【ザ・トレーディング編】第29回:痛みを伴う「敗北の受け入れ」。相場で生き残るための、誠実な損切りの作法?⚓️

前回(第28回)は、欲をかかずに「もう充分」と利益を確定させることの美しさについてお話ししました。利益を確定する瞬間は、自分の分析が正しかったと証明され、誰にとっても嬉しいものです。
しかし今回は、トレードにおいて最も痛みを伴い、できれば誰もが目を背けたくなる現実、「損切り」にしっかりと向き合いたいと思います。 私自身、過去に何度も損切りができずに痛い目を見てきました。だからこそ、謙虚な気持ちでエルダー博士の教えを皆さんと共有させてください。
1. ウォール街は、負けたギャンブラーに冷酷である
「トレードにスリルを追い求めているならば、本物のカジノに行くことを勧めます」 エルダー博士は、損切り注文を置かずにトレードをする人に対して、こう優しくも厳しく諭しています。
マカオやラスベガスなどのカジノであれば、ただで酒を振る舞ってくれたり、ギャンブルを楽しんでいる間は無料で宿泊させてくれたりするかもしれません。 しかし、ウォール街(金融市場)でお金をすってしまうギャンブラーには、そのような慰めのサービスは何ひとつ用意されていないのです。 損切り注文を置かずにトレードをすることは、資金を危険にさらす無謀なギャンブルに過ぎません。 長期的な生き残りと成功には、損切り注文が必要不可欠です。
2. なぜ私たちは、損切りを憎むようになるのか?
頭では「損切りが大事」と分かっているのに、なぜ私たちの多くは損切り注文を使うことにあまり気乗りしないのでしょうか。 それは、相場が私たちに「損切り注文を使わないこと」を教え込み、悪い習慣を植え付けるからです。
こんな経験はありませんか? 株を買って損切り注文を置いたところ、その注文が執行されて見事に損が確定してしまった。 すると、その直後に株価は反転し、最初に期待した通りに上昇していった、という経験です。 「損切り注文を置かずに保有していれば、損をする代わりに儲かっていたはずだ」と、悔しい思いをしたことは誰にでもあるはずです。 このような不愉快な体験を数回も繰り返すと、私たちは次第に損切り注文を嫌悪するようになります。
そして、損切り注文を置かずにトレードするようになり、しばらくの間は見事にうまくいく「幸せな時期」を過ごすことになります。 しかし、その幸せな時期は、大きなトレードが悪い方向に動いた時に終わりを告げます。 損切りせずに待ち続けた結果、損失はどんどん大きくなり、やがて生存の危機(サメのひと噛み)が到来し、自信は粉々に打ち砕かれてしまうのです。

3. プロが必ず身に着ける「大惨事を防止する救命胴衣」
エルダー博士は、損切り注文をカヤックに乗る時の「救命胴衣」に例えて教えてくれています。 カヤックに乗る時、私たちは水に落ちることを最初から想定しているわけではありませんが、法律や安全のために必ず救命胴衣を身に着けますよね。 時には動きの邪魔になるかもしれませんが、命に関わる不測の衝突事故から私たちを守ってくれる大切な防具です。
トレードでも全く同じです。どんなに自信のある「グレードAのトレード」であっても、相場に絶対はありません。 だからこそ、仕掛けると同時に、取り消すまで有効な注文(GTC)として「大惨事を防止するストップ(損切り注文)」を必ず設定してください。 これが、あなたの資金を破滅から救う救命胴衣となります。
4. どこに損切りを置くべきか?(謙虚な工夫)
では、具体的にどこに損切り注文を置けば、あの「狩られてから反転する」という悲しい事故を減らせるのでしょうか。