矢印サインを全自動で動かす前に確かめる5つ:リペイント・確定足・二重発注・指標・連続損失
サインが出たら自動で発注する設定にして、席を外す。手でボタンを押していたころは、押す前に自分の目が止めてくれていたことがありました。全自動では、それが1つも止まりません。
目が止めてくれていたのは、次の5つです。どれも、ツールを動かす前に、デモ口座で確かめられます。この記事では、何を数えるか、どの結果なら合格かを、順に書きます。
先に結論
- 確かめるのは、リペイント・確定足・二重発注・指標・連続損失の5つです。1つでも抜けると、手で押していたときには起きなかった発注が起こりえます。
- 5つとも、数えて「1件でも外れたら不合格」にします。確認の本数が少ないと素通りするので、リペイントは30本から50本は見ます。
- 連続損失だけは、起きないことの確認ではありません。起きたときに止まるかの確認です。勝率50%でも、100回取引すれば、最大連敗の中央値は6連敗です。
1. リペイント:発注した矢印が、あとで消えていないか
全自動は、矢印が見えた瞬間のチャートで発注します。あとから矢印が消える・動く・遅れて出るサインだと、過去チャートの「当たって見える矢印」と、実際に発注された矢印が別のものになります。型は別の記事に書いたので、ここでは確かめ方だけを書きます。
足が確定した時点で出ていた矢印を記録し、あとで過去チャートの同じ足と比べます。確定時に出ていたのに消えた矢印、確定時には無かったのにあとで出た矢印が、1本でもあれば不合格です。
必要な本数は計算で出せます。全体のうち p の割合で矢印が消えるとき、n 本見て1本も消えない確率は (1−p)^n です。10本に1本消える(p=10%)サインで、n=20なら 0.9^20=12.2%。20本見ても、8回に1回は、消えるサインを見落とします。
2. 確定足:どの足の矢印を、いつ読んでいるか
まだ確定していない足の矢印を読むと、確定前に消える矢印で発注します。確定した足(1本前)だけを読む作りかを確かめます。
もう1つ、MT5で見つけた落とし穴があります。MT5は、同じ銘柄のインジを1本の計算の列で順に計算します。同じ銘柄の別のチャートに計算の遅いインジがあると、サインツールがまだ1本前の足までしか計算しておらず、今の足の値として、1本前の足の値が返ってくることがあります。そのまま読むと、1本前の足の矢印を今の足のサインとして読み、向きが逆のサインで発注することがありえます。
検証に使ったMac版MT5では、計算を5秒遅らせたインジを別のチャートに置くと、遅れは6本中6本で起きました。ほかの環境で同じように起きるかは、確かめていません。
確かめ方は、発注の記録に「サインの足の時刻」と「発注した足の時刻」を並べることです。確定足だけを読む作りなら、サインの足は、発注した足の1本前になります。全件でそうなっていて、矢印の向きと発注の向きが同じなら合格です。
3. 二重発注:同じサインで、2回入らないか
確定した足の矢印は、次の足が閉じるまでチャートに残り、そのあいだ毎ティックが「サインが出ている」という判定になります。「この足は発注した」という記憶がなければ、同じサインで何度も発注します。記憶をツールの中の変数だけに置くと、MTを再起動した瞬間に消え、開き直したあとに同じサインでもう一度発注します。
確かめ方は2つです。サイン1回につき、注文が1件か。ポジションを持ったままMTを閉じて開き直したあと、同じサインで注文が増えないか。どちらかで増えたら不合格です。自作の全自動ツールをデモ口座(GOLD・MT5とMT4)で確かめたときは、どちらも0件でした。記憶は、MTの共通変数と、業者の記録に残る注文コメントの両方に置いています。
4. 指標:発表の前後に、新しい発注が止まるか
全自動は、指標の発表では止まりません。止める機能が付いているだけでは足りず、次の3つを確かめます。
- 指標の時刻をどこから取り、日本時間にどう直しているか。米国の夏時間の切り替えで、日本時間の発表時刻は1時間ずれます
- 見送る時間帯の中は発注が0件で、時間帯が終わったら発注に戻るか
- ツールを起動した直後でも、見送れるか
2つ目には罠があります。見送る時間帯に発注が0件でも、サインが出ていなかっただけかもしれません。同じ時刻に、指標で止めない設定の対照も動かして、時間帯の中にもサインがあったことを確かめます。
自作の全自動ツールを、本物の指標の前後で動かしました(2026年10月21日と22日・デモ口座・試験用の矢印・指標の前後30分は新規なし)。指標を見送る設定のチャートは、見送る時間帯の中の発注が、2回とも0件でした。対照は、同じ時間帯に20件と17件を発注しています。
5. 連続損失:負けが続いたとき、全自動は止まるか
手で押していたころは、負けが続けば「この日はやめよう」と思えました。全自動はそう思いません。連敗は、勝率が高くても避けられません。勝ち負けが独立だと仮定して乱数で2万回まわした計算では、勝率50%で100回取引したときの最大連敗は、中央値が6連敗、10回に1回は8連敗以上でした(計算の方法は別の記事に書いています)。
だから確かめるのは、連敗が起きないことではなく、その日の連続損失が決めた回数に届いたら、その日の新規の発注が止まるかです。止まるまでに減る額は、1回の損失が口座の何%かで決まります。1回1%なら、10連敗のあとの残りは (1−0.01)^10=90.4%。5%なら 59.9%です。
このあとに、5つの早見表と、デモ口座で確かめる手順を載せています(閲覧申し込みで読めます)。