サンドウィッチ間瀬のマーケットトピック講座|Part4 トルコリラ円
サンドウィッチ間瀬が今のマーケットで気になるトピックを解説。今回は高金利通貨ペアの一つであるトルコリラ円をPick Up! トルコリラはなぜ高金利なのか?経済情勢を交えてご紹介。(※本記事内容は、執筆者の見解に基づくものであり、将来の利益を保証するものではありません。)
高金利の裏に見えるインフレとの闘い
スワップ投資の対象として人気を集める通貨ペア、「トルコリラ円」。高金利通貨の代表格とされる通貨ペアですが、その高金利には理由があります。2021年3月時点において、トルコの政策金利(1週間物レポ金利)は19%です。日本を含む先進国と比較して、政策金利が高いことが分かりますが、なぜこれほど高いのか?ということを考えてみましょう。以下はトルコのインフレ率を示す消費者物価指数(前年同月比)の推移と政策金利の推移です。
消費者物価指数と政策金利の騰落のタイミングがおおむね一致しています。ここから、トルコ中銀はインフレを制御すべく金融政策を実施していることが分かります。日本でインフレが意識されることは少ないですが、新興国の中央銀行はインフレとの闘いが使命となります。例えば、去年100円で買えたサンドウィッチが今年は110円出さないと購入できない。これは10%のインフレ=つまり通貨の価値が減価したことを指します。インフレを抑えるには、金利を引き上げ、通貨価値を高めることが有効であることから、政策金利も高位へと誘導されます。
では果たしてトルコはインフレを制御できているのかというと、2021年2月時点においてインフレ率は約15%台と高水準のままであり、道半ばという状況です。
一方、トルコリラ円相場に目を移すと、2020年中旬以降トルコ中銀が政策金利引き上げへとかじを切って以降、12円台まで下落していたところから、2021年3月半ばまでにかけて約15円台まで反発上昇してきました。マーケットは、インフレに対抗する中央銀行の姿勢を好感してきたと考えられます。
トルコリラの今後
2021年3月18日(木)、トルコ中銀は政策金利を17%→19%へと引き上げましたが、その2日後の3月20日(土)、エルドアン大統領によりアーバル中銀総裁(当時)が更迭されるというニュースがマーケットに混乱をもたらし、週明け22日(月)にはトルコリラ円が暴落しました。アーバル氏の後任であるカブチオル新総裁はエルドアン大統領寄りのハト派=金融緩和方針とみられており、マーケットはリラ売りで反応しています。
その後、トルコ当局者の発言で利下げ観測を打ち消すような声明も出ており、早急な金融緩和観測を打ち消し、リラ売りを抑えつけたい意図が見え隠れします。
新総裁は緊急の金融政策決定会合開催を否定しており、2021年4月15日に控える定例のトルコ金融政策決定会合における政策方針に注目が集まります。
もし新総裁が利下げをせず、据え置きとした場合、早期の金融緩和はなされないという安心感から、トルコリラ円相場も今回の下落の穴を埋める形で短期的に上昇する可能性もありますが、トルコリラはマーケットから不安視されている状況に変わりなく、トレードをする際には細心の注意が必要でしょう。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士。銀行で金融商品営業に従事し、その後、為替ディーラーとしてインヴァスト証券に入社。現在はマーケティング部にて、投資の楽しさを世に広めるための活動を行っている。「金融に関しての質問なら即座に答えてくれる」とちまたで評判で、自身も誰からも頼られるアニキ的な存在になりたいと日々精進している。 また、同僚に「よく飽きないよね…」とあきれられるほどのサンドウィッチ好き。常にサンドウィッチ片手に業務をこなす。さらに毎日、就寝前に翌日分のサンドウィッチを自ら作り、そんな家庭的な一面がチャームポイントだと勘違いしているロマンチストでもある。
Twitter: https://twitter.com/sandwich_market
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