他人の行動を支配するのは案外簡単だ。たとえば・・・
こんにちは、下山です。
『アップル関連銘柄』が勢いづいている、
との記事を見かけました。
アップル関連銘柄として
村田製作所・TDK
太陽誘電・アルプスアルパインなどの銘柄が
挙げられていました。
アップルが新しく発売した
iPhoneの売れ行きも好調のようですが
なぜiPhoneは好調なのでしょうか?
iPhone11ってiPhone6Sなどの
旧機種と比べて全く別次元の端末
というわけではありませんよね?
今回はカメラが3つになった
という明確な違いはありますが、
その他の機能的に圧倒的な違いは
あまり感じません。
iPhone6、iPhone8、iPhoneXR
の3つ併用している知人も、
「新旧iPhoneを使っていてもあまり違いは実感しない」
と話していました。
ですが、実際にiPhone11は売れている。
これまでも新作をリリースするたび話題になり、
なんだかんだ売れ続けてきました。
なぜiPhoneは機能的に大きな変化が
それほど無いにもかかわらず
毎年新作を出すたびに
消費者を惹きつけるのでしょうか?
その理由として、記事には
“世界のスマホ販売が
買い替え需要期を迎えつつあることだ。”
(2019/10/7 2:00日本経済新聞 電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50613950U9A001C1000000/)
とありました。
タイミング的にも買い替えの需要が増える
良い時期であるようですね。
ただ、自分としては
それ以上に大きい要因が
あるのではないかと感じます。
その要因の1つが「商品の打ち出し方」です。
以下、アップルのサイトに書かれた
iPhone11の説明文です。
“操作を複雑にすることなく、はるかに多くの機能を加えた革新的な
トリプルカメラシステム。かつてなく延びたバッテリー駆動時間。
機械学習の精度を一段と向上させ、スマートフォンにできることを
広げた驚くようなチップ。Proという名にふさわしい
パワーのある初めてのiPhoneです。”
(https://www.apple.com/jp/iphone-11-pro/ より引用)
人の感情に訴えかけるお手本のようなコピー文ですね。
特に、「革新的な」「かつてなく」
「向上」「驚くような」「初めての」
これらの単語が
威力を発揮しています。
新しさや進化を訴える単語を含めるのは
広告の鉄則です。
↓
“広告に
「新しい」「素早い」「やさしい」「向上した」「いま」「突然」
「驚くべき」「発表する」が含まれていると、
その商品がよく売れる。”
プラトカニス、アロンソン
『プロパガンダー広告・政治宣伝のからくりを見抜く(社会行動研究会)』
1998年10月30日 第1刷
P.29より
上記、iPhone11のコピー文には、
「新しい」「向上した」「驚くべき」
という要素が
しっかり盛り込まれていますよね。
たったこれだけの単語が含まれるだけでも
消費者は知らず知らずのうちに
購買意欲を、あおられているのです。
もちろん、広告なんか関係なく、
とにかくアップルがリリースする
新製品は全て買います、
という熱心なアップルファンの方も
大勢いらっしゃると思いますが、
熱心なアップルファンでなくても
購買意欲がくすぐられるような仕掛けが
散りばめられているのです。
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人は誰かの都合で生きている
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iphoneの話を通じてお伝えしたかったことは
「人は知らないうちに誰かが都合の良いように、
行動させられている」
ということです。
「いえ、私は私の意思で動いている自信があります」
とあなたは
思われるかもしれませんが、
そう思っている人ほど自覚が無いうちに
動かされてしまう傾向にあります。
たとえばあなたが道を歩いている時
見知らぬ怪しげな男が
「20円もらえませんか?」と
言ってきたとします。
「は?なんであげないといけないの?」
と思い、きっとあなたは
無視して素通りするでしょう。
しかし、これならどうでしょう。
20円ではなく、「23円もらえませんか?」
と男が言ってきたとしたらどうでしょう。
この場合なら、
立ち止まる人が増えるのではないでしょうか?
実際、こんな実験結果があります。
“すると、17円寄付をお願いしますとか、
37円お願いしますとか、はっきり金額を言って頼むと、
100円玉を1枚とか余った小銭をとか、
ありふれた言い方で頼む場合の2倍も
寄付が集まったのである。”
プラトカニス、アロンソン
『プロパガンダー広告・政治宣伝のからくりを見抜く(社会行動研究会)』
1998年10月30日 第1刷
P.31より
100円玉とかそういう金額ではなく、
中途半端な金額を頼むと
実際に寄付金が2倍に増えたのです。
少し金額を変えるだけでも
人の行動が大きく変わってしまった、
ということです。
こうなる理由は、
「なんで23円なんだろう。電車賃が23円足りないのかな。」
という感じで、人がその金額に対し、
勝手に意味を感じてしまうからです。
もはやこれは人間の本能ですね。
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本能にあらがうことは不可能
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今お伝えしたような人間の傾向は
いくらでもあります。
そして、
「こういう言い方をすれば人間はこう動く可能性が高い」
という傾向が日夜世界中で研究されていて、
それを知っている企業やメディアは、
その法則を駆使して
あなたの財布をガバッと開かせようと、
怒涛のように攻撃を仕掛けてくるのです。
街を歩いていても、
電車やタクシーに乗っても、
Youtubeを見ても、
とにかく人は情報に対して無防備です。
それらの情報から影響を受けないことは
もはや不可能です。
ただ・・・、
トレーダーとして勝ちたいのであれば
それではいけません。
企業が運営するメディアなど
誰かの意見や情報に誘導され続けている限り、
勝ち続けることは絶対にあり得ません。
とはいえ、これだけ情報が溢れる中で
それらの影響を受けないようにするのは
非常に難しいことです。
経済ニュースなんかも
イヤでも耳に入ってきますよね。
では、どうするべきか?
1つあなたに提案したいのは
「そもそも情報を根拠にしてトレードするのをやめる」
ということです。
こうなったら株価が上がるだろうとか、
そういった判断基準で
トレードをするのをやめてしまうのです。
たとえば、情報に頼らず、
上がっても下がっても
利益が出るようにするには
どうしたら良いのか?
という考えに重きを置いて
トレードをするとか。
改めて、本日の話をまとめておきます。
まず、あなたは日夜あらゆる情報から
無意識のうちに影響を受けている、
という自覚を持つことです。
「私は100%私の意思で生きている」
なんておごった考えは
さっさと捨て去りましょう。
熱湯に手が触れた時、反射的に手を離すように、
本能的な行動を抑制することは不可能です。
だからこそ、
情報に頼らないトレードをすることが肝心です。
何を信じるかは、あなた次第ですが、
自分自身は、そのような考えに基づきトレードすることで
毎年きちんと十分すぎるほどに
利益を生み出すことができています。
それでは本日も最後までご覧くださいまして
ありがとうございます。
下山敬三
よろしいですか?