ドーパミンが作る「トレード依存問題」とその対応策。
こんにちは、下山です。
「不測の事態に備えましょう」
株アカデミーの生徒さんに、
そんな話を
よくさせていただきます。
すると、
「不測の事態って
どういうことが起こり得るんですか?」
と。
いや、
そんなことは分かりません。
何が起こるのか分かるのなら
もはやそれは
不測の事態ではありませんから。
「何が起こるか分からないのに
備えられないよ」
と思われるかもしれませんが、
株式相場について言えば、
世の中でどんな不測の事態が起ころうとも、
株価が上がるか、下がるか、
結局はこの2パターンしかありません。
ですから、
トレーダーは常に
株価が上がった時と下がった時、
この2つのケースさえ考えておけば
良いのです。
みなさん、
トレードを難しく考えがちですが、
上がるか下がるか、
これしかないのですから、
あらかじめ対策を講じておくことは、
多くの方が想像するほど
難しいことではありません。
もちろん特別な才能が
必要なわけでもありません。
ただ、1つ問題なのは
そこに感情が絡んだ時です。
「お金を稼ぎたい」という欲や
「損をしたくない」という恐怖が
絡むと、
合理的に判断を下すことが
一気に難しくなります。
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ポジポジ病
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「朝起きて、
チャートを開き、
たとえばその時ポジションを持っていない状態だったら、
すぐにポジションを持ってしまいます。」
という方が
いらっしゃいます。
「とにかくポジションを持っていないと
落ち着かない、
いわゆるポジポジ病なんです」
と。
その方は
テクニカル分析で
トレードされているようで、
1日足、12時間足、8時間足・・・
とチャートを見ているうちに
エントリーチャンスに見えるチャートの形が
必ず出てきて、
「チャンスを逃すかもしれない」
という恐怖と
「すぐに利益がほしい」
という欲求が重なり合って、
チャートを開いた瞬間、
すぐにポジションを
持ってしまうのだそうです。
そして大抵の場合
そのあと早すぎたエントリーを
後悔、反省するとか。
しかし、
その時は反省しても
また同じことの繰り返し。
恐怖や欲が絡むと
合理的に判断を下すことが
途端に難しくなる一例ですね。
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ポジポジ病なあなたへ
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「ポジションを持っていないと落ち着かない」
同じような
悩みを持っている方、
多いと思います。
こういう状態から
一刻も早く抜け出したいけど
なかなか抜け出せない、
そういう方は
どうしたら良いのでしょう?
というのが
本日のテーマです。
前にも
同じようなテーマで
配信したことがあったと思いますが、
ポジポジ病で悩まれる方は
相変わらず多いので
改めてこのテーマで
お伝えさせてもらいます。
ポジポジ病は
「依存症」
に近いものがあります。
常にトレードに参加していなければ
気が済まない、
一種の依存症といえます。
そして一般的に
依存症にはドーパミンの分泌が
関係していると言われます。
ドーパミンとは?
やる気や幸福感を高めてくれる
神経伝達物質ですね。
人をポジティブな気持ちにさせてくれます。
しかし、
一つ歯車が狂うと
依存症を引き起こすことがあります。
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依存症の作り方
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人はいかにして
トレードに依存するのか、
一例を紹介させてもらいます。
トレードをしていると、
必ず含み損を抱える時間が訪れます。
多くの方にとっては、
含み損に耐えている時間の方が
圧倒的に多いでしょう。
しかし、
ときに株価が一気に高騰し
含み損が消え去り、
含み益になり、
資金が滞りなく増え続けることがあります。
ストレスから一気に解放されて、
さらに含み益が増え続ける、
気持ちいいですね。
興奮状態になる方も
いらっしゃるでしょう。
この時、
脳内では
ドーパミンが放出されます。
極めて刺激の強いドーパミンで、
このときの興奮は
あなたの脳に
しっかりと刻み込まれ
忘れられなくなります。
そして、
またエントリー。
負けても勝っても
とにかくエントリー。
この時点で
もうすでに
依存症のような状態になっていますが、
さらに問題なのが
刺激に対する耐性ができることです。
最初は10,000円利益が出ただけで
嬉しかったのに、
10,000円の利益では満足できなくなり、
ポジションをさらに増やす、
そんなことを繰り返し、
ついにはありったけの資金を注ぎ込んで
全力買いすることも。
ドーパミンが出ても
快感が足りなくなり、
さらに依存症へと落ちていく
ことになります。
ドーパミンに対する感度が鈍る、
この感覚は
誰もが経験から
理解できることだと思います。
たとえば
どれだけ美味しい料理を食べても
2回、3回と食べるうちに
感動は薄れます。
それと同じように、
ドーパミンに対する感度が鈍り、
前と同じ利益では興奮できなくなるのです。
そして、
常にスマホで相場をチェックし、
さらにトレード回数が増えることに。
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ポジポジ病に効く特効薬は・・・ない。
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依存状態から脱出することは
そう簡単ではありません。
特効薬もありません。
ただ、できることはあります。
トリガーをできるだけ避ける、
ということです。
たとえば
トレード依存症になった場合、
「証券会社のログイン画面を開く」
など
何かしら依存症のトリガーがあるはずです。
証券会社のログイン画面を開く、
この瞬間、
すでにドーパミンが
放出されている可能性もあるようですが、
依存状態に陥りたくなければ、
そのトリガーをできるだけ引かないことです。
それを避けることです。
一度トリガーを引いてしまうと
もう後戻りはできませんから。
具体的には、
「1日1回しかチャートをチェックしない」
とか。
そして最後にもう1つ。
ご自身の意思力で
依存状態を
強引に改善しようと思っても
きっとなかなかうまくいかないでしょう。
意思力に頼るのではなく、
依存状態を自然に改善できるであろう環境に
自分自身を置くことです。
本日も最後まで
ご覧くださりありがとうございました。
下山敬三
Is it OK?