負けトレードから脱却するための逆算的方法はこれだ(後編)
さて、これまで前編、中編と綴ってきたが、今回が最後の後編となる。前回である中編では大きな損失を出さないための方法として、「1%ルール」「2%ルール」についてご紹介した。これらのルールを実践するだけでも無駄な損失を減らすことは十分可能だが、今回はもう一段話を掘り下げてみて確認してみたいと思う。
ー「リスクリワード」の使い方を知る
みなさんは「リスクリワード」ということを聞いたことはあるだろうか。「リスクリワード」というのは、簡単に言うと利益幅と損失幅の比率のことで、2種類の使い方ができる。
ひとつめは、これまでの成績を確認するために使う場合だが、計算式はこうだ。
「平均利益幅(pips、もしくは金額)÷平均損失幅(pips、もしくは金額)」
例えば、あなたがすでに何度かトレードを行っていて、過去の成績が「利食い平均10万円、損切り平均20万円」だとしよう。この場合のリスクリワードは「0.5」ということになる。
または、「利食い平均20万円、損切り平均10万円」ならリスクリワードは「2.0」。利食いと損切りが同額なら「1.0」で、結果として「1.0以下」ならトータルで負けていることになり、逆に「1.0以上」がトータルで勝っていることになる。これが「2.0」「3.0」「10.0」となってくれば、大きく利益が上がってくるようになる。
そして、実は勝率はそれほど重要なことではなく、大切なのは総利益から総損失を差し引いたトータルでの金額(pips)であることに気付くようになってくる。
次は、ふたつめの使い方。それは、これからトレードを行う場合に使う方法で、計算式はこうなる。
「目標の利益幅(pips、もしくは金額)÷設定予定の損切幅(pips、もしくは金額)」
例えば、あなたがこれからトレードを行おうとしていて、新規エントリー(建玉)が仮に100.00円で、決済する目標利食い価格が100.50円(+50pips)、損切り設定価格が99.80円(-20pips)とした場合、「目標の利益幅(+50pips)÷設定予定の損切幅(-20pips)=2.5」ということになる。個人的には、このリスクリワード値が最低でも1.5以上、できれば2.0以上の数値を保ちながらトレードを行えば、やみくもなトレードをしないで済むようになってくると思っている。
ー「リスクリワード」を使った6パターンの検証結果
以下では、ふたつめのリスクリワードの方法を使って、元金は100万円、勝率は「負け→勝ち→負け→勝ちの勝率50%」「負け→負け→勝ち→負け→負け→勝ちの勝率33%」「負け→勝ち→勝ち→負け→勝ち→勝ちの勝率66%」の3種類の勝率に分けた検証(6パターン)をご紹介する。
まずは、「負け→勝ち→負け→勝ちの勝率50%」の場合である。
・リスクリワード値1.5(損切りは資産の1.0%、利食いは資産の1.5%)で勝率50%の場合
トレード1回目:990,000円、トレード2回目:1,004,802円、トレード3回目:994,802円、
トレード4回目:1,009,724円、トレード5回目:999,626円、トレード6回目:1,014,621円、
トレード7回目:1,029,840円、トレード8回目:1,019,542円、トレード9回目:1,034,835円、
トレード10回目:1,024,486円
この場合、リスクリワード値が1.5あれば仮に勝率が50%でも元金に対して2.4%以上の利益となっているのである。
・リスクリワード値2.0(損切りは資産の1.0%、利食いは資産の2.0%)で勝率50%の場合
トレード1回目:990,000円、トレード2回目:1,009,800円、トレード3回目:999,702円、
トレード4回目:1,019,696円、トレード5回目:1,009,499円、トレード6回目:1,029,689円、
トレード7回目:1,019,392円、トレード8回目:1,039,780円、トレード9回目:1,029,382円、
トレード10回目:1,049,970円
この場合、リスクリワード値を0.5引き上げた2.0にするだけで、元金に対してほぼ5%の利益となるのである。勝率50%の結果を得られるならば十分な利益である(これは、年利ではなくトレード10回の結果であることに注目してほしい)。
次は、「負け→負け→勝ち→負け→負け→勝ちの勝率33%」の場合を、リスクリワード値1.5と2.0で続けて見てみたい。
