黄金の守人、見張る境界線を3日分に増やしてみた【検証】
連載 YokoとKenjiのGOLD EA使いこなし帖 第11回
こんにちは、Yokoです。
前回の最後に、「1日のエントリーを3回まで増やして、利益を伸ばす設定」をご説明しますね、とお約束しました。今回が、その回です。
Kenjiは今回、1日から5日までの5本のバックテストを、続けて回していました。5日版のレポートは、ファイルが18MBもあって、開くだけでひと苦労です。ごはんが冷める前に結果が届いたのですが、冷めたかどうかは、ご想像にお任せします。
先に、結論をお伝えします
・注文の対象を直近3営業日に増やすと、取引回数は約2.3倍、総損益は約1.9倍になりました
・そのかわり、プロフィットファクター(PF)は5.85 → 4.67に下がり、最大ドローダウン(DD)は約1.4倍になります
・日数を増やすほど利益は増えますが、増え方は少しずつ小さくなります。利益をDDで割った効率は、3日が一番よいという結果でした
・ただし「ワンポジ運用」ではなくなります。初期設定は、従来どおり1日です
まず、「3回まで」の言い換えです
前回は、分かりやすさを優先して「1日のエントリーを3回まで」と書きましたが、実際の仕組みは少し違います。正確には、こうです。
初期設定(1日)
前営業日の高値に買い、安値に売りのストップ注文を置きます。
3日にした場合
直近3営業日それぞれの高値と安値に、ストップ注文を置きます。買い・売りとも、最大3本ずつです。
つまり「回数を3回に決める」のではなく、「見張る境界線を、3営業日分に増やす」設定です。設定名はInp_LevelDaysで、1〜5日から選べます。同時に持てるポジションの上限(Inp_MaxPositions)は、初期設定の4のままです。
1日に実際に入る回数は、日によって違います。3日版のバックテストでは、取引のあった1,979日のうち、1回だけの日が約47%、2回の日が約30%、3回の日が約16%で、4回以上の日が約7%でした。最も多い日は6回です。
同じ条件で、1日と3日を比べてみました
検証の条件は、前回と同じです。海外業者の実ティックデータ(2014年7月〜2026年9月)、初期証拠金100万円、ロットは0.50固定で、v1.10の初期設定のまま、対象日数だけを変えました。1日の列は、前回の表と同じ結果です。
| 1日 初期設定 |
3日 | 変化 | |
|---|---|---|---|
| 取引回数 | 1,625 | 3,661 | 約2.3倍 |
| 勝率 | 86.5% | 85.3% | −1.2pt |
| PF | 5.85 | 4.67 | 約2割低下 |
| 1回あたりの平均損益 | 6,070円 | 5,113円 | 約16%減 |
| 最大連敗数 | 4回 | 5回 | 1回増 |
| 最大DD(残高) | 75,662円 | 104,780円 | 約1.4倍 |
| リカバリーファクター | 119.3 | 177.0 | 約1.5倍 |
| 総損益 | 9,864,312円 | 18,719,852円 | 約1.9倍 |
※1回あたりの平均損益は、総損益を取引回数で割った値です。リカバリーファクターは、総損益を最大DDで割った値で、大きいほど、DDに対して稼げていることを表します。
取引が増えた分、総損益はほぼ2倍になりました。一方で、1回あたりの質は、少し下がります。PFが下がり、1回あたりの平均損益も約16%小さくなりました。「見張る境界線」を増やしたぶん、前日の高値・安値に比べて、勢いの弱いブレイクも拾ってしまう、ということだと思います。
そして、DDは約1.4倍に増えました。利益の増え方(約1.9倍)のほうが大きいので、DDを割り引いた効率(リカバリーファクター)は、むしろ上がっています。
では、何日がちょうどよいのでしょう
Kenji:「3日だけじゃなくて、2日、4日、5日も回したよ。『増やせば増やすほどいい』のか、『ちょうどいいところ』があるのかを、知りたかったからね」
| 1日 初期設定 |
2日 | 3日 | 4日 | 5日 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 取引回数 | 1,625 | 2,755 | 3,661 | 4,378 | 5,025 |
| PF | 5.85 | 5.03 | 4.67 | 4.23 | 4.09 |
| 1回あたり平均損益 | 6,070円 | 5,351円 | 5,113円 | 4,708円 | 4,553円 |
| 最大DD(残高) | 75,662円 | 91,979円 | 104,780円 | 120,964円 | 142,657円 |
| リカバリー ファクター |
119.3 | 158.6 | 177.0 | 169.0 | 156.9 |
| 総損益 | 986万円 | 1,474万円 | 1,872万円 | 2,061万円 | 2,288万円 |
見えてきたことは、3つです。
