診断値と、EAとしての成績は別物だった
EURUSD向けEA「境界 - KYOKAI -」が完成するまでに、何を試し、何がダメで、何を残したか。その検証の過程を書いています。
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検証の最後にやったのは、見つけた強い相関を「使わない」と決めることでした。
入口と出口の形はほぼ固まりました。ここから先も、まだ良くできそうな気配はありました。ただ、これまでの検証で、条件を足せば良くなるとは限らないことも分かっていました。そこで最後の段階では、売買条件を増やさず、診断だけを足しました。見るだけで、売買ロジックはそのままです。
Pivotの移動速度には、はっきりした差が出た
見たのは、水平線の元になったPivot(高値・安値)が、直前にどれくらいの速さで動いていたかです。2024年のBUYで、±40pipsのどちらに先に届いたかが決まった41件を調べました。
| Pivot Lowの速度 > 0 27件中18勝 |
66.7% | |
| Pivot Lowの速度 < 0 14件中4勝 |
28.6% |
※バーの長さは勝った割合そのままです。
勝ったトレードのPivot Lowの移動速度は、中央値で+1.02pips/時。負けたトレードは、ほぼ0でした。安値が切り上がっている時のBUYは勝ちやすく、動いていない時は負けやすい。かなりきれいな差です。
これを条件に入れれば、バックテストの成績は上がったはずです。それでも、入れませんでした。
- サンプルが小さい。41件のうち、速度が負だったのは14件だけ
- 2024年のBUYだけの結果で、ほかの年・SELLでも成り立つか分からない
- 条件を足すほど、過去のデータにだけ合う形になる。いわゆる「過剰最適化」を避けたかった。
相関が出たことと、売買条件に入れていいことは別でした。この診断は、完成版には入れていません。
EURUSD専用・M15、水平線のFirst Touch逆張りEA「境界 - KYOKAI -」。使っている条件は、すべてマニュアルに載せています。
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+2ATRのあと、どこまで伸びるか
もう一つは、出口に関する診断です。利益が+2ATRに達してトレーリングが始まったあと、価格がさらにどこまで伸びるのかを測りました。出口そのものは変えていません。
| 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| +2.5ATRまで伸びた割合 | 60.7% | 61.8% |
| +3ATRまで伸びた割合 | 37.7% | 41.2% |
| +2.5ATR到達までの中央値 | 約23分 | 約50分 |
| +3ATR到達までの中央値 | 約1時間26分 | 約2時間8分 |
※+2ATRに達したあとの伸びの診断です。
+2ATRに達したあと、+2.5ATRまで伸びるのは約6割。+3ATRまでだと、4割前後に下がります。
この結果を見ても、出口は変えませんでした。+2ATRで追従を始め、距離は1ATRのまま。診断で何かが見えたからといって、すぐに仕様を動かさない。これが、最後に決めたことです。
最終版に残ったものと、その理由
| 残ったもの | なぜ残したか |
|---|---|
| ライン形成後のFirst Touch | M15の+5pips到達率が、描画時63.7%に対してFirst Touchは81.1%だった(第1回) |
| M15 | M5よりFirst Touchの反応がやや良かった(第1回) |
| BB2.9・ADX22.5 | RSIとストキャスは脱落し、BB・ADXの組み合わせはPF1.22だった(第2回) |
| 限定的な上位足フィルター | BUY全面禁止は2025年が約4割減。一部を限定すると3年とも改善した(第2回) |
| H4 ATR連動のSLとトレーリング | TP延長でPFが低下し、ナンピン追加は損失負担が1.5倍になり、固定幅トレーリングは利益がほぼ同じだった(第3回) |
| EURUSD専用 | 他の3通貨のPFは1.06・1.07・0.94。EURUSDはATRが最小で、2ATR先着率が最高だった(第4回) |
5回を通して分かったこと
- Touchしただけでは、優位性が足りなかった。戻ってきたFirst Touchに絞って、ようやく差が出た
- 条件を増やせば、EAが強くなるわけではなかった。足して残ったのはBBとADXで、H1 POは効果がなかった
- 勝率だけでは決められなかった。勝率が下がってもPFが上がる形があった
- 数字が良くても、採用しないことがあった。ナンピン追加や、Pivot速度がそうだった
- 診断値と、EAとしての成績は別物だった。診断で差が小さかった通貨が、出口まで含めると大きく分かれた
5回の検証の先にできたEA
境界 - KYOKAI -
水平線のFirst Touchを、逆張りで狙うEURUSD専用EA。この連載で書いてきた検証を経て、今の形になりました。
| 対象 | EURUSD専用・M15 |
| エントリー | 水平線(R1・R2・S1・S2)のFirst Touch逆張り |
| 絞り込み | ボリンジャーバンド・ADX・上位足フィルター |
| 決済 | H4 ATR連動のSLとトレーリング |
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
この連載は、境界の検証の記録としてひとまず完結です。今後はフォワードテストの記録を進め、結果を報告していきます。
※過去の検証結果であり、将来の成績を保証するものではありません。