【ザ・トレーディング編】第31回:数千の銘柄から「運命の1つ」を見つける? 魔法に頼らない、誠実なスキャンの作法

前回(第30回)は、トレードの質を「金額」ではなく、相場が与えてくれたチャンスに対する「割合(グレード)」で評価することの大切さを学びました。そして、仕掛ける前に「これはグレードAのトレードか?」と自問することで、無駄な負けを減らせるというお話をしましたね。
しかし、ここで一つの大きな疑問にぶつかると思います。 「株には数千種類も銘柄があるのに、どうやってその『グレードA』の候補を見つければいいのだろう?」
今回は、膨大な銘柄の中から有望なトレード候補を絞り込む「スキャン(スクリーニング)」について、エルダー博士の現実的で地に足の着いた教えを共有させてください。私自身、昔は便利なツールに頼り切って失敗した経験があります。だからこそ、謙虚な気持ちでこのテーマに向き合いたいと思います。
1. スキャンは「魔法の杖」ではない
現代のトレーダーは、高性能なパソコンやソフトを使って、あっという間に何千もの銘柄を条件検索(スキャン)することができます。
しかし、エルダー博士は最初にこう釘を刺しています。 「スキャンに対しては、現実的な期待を持ってください。藁の山の中から針を探し出すような芸当はできません」
スキャンツールは、唯一無二の完璧なトレードを自動で見つけてくれる魔法の道具ではありません。 優れたスキャンができることは、あくまで「私たちが注意を集中すべき一群の候補を選び出すこと」だけなのです。 株を選ぶために必要な「仕事(最終的な判断)」から、私たちを解放してくれるわけではないことを、まずは謙虚に受け入れる必要があります。

2. ツールを動かす前の「大前提」
もしあなたが、「明確に定義した戦略」を持っていないなら、いったい何をスキャンするというのでしょうか?
エルダー博士は、有望な株をスキャンする前に、まずは自分が信頼できる「トレーディングシステムや戦略」を開発(定義)しなければならないと述べています。 自分が探しているのは「強い上昇トレンドの押し目」なのか、「弱気のダイバージェンスからの反転」なのか。その「自分が信頼するパターンを定義すること」が最初のステップであり、コンピューターでスキャンすることは、ずっと後の第2のステップに過ぎないのです。
そして、スキャンによって抽出された候補リストを見たら、あなたは一番初めにあの魔法の質問を投げかけなければなりません。 「これはグレードAのトレードか?」(理想とするパターンにその株が当てはまるのか?) その答えがイエスであって初めて、トレードの準備に取り掛かることができるのです。
3. 初心者を守る「否定的なフィルター」
スキャンを行う際、自分の望む条件(MACDが上向いている、など)を指定するだけでなく、「手を出してはいけない株」を除外する条件(否定的な条件)を加えることが非常に効果的です。
例えば、以下のようなフィルターをかけることで、初心者は無用な事故を防ぐことができます。
出来高が少ない株を除外する: 「1日の平均出来高が50万株(もしくは100万株)未満の株を除外する」という条件を入れます。 出来高が少ない株は、買いたい時に買えず、売りたい時に売れない「スリッページ」が活発に発生するため、それを避けるためです。
低位株(安すぎる株)を除外する: 株価があまりにも安い銘柄は、少しの価格変動で致命傷になることがあるため、除外の対象にします。
対象をメジャーな指数に絞る: 最初から全銘柄を対象にするのではなく、S&P500やラッセル2000などの指数を構成する銘柄にだけ絞ってスキャンするのも、効率的で安全な方法です。