① 総損益は、日数を増やすほど増えますが、増え方は全体として小さくなっていきます。1日から2日で約490万円、2日から3日で約400万円増えたのに対し、3日から4日は約190万円、4日から5日は約230万円です。
② 1回あたりの質と、PFは、日数を増やすほど下がり続けます。取引が増える代わりに、1回ごとの手応えは、薄くなっていきます。
③ リカバリーファクターは、3日が一番高く、そこから下がります。4日、5日と増やしても、利益の増え方よりDDの増え方のほうが大きくなる、ということです。
さらに、リスクをそろえて比べてみました。DDが、1日のときと同じになるようにロットを調整すると、どうなるでしょうか。ロットを小さくすれば、利益もDDも、その分だけ小さくなります。その関係を使った、おおよその目安です。
| 1日 | 2日 | 3日 | 4日 | 5日 | |
|---|---|---|---|---|---|
| DDを揃えるロット | 0.50 | 約0.41 | 約0.36 | 約0.31 | 約0.27 |
| そのときの総損益 | 約986万円 | 約1,213万円 | 約1,352万円 | 約1,289万円 | 約1,214万円 |
※固定ロットの損益は、ロットに比例する、という前提での換算です。最小ロットの刻みや証拠金の都合で、実際にはこの数字どおりにはなりません。あくまで、考え方の目安です。
Kenji:「同じリスクで比べると、3日が一番いい。つまり、3日は『ちょうどいいところ』に近いんだ」
ただ、これは過去のバックテストでの話で、将来も3日が一番よいとは限りません。「増やすなら、まず3日あたりから試してみる」くらいに、受け取っていただければと思います。
良いことばかりでは、ありません
Kenji:「今回も、正直に書いておくよ」
お伝えしておきたいことがあります。
・「ワンポジ運用」では、なくなります。3日版のバックテストでは、同時に3つのポジションを持った日が、28日ありました。同じ方向のポジションが、重なることもあります。守人の持ち味だった「ポジションを積み増さないシンプルさ」とは、別の使い方になります。
・1日の動きが、大きくなります。1日の最大の損失は、1日版の約2.3万円に対して、3日版は約2.9万円。1日の最大の利益は、約11.9万円に対して、約28.0万円でした。
・取引が増えるぶん、約定の遅れやスプレッドの影響を受ける機会も増えます。前回お伝えした約定遅延のテストは、1日版でしか行っていません。3日版で、どの程度変わるかは、まだ確かめられていません。
・直近の利益の比重が、大きい点にもご注意ください。2026年1〜9月の利益は、3日版の総損益の約27%を占めます(1日版でも約28%)。ゴールドが大きく動いた年の影響が強く出ています。
・今回の数字は、すべて過去のバックテストです。将来の利益を保証するものではありません。
反対に、良かった点も、もう1つあります。年ごとに見ると、13年のすべてで、3日版が1日版の利益を上回りました。前回は、2025年だけ旧バージョンが上回りましたが、今回の比較では、そういう年はありませんでした。
なお、同時に持てるポジションの上限(初期設定は4)に届いたのは、5日版では17日、4日版では6日でした。3日版は、一度も上限に届いていません。3日までなら、上限を気にする必要は、ほとんどなさそうです。
使い方の例
どの設定を選ぶかは、ご自身の運用方針しだいです。例として、3つの考え方をご紹介します。
① 今までどおり(1日)
ポジションは最大2つ。PFと1回あたりの質を重視する方、シンプルな運用がお好きな方向けです。
② 3日を試す
利益を伸ばしたい方向けです。ポジションが重なることを前提に、ロットは控えめに、動きを確かめてからをお勧めします。
③ 口座ごとに使い分ける
複数のライセンスをお持ちの方は、口座ごとに、1日と3日を分けて使えます。すべての口座が、同じ値動きにならないようにできます。
どの場合も、まずは小さめのロットで動作を確かめてから、少しずつ調整することをお勧めします。
Yokoのひとこと
「取引を増やせば、利益も増える」。当たり前のようですが、バックテストを並べてみると、増やし方にも「ちょうどいいところ」があることが分かりました。
初期設定の1日は、これまでと同じです。3日は、あくまで「選べる」オプションです。メリットも注意点も、数字を見たうえで、ご自身に合うほうを選んでいただければ、うれしいです。
この設定は、すでにご購入いただいている方も、追加費用なしでお使いいただけます。
次回予告
実は、以前は「最終回」を予定していたのですが、撤回します。書きたいことが、次から次へと出てきてしまって、とても終われそうにありません。
Kenjiが開発中の新しいGOLD EAのことなど、Kenjiの気まぐれしだいで、この連載はまだまだ続きそうです。次回は、v1.10の実際の口座での様子をお届けするか、それとも別の話になるか……それも、Kenjiの気分しだいです(笑)。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
Yoko
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