人工肉は「食」のパイオニアになるか?次の「人工肉関連銘柄」を追う
ウォール街は、植物由来人工肉のビヨンド・ミート(ティッカー:BYND)の上場を過小評価していたため、その誤算は高くつきました。
ビヨンド・ミートはIPO(新規株式公開)価格25ドルで2億4,000万ドル調達しました。
上場後、瞬く間に2倍に上昇し、現在では70ドル超で取引されています。
しかし、同社はIPOを準備しつつある人工肉関連や非動物性タンパク質製品企業の一つに過ぎずません。
ビヨンド・ミート以外の多くの非動物性タンパク質製品企業がIPOを準備しています。
そういった企業はまた、タイソン・フーズ(ティッカー:TSN)、カーギル等の既存大手食品企業の出資を確保しています。
人工肉市場に関する概要
人工肉関連を語る上で3つの用語を確認します。
なお、人工肉関連の表現にはいろいろ混乱も見られるので、全般的には「非動物性タンパク質製品」と考えることにします。
ビーガン—動物由来の成分を全く使わない製品
植物由来 – タンパク質は植物由来ではあるものの、副成分に一部動物由来を含む場合がある
培養 – タンパク質は微生物が培養したものかバイオリアクター内で組織培養させたもの
なお、微生物は通常は遺伝子操作されたもので、砂糖などの植物由来の材料を使っているため「植物ベース」と言われています。
また、組織培養手法が使われる場合、製品はいわば「動物」の肉が培養されますが、生きている動物を使うわけではありません。
市場は混雑気味
ビヨンド・ミートの上場成功で、伝統的な食品企業およびレストラン・チェーンの人工肉などの非動物性タンパク質製品への関心が高まっています。
TGIフライデー、バーガーキングなど幾つかの主要企業が人工肉関連の新製品を投入しました。
以下に、非動物性タンパク質製品を開発している企業の例を挙げます。
これらの企業が全て成功するわけではありませんが、一部の企業は成功して上場する可能性や大手企業に買収されるかもしれません。
企業名 | 開発している製品 | 主な進捗 |
ビヨンド・ミート | 植物由来の人工肉およびソーセージ | IPO成功、現在のバリュエーションは40億ドル超 |
インポッシブル・フーズ | 植物由来の人工肉およびソーセージその他 | バーガーキング、インポッシブル・フーズの人工肉を使った「インポッシブル・ワッパー」を販売 |
JUST(旧ハンプトン・クリーク) | 植物由来の人工卵およびマヨネーズ、培養肉 | 培養肉の開発、マーケティング、販売でアワノフード・グループと提携 |
メンフィス・ミーツ | 培養肉および培養鶏肉 | タイソン・フーズが2018年に出資 |
クララ・フーズ | 食品(卵白)および飲料のための培養タンパク質 | 2019年4月にイングレディオンがシリーズB資金調達を主導 |
ゲルター | 培養コラーゲン(ゼラチン) | 化粧品会社にコラーゲンを販売。2020年には食品も |
フィンレス・フーズ | 培養シーフード | 培養クロマグロ開発のため2018年に350万ドル調達 |
ワイルド・アース | ドッグフードのための培養タンパク質 | 市場規模が大きいとみられるビーガンドッグフード市場向け |
出典:筆者作成
市場は依然として揺籃期
ビヨンド・ミートは、上場への道を切り開きましたが、これは非動物性タンパク質製品企業への投資の始まりに過ぎません。
PSR(株価売上高倍率)約50倍となっている同社の極めて高い株価は、2019年後半にかけて調整していくとみられます。
投資家は、ビヨンド・ミートのより良いエントリーポイントまで株価下落を待つか、次の有望企業の台頭を待った方がいいかもしれません。
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