まずはレシピ通りに作る
中源線建玉法は、売買のタイミングも数量配分も、すべて規定されています。銘柄との相性はあるものの、その規定通りに売り買いして利益になる、という計算があるのです。
しかし、書籍『中源線建玉法』には、ひたすら規定に従う、つまり“自分の意思を殺す”ことのつらさが切々と述べられているのです。
機械的売買法を「自信作」として紹介しながら、「自分の意思を通すことこそが、長続きさせるための条件」と、実践者の感情や感覚といったデリケートな部分を大切にしているということです。
一方、「やってみなければわからないことがある」として、まずは規定通りに売買してみろと書いてあります。
中源線は3分割の売買を実行するので、最初の建玉は「試し玉」と呼べます。「とりあえず建ててみる」ことで、その後の動きをみて「よし、いける!」となったら増し玉していくことが前提です。
だから、出動(試し玉)に慣れるためには、中源線の陰陽転換で必ず出動すべき、と示しています。その部分を、書籍から引用しましょう。
相場の波乗りの出発点を決めると同時に、自分の感覚を養成(体得)するために、中源線が転換したら、必ず出動してみることから始めるのがよい。
(中略)
実行したあとで「失敗(ダマシ)かもしれない」と思ったときは直ちに切る。しかし「今度は失敗するだろう」といって出動しないのは絶対にいけない。必ず同じ枚数で出動する。
(『新版 中源線建玉法』第四部 実践と実験より)
自分流にアレンジする、あるいは中源線をベースに独自の手法を構築するために、完成された中源線という手法で、自分をスッポリと「型」にはめてみることが肝要だ、と強調しているわけです。
料理でいえば、「レシピ通りに作ってみる」ことです。
経験の浅い者が、レシピを見ただけで「この工程は適切ではない」とか「調味料の組み合わせが不適当だ」などと言ったら、料理の先生に叱られるでしょう。「いいから、その通りに作ってみなさいよ」と。
どんな分野のことでも、とりあえず自分を捨てて「言われた通りにやってみる」なんて抵抗があるものです。経験や自負がジャマをします。
でも、少しだけガマンして“習い上手”になってみることも大切なことです。
ใช่ไหม?