・リスクリワード値1.5(損切りは資産の1.0%、利食いは資産の1.5%)で勝率33%の場合
トレード1回目:990,000円、トレード2回目:980,100円、トレード3回目:994,802円、
トレード4回目:984,853円、トレード5回目:975,005円、トレード6回目:989,630円、
トレード7回目:979,734円、トレード8回目:969,936円、トレード9回目:984,485円、
トレード10回目:974,641円
・リスクリワード値2.0(損切りは資産の1.0%、利食いは資産の2.0%)で勝率33%の場合
トレード1回目:990,000円、トレード2回目:980,100円、トレード3回目:999,702円、
トレード4回目:989,705円、トレード5回目:979,808円、トレード6回目:999,404円、
トレード7回目:989,410円、トレード8回目:979,516円、トレード9回目:999,106円、
トレード10回目:989,115円
リスクリワード値1.5と2.0をふたつ続けて見ていただいたが、結果は1.5でも資産に対して2.6%未満、2.0では1.1%未満である。3回に1回しか勝てなくても、この方法ならほとんど減らないのである。これならば、どこかでトレンドにでも乗って大きく利益を上げれれば、十分なプラスにすることは可能である。
では、最後に「負け→勝ち→勝ち→負け→勝ち→勝ちの勝率66%」で検証するとこうなる。
・リスクリワード値1.5(損切りは資産の1.0%、利食いは資産の1.5%)で勝率66%の場合
トレード1回目:990,000円、トレード2回目:1,004,850円、トレード3回目:1,019,923円、
トレード4回目:1,009,724円、トレード5回目:1,024,869円、トレード6回目:1,040,242円、
トレード7回目:1,029,840円、トレード8回目:1,045,288円、トレード9回目:1,060,967円、
トレード10回目:1,050,357円
・リスクリワード値2.0(損切りは資産の1.0%、利食いは資産の2.0%)で勝率66%の場合
トレード1回目:990,000円、トレード2回目:1,009,800円、トレード3回目:1,029,996円、
トレード4回目:1,019,696円、トレード5回目:1,040,090円、トレード6回目:1,060,892円、
トレード7回目:1,050,283円、トレード8回目:1,071,288円、トレード9回目:1,092,714円、
トレード10回目:1,081,787円
リスクリワード値1.5で資産に対して5%以上、2.0なら資産に対して8.1%以上の利益である。もちろんこれも年利ではなく10回のトレードに対してである。
ー利益を目指す以上に資産を減らさない方法でトレードする
こうして、6パターンの種類を見ていただいたが、結局のところ、利益を目指す以上に資産を減らさない方法を取ってトレードをしたほうがいいことが分かる。逆にいえば、多くの方は「まずは利益ありき」でトレードを行い、「結果として損切りになってしまった」ということを繰り返しているのでトータルで負けてしまっている、ということがいえるのではないだろうか。
もちろん、すべてのトレードが上記のようになるとは限らない。しかし、勝率が低くてもリスクリワード値を上げることで対処できたり、反対に勝率が良ければリスクリワード値を下げてもトータルでプラスになるとか、両方の数値を上げることで加速度を増して資産を増やしたりすることは可能な話である。
ー根拠のある取引を行い、リスクをしっかり管理する
最後になるが、FXは投資であってギャンブルではないことは今更ながら当然のことである。しかしながら、多くの方がギャンブル的なトレードを行ってしまい、結果として資産を無くしていることから「FXはハイリスクハイリターンで危険」というレッテルが貼られていることが残念でならない。もう一度確認するが、根拠のある(なぜそのトレードをするのかの理由が説明できる)取引を行い、リスクさえしっかり管理できれば、大きく資産を減らすことはないのである。そして、資産を大きく減らさなければ、トータルで資産をプラスにするチャンスはいくらでもある。私の生徒さんのように、「資産を減らさないことで、結果として資産を増やす」方が増えていくことを願ってやまない。
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