ウクライナ情勢と政策金利への影響
こんにちは、下山です。
ここ最近は金融業界のみならず
世界的にウクライナ危機関連の
話題で持ちきりですが、
そのひとつ前の最も大きなファンダメンタルズ
(市場の関心事)であった
アメリカの政策金利にも
影響を与え始めています。
2022年3月の
FOMC開催予定日である
3月15日・16日まで
あと僅かです。
そこで今回は、
約1週間前となる
このタイミングで、
一度状況を整理し、
ウクライナ危機が
金融政策にどのような影響を与えるか
を考察してみたいと思います。
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ロシアへの経済制裁による影響
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現在、ウクライナに侵攻を開始し
首都であるキエフまで
あと僅かのところまで迫っているロシアですが、
アメリカを始めとする西側諸国は
ロシアに対する非常に厳しい
経済制裁を行っています。
天然ガス、原油を始めとする
エネルギー資源や
レアメタルなどの資源をはじめ、
小麦を中心に大麦やトウモロコシの
世界的な供給国であるロシアを
世界経済の枠組みから
締め出そうとする行為は
諸刃の刃という側面もあり、
各国への経済影響が懸念されています。
端的には、
供給源を遮断することにより供給不足となるため、
需要が供給を上回ることで価格が上昇する
単純な価格決定のメカニズムが働きます。
実際に原油や小麦などの資源や穀物の先物市場では
大幅な価格上昇が起こっています。
次にこれら、資源価格の高騰が
実体経済にどのような影響を
与えるかという点について解説します。
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資源価格の高騰による経済影響は?
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資源価格の上昇は輸入企業にとっては
原材料の高騰に繋がり、
原価や運用コストの上昇に繋がり
利益率の低下を招くでしょう。
企業が利益率を堅持しようとすれば
商品価格を値上げする必要があります。
商品価格の上昇は
結果的には消費者物価の上昇、
つまりインフレ率の
押し上げに繋がります。
一方で、
原油や穀物を供給する企業にとっては
同じものが高く売れることとなるため、
売上、利益の増大へと繋がります。
しかし、これらを供給している側よりも
供給を受けている側の方が
絶対的多数であるため、
社会全体としては、
悪影響のほうが大きくなることが
予想されます。
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経済制裁が金融政策に与える影響について
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今回のロシアへの経済制裁と
ウクライナ情勢の深刻化が
アメリカの金融政策にも
影響を与え始めています。
ウクライナ情勢が
今のように悪化する前の2月上旬までは、
雇用統計や失業率などの数字の強さや
高い消費者物価指数などを背景に
平均的な政策金利の引き上げ率とされる
0.25%ではなく
0.5%の予想がなされ
市場もそれを織り込む形で
リスクアセットからの金流出とつながり、
世界的な株安の動きや
仮想通貨の価格低下へと繋がりました。
しかし、今回のウクライナ情勢の悪化を踏まえて
アメリカの政策金利の引き上げ率が
0.5%ではなく0.25%と
なるのではないかという予測も
強くなってきています。
FRBのパウエル議長は
3月2日に行われた議会証言で
3月15日~16日のFOMCでの
利上げの実施を正式に表明しましたが、
今の焦点は政策金利の利率です。
FOMCの会議終了後に発表される
政策金利が0.25%の場合は
ある程度の株価の上昇が見込まれ、
0.5%であった場合は
ある程度の下落が見込まれる状況と
見てもよさそうです。
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まとめ
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ウクライナ危機に関しては、
国連安全保障理事会でも
決議が行われています。
ロシアが拒否権を持つ
常任理事国である限りは、
国連安保理の決議に基づく
国連軍(多国籍軍)の結成や
ウクライナへの派遣は難しそうですが、
NATOが軍事行動を取れば、
ロシアとアメリカを含むNATOとの
全面戦争に繋がります。
そのような事態まで
エスカレートすることは
考えたくはないですが、
最悪の場合、中国・インドや
日本を巻き込んだ
第三次世界大戦へと繋がる恐れもあります。
今後も引き続き、ウクライナ情勢からは
目が離せない状況が続きそうですが、
各国に与える経済的な影響と
それが金融政策に及ぼす影響までを
考慮して慎重に株式取引を
行うべきでしょう。
まずは、
ウクライナ危機の早期の解決を祈りつつ
3月15日・16日のFOMCで
アメリカの政策金利がどうなるのか
という点について注意深く見守りたいと思います。
上がるか下がるか、どちらかははっきりしませんが、
どちらにせよ動きが出やすい時期ではありますので、
負けない取引を心がけてくださいね。
それでは本日も最後までご覧いただき、
ありがとうございました。
下山敬三
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