【相場の不思議】なぜリスクオフで円買い?
こんにちは、下山です。
気づけばもう9月ですが、ここ最近は
多くの個人投資家にとって
厳しい相場環境が続いているようですね。
日経新聞によると、
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1年で株価が2倍になった銘柄数を調べたところ、
足元では全上場銘柄のわずか0.5%に
とどまることがわかった。
割合は約10年ぶりの低さ
(2019/8/22 15:20日本経済新聞 電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48855460S9A820C1000000/ )
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とのこと。
多くの個人トレーダーの方にとっては厳しい相場環境でしょう。
1000に5つの割合なんてお宝銘柄は存在しないに等しいですね。
でも、思うことは
こういう苦しい時期であっても
勝てる人間だけが本物だということです。
「相場環境が悪いから勝てない」
それは単なる言い訳。
本物のトレーダーなら、どんな相場環境においても
年間を通じて
きちんと一定以上のプラスにもっていかないと。
それができないのなら、トレードするだけ無駄です。
「相場環境が良ければ稼げるんだけどねー」
なんて言っているうちははっきり言って、
趣味の域を出ません。
上昇相場だろうが、下落相場だろうが、
いついかなる時も一定以上の利益を出し続ける、
これができなければトレーダーなんて名乗る資格はありません。
あと、いつも思うことですが、
お宝銘柄を探して勝とうとする方も多いのですが、
それってギャンブルと何が違うんでしょう?
カジノに行ってルーレットで遊んで一攫千金狙うのと
本質的には何も変わらないような気がするのですが・・・
どんなトレードをされてもその方の自由ですし、
お宝銘柄を探しながらリスク管理を徹底して
常に一定以上の利益を獲得できている方も
いらっしゃるかもしれませんが、
冷静に考えてご自身のトレードと
ギャンブルの違いを明確に説明できないのなら、
残念ながら今の延長線上に株トレードによる利益は存在しません。
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なんでリスクオフで円が買われるの?
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個別株もパッとしない、日経平均株価もパッとしない、
そして為替相場の世界でも今年に入ってから
円高傾向がずっと続いていますね。
そして円高の際、いつも聞こえてくるのが
「リスクオフの円買いが強まり・・・」
みたいなニュースです。
「有事の円買い」
なんて言葉もありますが、この言葉、
不思議じゃないですか?
「え、日本円ってそんなに安全なの?」
と違和感を覚える方も少なくないはず。
日本が多額の借金を抱えていることは周知の事実です。
日本の債務残高を対GDP比で確認すると
約236%で、先進国の中で最悪の数字です。
(参照:
http://www.zaisei.mof.go.jp/pdf/04-k02.pdf )
普通に考えて、これだけ借金を抱えている国の通貨が
安全だと思われているのは不思議ですよね。
時に、「財政破綻する可能性がある」
と言われることもある日本の通貨が
有事に買われるのはなぜでしょう。
ちょっと考えてみてください。
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過去に財政破綻した国
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経済というのは
ある種、生き物のようなものであり、
様々な要因が複雑に絡み合い
複雑に動くものです。
人間の行動を100%完璧に
科学的根拠を持って説明できないように、
経済現象もまた100%確実な根拠を持って説明することは
極めて難しいことです。
「なぜ有事に円が買われるのか?」
たったこれだけの疑問に対しても、様々な答えが存在し、
絶対的な答えを導き出すことは
難しいと思いますが・・・
1つ参考になる考えを紹介させてもらいます。
↓
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当たり前ですが、個人や民間企業は
通貨を発行できないので、
収入を得て、そこから借金を返済しなければならない。
ところが、通貨を発行できる政府には、
その必要はないのです。
したがって、自国通貨建ての国債は、
返済不能に陥ることはあり得ません。
中野剛志
『目からウロコが落ちる奇跡の経済教室【基礎知識編】
(株式会社ベストセラーズ)』
2019年4月30日 初版第1刷
P.142より
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日本が抱えている借金の正体は円建ての国債です。
日本の円はハードカレンシー、
つまり「国際決済通貨」で、
国債的に信頼のある通貨です。
ですから、
わざわざ外貨建ての借金をする必要が無いわけですが、
外貨建ての借金ではないので
いざとなれば円を新たに発行し、
借金を返すこともできます。
だからこそ、日本が破綻する心配はない、
という考え方です。
そして、確かに過去に財政破綻した国々は
自国で発行できない通貨建ての借金を
返せなくなっていた、という事実があります。
↓
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もちろん、アルゼンチンなど、
財政破綻を経験した国はあります。
しかし、それは、外貨建て国債についての
債務不履行でした。
〔中略〕
2008年の世界金融危機の余波を受けて、
ギリシャやイタリアなどが財政危機に陥りました。
それは、これらの国々が自国通貨建てではなく、
ユーロ建てだからです。
中野剛志
『目からウロコが落ちる奇跡の経済教室【基礎知識編】
(株式会社ベストセラーズ)』
2019年4月30日 初版第1刷
P.143より
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アルゼンチンは2001年末、
外国債の支払いを停止し、
「借金が返せなくなりました」
と宣言します。
また、2014年には2001年の債務再編に応じなかった
債権者との裁判に負け、再びデフォルトへ。
ギリシャもまた2012年、デフォルト状態に陥っていますね。
ギリシャの場合は2012年2月、
国債保有者と、債務の減免で合意し、
デフォルトに至りました。
そして、アルゼンチンもギリシャも
返せなくなった借金は
自国で発行できない通貨建ての借金でした。
アルゼンチンは外貨建ての借金を返せなくなり、
ギリシャはユーロ建ての借金を返せなくなりました。
もし、ギリシャもアルゼンチンも
借金が自国の通貨建てであったなら、どうでしょう?
状況は変わっていたでしょうね。
なぜなら、自国でお金を発行して
借金を返すことができるからです。
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日本はいくらでも借金できてしまうってこと?
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「でも、そんなこと言ったら
日本はいくらでも借金できてしまうってこと?
そんな都合の良い話、あるわけないだろ」
と思われる方もいらっしゃるでしょう。
もちろん限度は存在します。
政府が際限なく通貨を発行すれば、
円の価値が暴落し、ハイパーインフレになり、
それこそ国民の生活が破綻し、
デフォルトに陥りかねませんからね。
ただ、日銀の2%物価目標が
いつまでたっても達成の目処すら立たない今現在は、
インフレの心配は無いに等しいでしょう。
ですから、仮に政府が借金返済に困って
借金返済のため、通貨を発行したとしても
問題無い状況にあると言えます。
そういう意味で、日本が莫大な借金をかかえていながらも
円は安全資産としてみなされているのかもしれません。
お伝えしたように、
相場も経済も生き物のようなものです。
様々な要素が複雑に絡み合って
形成されるものであり、
全てを完璧に理解できるような
類のものではありません。
過去に1度も起こったことがないような
あり得ないことが起こり得るのが経済の世界です。
それを前提として
本日紹介させていただいた話も
参考にしていただければ幸いです。
それでは本日も
最後までご覧くださいましてありがとうございます。
下山敬三
よろしいですか?