雇用統計の振り返りと今後の株式市場の動向
こんにちは、下山です。
先週のメルマガでは
今月末のFOMCでの
政策金利を占う
アメリカの雇用統計が
発表される事をお伝えしました。
雇用統計は、
日本時間こそ
夜の9時半(夏時間の場合)で
株式市場は閉まっていますが、
アメリカでは、
証券取引所がオープンする時間に
発表されるため
その日の相場に
大きな影響を与えます。
実際に2日の指標発表時には
予想よりも強い結果が出たため
一時的に上振れしています。
しかし、今回は、
次のFOMCで
75ベーシスポイントの
利上げ予想を変えるほどではなく
その後に持ち上がった
ロシアから欧州への天然ガスを
供給する
ノルドストリーム
が当初の計画通りに稼動を再開できないと
伝わった事から
欧州の計画停電や
リセッションリスクが
高まったことから
リスクオフの流れとなり
各主要株式指標が
下落を続けています。
そこで今回は
先週発表された
雇用統計の振り返りと
今後の株式市場の動向
について解説します。
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雇用統計の振り返り
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9月2日金曜日に
米労働省が発表した
米8月雇用統計で
注目された
非農業部門雇用者数は
前月比+31.5万人と、
7月+52.6万人から
伸びは鈍化しましたが、
事前予想が+29.8万人であったため
小幅上振れしました。
同時に発表される
失業率に関しては
事前予想は
3.5%で前月同様
とされていましたが、
3.7%と
予想外に上昇し
2月来で最高の失業率と
なりました。
また、労働参加率は
事前予想よりも上振れし
62.4%と、
7月の62.1%からも上昇し
3月来で最高の数値となり、
パンデミックで離れていた
労働力が戻ってきていると判断され
労働市場は回復しつつあると
言えるでしょう。
ただし、平均時給に関しては
前月比+0.3%、
前年比+5.2%と、
それぞれ7月+0.5%、
7月+5.2%から
予想以上に伸びが
鈍化しています。
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今後の株式市場の動向
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今回の雇用統計の結果は
全般的にFRBが期待した通りの結果で、
力強い利上げ継続が正当化されると
同時に軟着陸期待も強まった
という見方がされています。
つまり、9月のFOMCにおいて
3回連続での75ベーシスポイントの
政策金利の引き上げの
観測が強まったと言えます。
そこに欧州の
ノルドストリームの件に
端を発した
欧州のさらなる
インフレ懸念が高まり
市場はリスクオフに
大きく傾いたという事になります。
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今後の動向と注目すべきポイント
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さて、今後の株式市場の
動向ですが
毎回のようにお伝えしているように
引き続きアメリカの
政策金利の引き上げが
どの程度の「強さ」と
「頻度」(実施の間隔)で
行われるのかという点に
大きく左右されると言えます。
パウエル議長が
7月のFOMC後の
会見で述べた
「インフレ率」
と
「雇用関連」
のデータを注視していくとした
点が引き続き重要となります。
また、長期的な視点では
FRBは政策金利を
2022年の年末までに3.9%、
2023年末までに
4.4%まで引き上げるという
戦略を持っています。
その観点から見ると
現状の政策金利は
2.25%~2.5%の範囲で
FRBはまだ半分しか
利上げしていないことになります。
つまり、これから来年にかけて
残りの約1.9%分の
利上げが行われる
見通しですが、
4.4%以上に
引き上げるのではないか
という観測も
一部では出始めているようです。
次に注目される指標は
9月13日
日本時間21時30分に
発表される
8月の「消費者物価指数」
です。
事前予測は
前月費0.0%
前年比8.5%
とされています。
「消費者物価指数」は
まさにインフレ率そのものであり、
指標発表の1週間後に
FOMCが開催されるため
今回の「消費者物価指数」
はいつも以上に注目される事と
なりそうです。
政策金利は
インフレ率を
コントロールするためのもので
教科書的な考え方として
予想よりも良い場合は、
政策金利の強い引き上げは
必要がなく
株式市場にはプラスに働き、
予想よりも悪い場合は
株式市場にはマイナスに働くと
捉えると良いでしょう。
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まとめ
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9月のFOMCでは、
22日に政策金利が
発表されます。
今のところ、
3回連続の
75ベーシスポイントの
利上げは
55%の確率でされるとの
予測もありますが、
55%という数字から見ても
不確定要素の多いことが
わかります。
欧州のインフレ問題も
気になるところではありますが
2023年末までに
4.4%まで引き上げるという
ゴール達成までは
同じような状態が続き
それ以降に
雪解けが来るという
大局観を持つと
株式取引にも
方向性が見えてくることでしょう。
それでは、本日も最後までご覧いただき、
ありがとうございました。
下山敬三
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