金利差観点でポンド優位・ドル劣勢。
英国消費は予想外の強さを示しており、ポンド買い材料。ただし欧州景気悪化が波及すればポンドにも売り圧力がかかるリスク。
1.33~1.35ドル付近での高止まりを想定。米ドル全体の動きに左右されやすく、外部要因で上下に振れやすい点は要注意。
(5) ポンド円(GBPJPY)
ポンドドル上昇とドル円動向に左右され、ボラティリティが高い通貨ペア。
リスクオンではポンド円が最も上げやすい一方、リスクオフでは急落しやすい。4月中旬の186円台→190円台への乱高下が象徴的。
短期的には192円近辺が上値目標、下値は187円付近がサポートと目される。外部環境次第で上下双方に大きく振れる可能性が高く、逆指値などのリスク管理が必須。
まとめ
今週の注目ポイントは「通商リスク後退」と「FRBをはじめ各国中央銀行の早期政策転換(特に利下げ)への思惑」です。
ドル全体の弱含みが続く一方、日銀やECBの動き次第で円やユーロも大きく振れやすい環境。ポンドは英国の堅調消費やBOE金利据え置き観測が支えになる一方、リスクオフに弱いという特徴もあります。
具体的なトレード戦略としては、各通貨ペアのレンジ上下限を意識した逆張りか、ブレイク判断時の順張り(損切り浅め)がおすすめです。主要イベント前後に急変するリスクが高いため、ポジション管理や逆指値の活用が有効です。
来週の日銀会合や米中協議の進捗など、さらなる材料が出れば一気に相場が動き出す可能性があります。
以上が4月24日までの市場動向と今後の見通しに関するまとめです。
テクニカルチャートを挿入しながらポイントを押さえることで、視覚的にも相場状況を把握しやすくなるはずです。
ご参考になれば幸いです。
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