与党が「無難に大勝」したからこそ警戒すべきポイント 【中原駿の今日のひと言】7月12日更新
目先の材料には冷静に対応を
―与党圧勝を考える―
与党が大勝し、日経平均は一時500円以上の上昇を見せたが、その後は失速した。大幅上昇の理由は想定以上の大勝、失速の原因は、だからといって政権のスタンスが変わるとは考えにくい―というものだ。
与党の勝利は、冷静に考えて保守・革新間の票の動きというよりは、保守同士の票の奪い合いで有利に働いた―というものだろう。例えば、参院選の東京で維新の会は議席を確保できていないが、安倍元首相の不慮の事故が無ければどうなっていたかわからない。比例代表においても、革新の票を奪った―というよりは、保守同士の闘いを有利に進めた、というのが実態であろう。革新陣営は大きく票数を落としているが、そもそも革新陣営の敗北は事前予想通りに過ぎない。むしろ、保守同士のバランスが維新の会に傾くところを抑えた―と言える。
結果は、皮肉に満ちたものだ。大胆な経済政策も憲法改正も視野に入るほどの権力を握った。通常の政権であれば、理念に基づく大胆な施策を次から次へと打つだろう。憲法改正に伴う大幅な防衛費の増加や半導体を含めた国策産業への大規模支援、政府主導による技術革新や大学への大規模な支援など革新的かつ将来を見据えた投資を打ち出す―あるいは打ち出す気があるような政権であれば、もっと買われたであろうし、そもそも日経平均がこのような位置にいるはずがないだろう。
隠し切れない官僚の影と、政権樹立時に掲げた経済的平等への志向が投資家を確信に至らせない要因だ。今までの政権の動きからして大胆かつ実効性のある施策を打つとは到底思えない。
それでも、日経平均が上昇する希望はなくはない。第一に世界の指数の中でも日本株は割安に放置されている。第二に止まらない円安は日経平均の値嵩株やハイテク関連には有利だ。そしてなにより円安放置により海外投資家から見れば「たたき売りのバナナがさらに安くなっている」状態だからだ。皮肉だがあまりにも安いので値下がりしない―というのが円安進行下での日経平均といえる。変な夢を見なければ、そこそこの上昇がありえる、という安値放置の低位株が稀に見せる上昇のような形はいつでも起こりえるだろう。
Is it OK?