【ドル/円相場】先週の相場と今週の見通し
【ドル/円相場】先週の相場と今週の見通し
先週のドル/円相場は、2週連続でドル売り・円買いの展開になってきた。ドルの下値では、30日までは109.0円で粘り強いもみ合いが続いていたものの、30日にトランプ米大統領が、不法移民が減らないとしてメキシコからの輸入品に、6月10日から、5%の課税強化をツイート。中国だけでなく、メキシコに対しても関税強化したことから、世界的な景気減速懸念が広がり、ドルがさらに下値を試す動きになり、31日には108.2円まで売られる場面があった。
なお、中国は米国の中国製品への関税引上げ表明に対抗して、6月1日から米国からの輸入品に対し、最大25%の課税強化を実行。これを受けて、米国も6月1日以降到着する中国製品に対し、25%の課税を実施した。さらに、28日、米国が課税を見送っているレアアースに対し、中国政府が米国への輸出規制をほのめかすなど、米中貿易協議は対立が深まる状況になってきている。
米中貿易協議の悪化やメキシコへの課税から、世界景気減速への懸念リスクが広がり、米国債利回りがさらに低下している。長期金利の指標である米10年債利回り、短期である2年債利回りは、米中貿易協議への警戒から4週連続で低下する流れになっている。週末31日は、2年債利回りが1.92%、5年債利回りが1.91%に、10年債利回りは2.13%。2年債と5年債利回りの逆転現象は続いており、かつ、政策金利である翌日物の金利であるFFレートの2.5%より大きく低下している。10年債利回りの2.13%はかなり下げ過ぎ感がある。米中貿易戦争に米国が貿易関税強化の動きが長引けば、世界経済および米国景気の景気後退リスクへの不透明感が高まり、米国債の買い要因になる。
取引量の最も多い通貨ペアであるユーロ/ドル相場は、30日まではユーロ売りの流れになっていたものの、米中貿易協議の対立深刻化と、30日にトランプ大統領が、メキシコからの輸入品への課税を行うとツイートしたことを切っ掛けに、ドル売り・ユーロ買いの展開になっている。ただし、週間では1.1116~1.1215ドルの小幅での推移に留まっている。
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