おトクな「限定」
「今だけ」「〇〇限定」「今月いっぱい」といった言葉には、つい反応してしまいます。自分が得をする、あるいは、逃したら損をする、という発想があるからでしょうか。でも、実際にそうなのだと思います。アンテナが高くて冷静な人は、不要なものを買わず、限定的なチャンスを利用して、必要なものを安くおトクに手に入れています。
前回の<連載その1>で、「売買法という発想を持とう」と述べました。
しかし、個別銘柄の予測情報を手に入れることからスタートした人にとって、売買の最終決断までいくつかのプロセスを要する「売買法」は、どこか重たいものに感じてしまうようです。ワクワク感がなく、面倒くさいと感じてしまうのです。
売買法、手法というアプローチが足りない……こう考えつつも、踏み込めないのです。
あまり大仰に考えず、ちょっとワクワク感のある「限定」という発想を取り入れてみてはいかがでしょう。手法、売買法、自分だけの価値判断といった、自立への足がかりになることを約束します。
限定するのは、例えば銘柄です。
1銘柄だけを追いかける、それがキツいのなら3銘柄か5銘柄に絞ります。
「どれを買うか」と他人の予測情報を気にする発想が薄れ、「どれを、どんなタイミングで、どのように売買するか」という自由なイメージを持つことができます。
買うだけでなく、下げを狙う“売り戦略”を想像することも容易ですし、買い戦略においても「手仕舞い売り」をセットで考えるようになり、自然と「資金管理」の発想が芽生えます。
押しつけではなく、自分から求める姿勢になるので、随所にワクワク感があり、質の高い思考が長続きしながら進化していくはずです。
時期を限定するという発想も大切です。
銘柄を限定するのが難しければ、時期だけを限定すればいいのです。
例えば日本の株は、秋や年末に安値をつける傾向があります。これに注目すれば、「経営が安定している企業を100銘柄ピックアップしておき、秋や年末の安値で仕込んで春に売却」といった戦略につながります。
「秋から年末に大きく上昇した場合は、どうするのか」
「年末にかけて下げたけど、さらに下げそうな場合は?」
このように、出動のタイミングや数量、そもそも「出るか出ないか」など具体的な戦略を考えていくことになり、「何を買うか!」といった猪突猛進のスタイルから、ONとOFFを調整する高度な思考に切り替わります。
「市場参加者が震え上がるほどの暴落時に買い下がる」という戦略の人がいました。ガンガン下がっていく中、落ち着き払って買い下がっていくのです。
かなり限定的な条件が必要なので、数年に一度しか出動チャンスがないそうです。
すると、通常の上げ下げをみせる時期、つまり平時はヒマで仕方がない。いきおい、確信の持てない別のやり方でチョロチョロと損を重ねてしまうようです。
数年に一度、短期間で数割くらいの利益が期待できれば、あとは休んでいればいいのですが、いざやってみると待つことがつらいんですね。よくわかります。
だから、もう少し頻度の高い売買を展開する戦略が現実的なのです。
とはいっても、のべつポジションを取るのではなく、休んだり増減させたりで、基本のイメージは「年に数回」くらいが個人投資家には扱いやすい標準形だと思います。
よろしいですか?