負けトレードから脱却するための逆算的方法はこれだ!(前編)
ー『FX取引では9割くらいの人が負けている』という数字の真実
先日、有力FX会社が顧客向け調査を行った結果、2016年上期(1-6月)にFXで利益を上げた投資家は30%未満で、前年同期の結果である50%程度から見ると収益率を大きく減少させていることが、日本経済新聞電子版の記事にあった。
よくFX取引では「9割くらいの人が負けている」という噂話を聞くが、実際のところはもっと多くの投資家が利益を上げているということになる。但し、負けている投資家がどれ位負けているのか、その金額を知っている人は少ないのでないだろうか。
日本国内でFXを取扱う取引会社は、一般社団法人金融先物取引業協会(以下、協会という)に会員登録しなければならないが、2016年7月末現在、その登録社数は52社(※1)となっている。
その52社は、モニタリング報告といって毎月自社の顧客の取引状況を協会まで報告しなければならないが、その報告された内容は、集計されて協会ホームページより資料が開示されている。
その資料を確認すると、2015年8月から2016年7月までの一年間の確定している分の利益と損失の合計額は、約6,899億円(※2)のマイナスとなっている。つまり、この間一年間の上記52社を介した投資家(法人含む)のトレード結果では、約6,899億円負けているということである。もちろん、単月ベースでは勝ち越しの月もあるが、一年間を通してみるとこれだけの金額のマイナスとなっているのが現状である。
ちなみに、2015年5月から2016年7月までの15か月間の合計額では、約7,183億円のマイナスになっている。このことからも、この間の1か月間あたりの平均は478億円以上のマイナスとなっていることから、その金額の大きさに驚くばかりである。
ー FXは『投資として不向き』ではないかという疑問の答え
では、これだけの金額が毎月のように負けているFXは投資として不向きではなのかという疑問が湧いてくるが、実はそうではない。
なぜなら、FXはゼロサムゲーム(※3)であることから、投資家の利益(+)と損失(-)の合計は限りなくゼロになる。そのため、上記で示したマイナス分とほぼ同じ金額の利益を得ている投資家がいるということになるのである。つまり、これは2015年7月から2016年6月までの一年間で、利益を上げた投資家(法人含む)の合計額は約6,861億円になるということである。
なお、一年間の稼働口座数の合計は約285万口座(※4)であるので、一年間の差損益の合計額から勝ち投資家と負け投資家の比率を仮に冒頭で挙げた3:7と見た場合、大凡の数値ではあるが、一年間で勝った投資家(法人含む)の一口座あたりの利益は約80万円になり、逆に負けてしまった投資家(法人含む)の一口座あたりの損失は約34万円になる。もちろん、利益と損失が近似値の投資家もいることから、勝っている投資家はより大きく、負けている投資家もより大きい金額になることは予想できる。
こういった側面から見ると、勝ち組にさえ入ればFXは十分魅力ある金融商品であるといえるのではないだろうか。
ー FXがなぜこれほどまでの比率で負けてしまっているのか
さて、前置きが長くなってしまったが、ここからが本題である。全体の7割から5割の投資家が負けていると言われているFXが、なぜこれほどまでの比率で負けてしまっているのか、ということである。
個人投資家の多くが負けてしまう原因は様々あると思うが、その中でも筆頭として挙げられるキーワードはやはり「損切り」ではないであろうか。「損切りができない」「損切りができてもタイミングが遅れて損失が大きくなってしまった」「我慢を重ねた結果、ロスカット
による損切りで投資資金のほとんどがなくなった」等々、多くの負け越した個人投資家が、利食いよりも損切りの比率が大きいために、トータルでの負け越しとなっているのが現状である。
ー トータルで損失を出さないで済む『損切り方法』
では、どのようなトレード(損切り方法)を行えば、トータルでの損失を出さないで済むようになるのだろうか。
世間では、損切りをしないで勝ち組投資家になることを謳っている教材(商材)も多々出回っているが、私個人の意見としては損切りをしないでトレードで勝てるとは思っていない。したがって、ここではどのような損切りを行えばいいのかについて、個人的な意見を示してみたいと思う。
まず「損切り」の意味だが、損切りとは「含み損が生じている状態のポジションを反対売買で損失を確定すること」である。つまり、未だ確定していない含み損を実際の損失として確定させるのが損切りである。
相場で勝てない投資家の多くが、この損切りができない場合が多いのだが、ここでは紙面の都合上、「どうしたら損切りができるようになるか」ではなく、損切りはできるのだが
それでも勝てない方のために、「どのような損切りを行えば勝てるようになるのか」に絞り込んでみたい。
ー 『いつでもトレードできることが大事』
具体的な方法に入る前に、トレードを行う上で一番なことは「長く継続すること」であるということを確認しておきたい。なぜなら、いつでもトレードができる状態を継続していれば、勝てるチャンスはその分いくらでもあるからである。逆にいえば、そういったチャンスの際にトレードができないことこそが最大の機会損失になるのである。
結局は、大きく増やすこと以上に大きく減らさない運用を行ったほうが、結果的に資産は増えていくと経験上自負している。
それでは、次回中編は大きく資産を減らさない方法を具体的な数値を示しながら、ご紹介したい。
※1 出所:一般社団法人金融先物取引業協会資料「店頭FX月次速報」より
※2 出所:一般社団法人金融先物取引業協会資料「預託額情報」より
※3 ゼロサムゲームとは、参加者全体の勝ち額と負け額が等しくなる(=±0)のゲームのことをいいます。マージャンもゼロサムゲームのひとつです。
※4 出所:一般社団法人金融先物取引業協会資料「四半期概況」より
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