【フジトミ】弱気な米雇用統計を好感してNY貴金属は総じて急伸
(NY貴金属)
2日のNY金はドル安を背景にして急伸し、1280ドル台に水準を切り上げた。NY金期近8月限は前日比10.1ドル高の1280.2ドル、NY白金期近7月限は同24.4ドル高の953.4ドル。
注目の5月の米雇用統計で、非農業部門の就業者数は13万8000人増にとどまった。市場では18万人増を期待していただけに、予想を大きく下回る結果となった。また、4月の非農業部門の就業者数は21万1000人増から17万4000人増に下方修正された経緯もあり、市場はかなり弱い内容と評価することに。失業率は4.4%から4.3%、平均時給は26.18ドルから26.22ドルとなっており、強い内容もあったが、市場では9月の米利上げは厳しくなったとの声が支配的に。急ピッチのドル高で1280ドル台を回復したが、NYダウも大幅続伸したため、1280ドル台での買いはイマイチ。市場では8日のコミ―前FBI長官の議会証言に注目しており、そのリスク警戒からNY金の一段高も予想されている。NY白金は急反発しているが、自律反発との見方が一般的。
(WTI原油・NY石油製品・北海ブレント)
2日のWTI原油は一時、大幅急落を演じたが、ドル安を受けて下げ幅を縮小している。WTI原油期近7月限は前日比0.70ドル安の47.66ドル、北海ブレント期近8月限は同ドル安のドル。RBOBガソリン7月限は同2.43セント安の157.71セント、NYヒーティングオイル期近7月限は同1.69セント安の148.48セント。
米国のパリ協定からの離脱の影響で、米国の原油増産に拍車がかかるとの見方が強まり、欧州時間帯に急落を演じることに。WTI期近7月限は47ドル割れを果たす急落もみせた。OPEC総会で減産幅拡大が議論されたとの情報も挙がっているが、日量で30万バレル程度の追加減産だったという。ただし、リビアとナイジェリアが5月の増産した水準が30万バレルであり、もし、実施されてもその効果は限定的。また、30万バレルの追加減産は不十分な水準だけに、OPECの追加減産に対する消極姿勢も失望売りを誘っていた。ひとまず、ドル安で下げ一服も、弱気な需給バランスに変わりなし。米ベーカー・ヒューズが発表した原油の掘削リグの稼働数は11基増の733基となり、20週連続で増加している。
(CBOT大豆)
2日のCBOT大豆は値ごろ買いに急伸している。期近7月限は前日比11.25セント高の923.50セント、新穀11月限は同9.75セント高の927.50セント。
弱気な米雇用統計を受けて急ピッチのドル安が進行したため、ドル安を背景にして低迷している米国大豆の輸出拡大につながるとの思惑買いが高まり、シカゴ大豆の急伸につながった。ただし、世界的な供給過剰は変わらず。また、米コーンベルトの天候改善観測もあり、大豆の作付も日曜日からかなり急ピッチに進展するとみられるだけに、ドル安も結果的に支援材料とはならず、実勢悪からまた売り直されるパターンになりそうだ。ドル安を材料にして何度も強引な戻りをみせたが、実際、米国大豆の需要回復には寄与しなかった。
(CBOTコーン)
2日のCBOTコーンは大豆急伸に追随して買い進まれ、小反発。期近7月限は前日比1.50セント高の372.00セント、新穀12月限は同1.50セント高の390.75セント。
弱気な米雇用統計を受けた急ピッチのドル安が穀物市場のムードを一変させたという。ただし、取り巻くファンダメンタルズに変化はない。米コーンベルトの天候改善が予想され、とりわけ作柄悪化が指摘されたコーンベルト東部の作柄も改善するとみられている。週明け発表される作柄状況はまだ悪化している状況とみられるが、翌週発表される作柄状況の改善は必至との声は多い。また、作柄悪化でも現在の作柄状況の判断は草丈の長さや葉数によるもので、挽回可能な時期だけに、イールド低下につながるともまだ考えにくいという。引けにかけて上げ幅を縮小していたが、作柄改善期待もあり、売りヘッジを浴びたためとみられる。
https://www.fujitomi.co.jp/?p=15671
Is it OK?