【ザ・トレーディング編】第28回:いつまで波に乗るべきか?? 欲張らずに利益を確定する「もう充分」の美学

前回(第27回)までは、口座の資金を守るための「リスク管理(資金管理)」について、少し厳しい現実も交えながらお話ししてきました。自分の弱さを認め、時には相場から身を引く謙虚さが、私たちを長く市場に留まらせてくれるのでしたね。
さて、ここからは最終章である「第10章:実践的なトレーディングの詳細」に入ります。 今まで学んできた分析ツールや資金管理のルールを統合し、実際のトレードに落とし込んでいくステップです。
今回は、エントリー(仕掛け)と同じくらい、いや、それ以上に多くのトレーダーを悩ませる「利益確定(利食い)」について考えてみましょう。あなたは、含み益が出ている時、どこで決済していますか?
1. 初心者を苦しめる「利益を限定したくない」という罠
トレードを仕掛ける前に、あなたは「利食い目標」を明確に設定しているでしょうか? 駆け出しの頃のエルダー博士は、利食い目標を尋ねられたら、「利益の可能性を制限したくない」と答えていたそうです。 初心者だった当時の博士は、明確な利食い目標を持たないまま、ただ株価が上がることを祈り、上がれば上がるほど幸せな気分になっていました。
しかし、そのような曖昧な態度でいるとどうなるでしょうか。 相場が天井を打って不愉快な気分でポジションを売り払うか、相場が反転して含み益が幻となり、建値(仕掛けた価格)の近くで慌てて決済する羽目になります。
「明確な利食い目標を持たない初心者は、株価が上がるとますます幸せな気分になり、反対に株価が下がるとますます気を落とします」
この言葉に、心当たりがある方も多いのではないでしょうか。私たちは、欲張るあまりに利益を確定するタイミングを見失い、結局は相場に利益を返してしまうのです。

2. 「もう充分」という言葉が持つ、強力な魔法
では、どこで利益を確定させるのが正解なのでしょうか。 エルダー博士は、テクニカル分析に基づいて設定する「控えめなターゲット」の重要性を説いています。 それは、月まで届くような高い目標ではありませんが、現実的な利食いの水準です。
博士は、この水準を「もう充分」という言葉で表現しています。
「『もう充分』という強力な言葉を忘れないでください。この言葉は、人生においてもトレーディングにおいても、同様に強い効力を発揮します」
この「もう充分」という言葉によって、私たちは欲に飲み込まれることなく、状況を客観的に把握できるようになります。 「まだ上がるかもしれない」という未練を断ち切り、次々と「もう充分」の利益を確定していくことで、長期的に優れた運用成績を達成できるのです。
3. トレードスタイル別の「もう充分」の目安
では、具体的に「もう充分」の水準はどこに設定すればよいのでしょうか。博士はトレードの期間(スタイル)に合わせて、いくつかの目安を示しています。