【ザ・トレーディング編】第21回:ロンドンの銀行家が仕掛けた罠!?「CFD(差金決済取引)」の甘い誘惑と裏の顔???

前回(第20回)は、プロが初心者に「希望」を売りつける、冷酷なオプション市場の裏側を覗き見ましたね。圧倒的に不利な買い手と、時間(タイムディケイ)を味方につける圧倒的に有利な売り手。私たちが戦う「戦場」がいかに過酷か、少し背筋が凍る思いをした方もいるかもしれません。
さて、今回は私が前回予告していた通り、日本でも近年スマホアプリなどで大人気の「CFD(差金決済取引)」の世界にご案内します。 株や株価指数を少額から取引できる便利なツールとして宣伝されていますが、その成り立ちを知ると、少し見え方が変わってくるはずです。
実はこのCFD、私たちのために作られたものではありません。事の始まりは、1990年代のロンドンに遡ります。
1. プロの「節税ツール」が、大衆向けの「レバレッジ商品」に化けた日
CFDがどのようにして生まれ、なぜこれほど普及したのか。その歴史には、金融業界の巧みなマーケティングが隠されています。
誕生は1990年代のロンドン: CFDは1990年代に、ロンドンにある証券会社(UBSウォーバーグ)の従業員たちによって開発されました。
本来は機関投資家のための裏技: 当初は、機関投資家たちが株価変動のリスクをヘッジしたり、税金を節約したりする目的で使い始めた「プロ専用の道具」だったのです。
個人トレーダーへの解放と誘惑: しかし1990年代後半になると、数社がこのCFDの「レバレッジ効果」や(英国での)「所得税の免除」を宣伝文句にして、個人トレーダーへの販売を開始しました。
世界中への拡大: その後、取引対象はロンドン市場の株だけでなく、グローバルな株式、コモディティー(商品)、債券、通貨にまで一気に拡大しました。 特に、ダウ・ジョーンズやS&P500といったメジャーな株価指数に基づくCFDは、またたく間に大人気商品となりました。

2. CFDの正体:「モノ」は存在しない、ただの「賭け」である
CFD(Contract For Difference)を日本語に訳すと「差金決済取引」となります。これがどういう意味か、はっきりと理解しておく必要があります。