中原駿レポート 特別号 2023年7月6日
日本銀行の謎 ― YCCという名の“金融抑圧” ―
■新総裁、世界デビューを飾る
植田和男日本銀行新総裁の国際会議デビューは上々であった。
総裁はポルトガルのシントラで開催された欧州中央銀行(ECB)フォーラムで、ラガルドECB総裁とパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長、更にベイリー英中銀総裁の3人とのパネル討論会に参加。ジョークも交えて人気を得た。
先ず最近の円安の原因については「通貨の価値は外部的な要因にも影響を受ける」とし、他の3人の総裁に目を向けた。その上で「ここの3人も(円安に)大きな影響を及ぼした」とコメント。その上で、米国・欧州・英国がインフレに対応するため政策金利を引き上げた事で相対的に円安になった―とした。
続いて「通貨政策が効果を発揮するまでにどれほどの時間がかかるのか」という質問に対し、植田総裁は苦笑いしながら「私が(政策金利を決定する)日銀審議委員だった25年前、政策金利は(非常に低い)0.2~0.3%だった。今は-0.1%だ。従って少なくとも25年はかかるようだ」とコメント。30年近く低金利政策を続けたが、十分な効果を得られなかったという自虐的なこの発言で、会場からは笑い声も出ていた。
また「中央銀行の信頼を回復するにはどうするべきか」という質問に対しては「他の中央銀行はデジタル貨幣のようなものを進めるというが、我々は逆に来年、新しい紙幣を出して信頼を高めようとしている」とコメント。これも強烈な自虐ネタである。
続きはPDFファイルをご覧下さい。
* このレポートは将来の見通しの適確性、または収益性を保証するものではありません。トレーダー及びレポートの読者は自己責任で取引してください。当レポートの筆者、発行人共に市場における各参加者の決断については一切責任を負いません。銘柄を問わず、現物、先物、オプション取引は高リスクを伴うと考えられています。
* 本レポートは、情報提供を目的として行っており、売買の推奨を行うものではありません。