ダウ理論の押し目買いは勝てる? 押し安値+移動平均のルールをドル円16年分で数えたら、勝率56.5%でも儲からなかった
ダウ理論の押し目買いは、上の時間足で方向を決めて、押し安値まで下げてきた所を下の時間足で買う考え方で、FX の本や動画でよく紹介されます。ただ、どこを押し安値と見るか、どこで「支えられた」と言えるかは、人によって違います。そこで今回は、よく紹介される形を参考に、決まりをすべて数字で決めて、ドル円の 1 分足 16 年 9 か月分(2010 年 1 月〜2026 年 9 月)で機械的に数えました。入る足や利確の場所などを変えた 7 通りも同じ物差しで数え、続きで表にしています。
インジケーターと電子書籍を出品している「検証ソムリエ」です(EA は審査中です)。
先に結論
・基本の形(日足で方向を決め、4 時間足に押し安値がある間だけ、15 分足の押し安値で入る)は、2010〜2024 年の 1,184 回で、コストを引く前はほぼトントン(勝率 56.5%・PF 0.97・t 値 −0.4)、1 往復 1.0pips のコスト(スプレッドなど、買ってから決済するまでにかかる分)を引くと負けでした(PF 0.82・t 値 −2.4)。PF は「勝ちの合計 ÷ 負けの合計」で、1 より小さいと負けです。t 値は偶然かどうかの目安です(「決まり」の最後で説明します)。
・勝率は 5 割を超えますが、1 回の勝ちが負けより小さく、56.5% はトントンになる勝率とほぼ同じでした(理由は続きで数えています)。
・2025 年 1 月〜2026 年 9 月の確かめでも、コスト 1.0pips で PF 0.62(コスト前でも 0.71・139 回)でした。
・入る足(5 分足・1 時間足)、利確(損切り幅の 2 倍)、日足と 4 時間足の条件(以下「絞り」)を変えても、コストを引いてはっきりプラスになる形はありませんでした(利確 2 倍の PF 1.06 も偶然の範囲で、2025 年からは負け)。
決まり(細かい数字はこちらで決めました)
・ここで数えるのは、押し目買いを数字で決めた 1 つの形です。EMA21(21 本の指数平滑移動平均)と ATR14(直近 14 本の平均の値幅)はよく使われる設定で、山と谷の本数・ATR の倍率・待つ時間・利確の場所は、こちらで決めました。
・方向: 前の日の日足の終値が、日足の EMA21 より上なら買いだけ、下なら売りだけを狙います。
・山と谷: 前後 5 本より高い足を「山」、前後 5 本より低い足を「谷」とします。右側の 5 本がそろってから使うので、後から書き換わりません。
・押し安値: 谷のあとに山ができ、いったん下げたあと、終値がその山を上に抜けた時、下げの一番安い所(前の谷より上の時だけ)を「押し安値」とします。終値が押し安値を下に抜けたら、その押し安値は消えます。売りは上下を逆にした「戻り高値」です。
・4 時間足の線: 消えていない 4 時間足の押し安値のうち、日足の EMA21 より下で一番高いものを「4 時間足の線」にして、4 時間足の終値がその上にある間だけ買います。見るのは線があるかどうかだけで、入る場所が 4 時間足の線に近いかどうかは見ていません。方向とこの線の 2 つが「絞り」です。
・入る足: 15 分足(5 分足・1 時間足も数えました)。15 分足の一番新しい押し安値を「15 分足の線」とします。値段が 15 分足の線+ATR の 0.2 倍以内まで下げて、終値が 15 分足の線より上で確定したら「支えられた」とします。ATR は入る足(15 分足など)で測ります。
・入り方は 2 つで、早い方で入ります。① 1 分足・5 分足・15 分足・1 時間足・4 時間足・日足の 6 つの EMA21 のうち、一番上の物を見ます。支えられてから 4 時間以内に、15 分足の終値がそれを下から上に抜けたら、次の足の始値で買います。② 支えられた足で、15 分足の線と 15 分足の EMA21 の差が ATR の 0.1 倍以内なら、次の足の始値で買います。
・損切りは 15 分足の線から ATR の 0.1 倍下、利確は押しの前の高値(15 分足の線ができてから支えられるまでの最高値)。持つのは 1 回に 1 つで、決済は 1 分足で判定します(損切りと利確が同じ 1 分足に入ったら損切り)。
・データ: MT5(MetaQuotes)のドル円 1 分足(売値)。コストは 1 往復 1.0pips を基本に、0(参考)・0.3pips(安い業者の想定)・2.0pips(悪い時)でも数えました。2010〜2024 年で数え、2025 年 1 月〜2026 年 9 月は確かめ用に分けました。決まりと合格の線は、数える前に決めました。
・t 値は、平均の損益が「偶然でもこのくらいは出る幅」の何倍かの目安です。+−を外して 2 より小さければ偶然の範囲、3 を超えれば、まず偶然ではないと考えます。2〜3 は偶然とは言い切れない間なので、ほかの期間でも同じ向きかで確かめます。
結果 1: 基本の形は、コスト前でほぼトントン、コストを引くと負け
・2010〜2024 年: 1,184 回(年 79 回)・勝率 56.5%・PF 0.97・t 値 −0.4・合計 −266pips(コスト前)。コスト 1.0pips では勝率 51.4%・PF 0.82・t 値 −2.4・合計 −1,450pips。
・安い業者の想定(コスト 0.3pips)でも PF 0.92・t 値 −1.0 でした。
・1 年ごとに見ると、15 年のうちプラスは 4 年(2010・2014・2018・2023 年。コスト 1.0pips)。
・買いと売りのどちらも負けでした(PF 0.85/0.80・コスト 1.0pips)。
・2025 年 1 月〜2026 年 9 月: 139 回・PF 0.62(コスト 1.0pips)。
・数える前に決めた合格の線(t 値 3 以上・確かめの期間で PF 1.2 以上など 5 つ)は、回数(年 52 回以上)だけ合格でした。
ここまでは過去の集計で、将来も同じ結果になるとは限りません。決まりの数字はこちらで決めた物で、ほかの決め方なら結果は変わり得ます。売買の指示ではありません。これまでの検証(ゴトー日の 9:55 のあと・東京の朝の決まり事)は、電子書籍とインジケーターにまとめています(仲値と東京の朝の決まり事【電子書籍】: https://www.gogojungle.co.jp/tools/ebooks/87687 / 仲値あと サイン: https://www.gogojungle.co.jp/tools/indicators/87539)。
続きでは、次のことを数えています。
・入った時点で、15 分足の線から利確までの値幅の約半分(中央値 52%)を、もう進んでいた――勝率が 5 割を超える理由
・利確で終わった 669 回のうち 60 回は、コストで負けに変わる――5 分足(コスト前 PF 1.07)ではどうなるか
・入る足・利確・入り方・絞りを変えた 7 通りの表