指標を避けると、守人はどうなる? 12年分のバックテストで確かめました
連載 YokoとKenjiのGOLD EA使いこなし帖 第9回
こんにちは、Yokoです。
ここ数日、わが家のKenjiが、少し落ち着きません。夕食の最中にも、スマホを片手に、「あ、今、2014年を抜けた」「見て、見て、2019年のあたり」と、バックテストの進み具合を、実況してくれます。ご飯が冷めます。
理由は、経済指標カレンダーをCSVに読み込んで、バックテストでも、指標フィルターの効果を検証できるようになったからです。今回は、私が、その「興奮の成果」を、整理してお伝えします。
先に、結論をお伝えします
・守人の利益の多くは、指標をきっかけにした値動きから出ていました
・指標の時間帯に消した注文を、指標が終わったら戻す仕組みを試したところ、利益の約3分の2を残しながら、ドローダウン(DD)は、フィルターなしと同じ水準でした
・指標を全部避けても、PF2.4前後の優位性は残りました。指標を避ければ安全、という単純な話では、ありませんでした
何が、できるようになったのか
MT5のバックテスト(ストラテジーテスター)では、内蔵の経済カレンダーが使えません。そのため、これまでは、守人の「指標の前後は注文を見送る」という機能の効果を、バックテストで確かめることができませんでした。
そこで、Kenjiが、MT5のカレンダーのデータを、いったんCSVファイルに書き出し、バックテストの時に、それを読み込む仕組みを作りました。これで、過去12年分の指標を踏まえた検証が、できるようになりました。
検証の条件は、2014年7月〜2026年7月の12年間、ロット0.50固定、初期証拠金100万円、スプレッドの狭い口座の環境です。指標まわりの設定だけを変えて、守人を何通りも回しました。
最初の発見:初期設定の指標フィルターは、働いていなかった
最初の結果に、私たちは、少し驚きました。守人の初期設定(指標フィルターON、注文の削除なし)で回した結果は、フィルターなしと、完全に同じだったのです。12年間で、一度も、働いていませんでした。
理由は、時刻のズレです。守人が注文を置くのは、日本時間の夕方18時ごろ。一方、アメリカの重要な指標は、日本時間の夜21時半や22時半ごろに出ることが多く、「注文を置く瞬間」には、まだ指標の窓に入っていませんでした。初期設定の指標フィルターは、「注文を置く瞬間に、指標が重なっていたら見送る」という、限られた働きだったのです。
その後に出る指標は、すでに置いてある注文も、約定したポジションも、守ってくれません。
そこで、2つの設定を試しました
① 指標の時間帯に、まだ約定していない注文を削除する
夜の指標の前後30分に入ったら、置いてあるストップ注文を、いったん消します。
② 指標が終わったら、消した注文を、戻す
指標の窓が明けた時、価格がまだ注文の位置に届いていなければ、同じ注文を置き直します。もう価格が、その位置を越えていたら、その側は、その日は見送ります。買いと売りは、1本ずつ、別々に判断します。
②の「戻す」は、今回、新しく作りました。「消しっぱなしだと、指標のあとに始まる値動きを、取り逃がすのでは」と、Kenjiが考えたからです。
結果は、こうでした
| A フィルターなし |
B 高を避ける (戻さない) |
C 高を避ける (戻す) |
D 高+中を避ける (戻す) |
|
|---|---|---|---|---|
| 取引回数 | 1,600 | 994 | 1,366 | 1,242 |
| PF | 3.37 | 2.68 | 2.76 | 2.39 |
| 勝率 | 77.2% | 74.7% | 75.6% | 73.8% |
| 最大DD | 3〜4% | 6% | 3% | 4% |
| 12年の純利益 | 約804万円 | 約389万円 | 約543万円 | 約418万円 |
※「高」「中」は、経済指標の重要度の区分です。今回の再計測の数字のため、販売ページの数字とは、わずかに異なります。
この表から、3つのことが分かりました。
① 指標を避けると、利益は減る。Aの約804万円が、Bでは約389万円と、ほぼ半分です。守人は、前日の高値・安値を抜けた時に乗るEAで、指標は、その「抜ける」きっかけになりやすいのです。守人の利益の多くは、指標がつくる値動きから、生まれていました。
② 避けるだけだと、DDが悪化することも。Bは、取引を4割も減らしたのに、最大DDは6%と、Aより悪化しました。大きく伸びる勝ちトレードも、一緒に避けてしまうためではないか、と考えています。
③ 「戻す」と、改善する。BにCの「戻す」を加えると、取引は994回から1,366回、利益は約389万円から約543万円に戻り、DDも、Aと同じ3%でした。Aの利益の、約3分の2が残った計算です。
指標を全部避けたD(高と中の両方)でも、PFは2.39、12年の純利益は約418万円でした。指標に頼らなくても、「前日のレンジのブレイクを狙う」という考え方そのものに、それなりの優位性がある、ということです。
「往復ビンタ」は、どれくらいあったのか
指標の時に、一番怖いのは、買いも売りも約定して、両方とも損切りになる「往復ビンタ」です。Kenjiが、12年分の取引を、全部調べました。
買い・売り両方が約定した日は、約2,800日のうち112日(約4%)。そのうち、両方が負けた日は6日でした。さらに、両方が数分〜数十分以内に立て続けに約定した「瞬間的な往復ビンタ」は、12年間で8日、その中で両方負けたのは、1日だけでした。両方約定した112日の合計は、むしろプラスでした。トレンドが出る日は、買いも売りも、順番に伸びることがあるからです。
では、どう使うか
この結果を受けて、Kenjiは、「戻す」機能を入れた新しいバージョンを、急いで準備しています。設定は、少し増えますが、仕様書に、きちんと書く予定です。私たちからの、使い方の提案です。
・標準型:初期設定のまま。指標がつくる値動きも、そのまま取りにいきます。(バックテストでは、PF3.37、最大DD3〜4%、約804万円)
・バランス型:「高」の指標を避けて、注文を戻す。(PF2.76、最大DD3%、約543万円)
・慎重型:「高」と「中」の両方を避けて、注文を戻す。(PF2.39、最大DD4%、約418万円)
特に、守人を複数の口座で運用される方には、口座ごとに型を変える使い方も、できると思います。たとえば、1つ目は標準型、2つ目はバランス型、というように。すべての口座が、同じ日に、同じ結果にならないようにする、というリスク分散の考え方です。
お伝えしておきたいことがあります。
・今回の数字は、すべて過去のバックテストです。将来の利益を保証するものではありません。
・指標のデータは、MT5から書き出したCSVを使っています。実際の相場とは、細かい違いが出る可能性があります。
・指標を避ける設定は、利益を減らす代わりに、安心を買う面があります。必ずしも、DDが小さくなるとは限りません。ご自身の運用に合う設定を、小さめのロットで確かめていただければと思います。
Yokoのひとこと
「指標を避ければ、安全になるはず」と、Kenjiは信じていました。それが、数字で、きれいに裏切られた夜、彼は、しばらく黙ってから、「じゃあ、戻せばいいのか」と、また、パソコンに向かいました。ご飯は、また、冷めました。
思い込みが外れても、検証して、直して、また検証する。その繰り返しが、このEAを、少しずつ、確かなものにしていくのだと思います。分かったことは、良いことも、そうでないことも、これからも、お伝えしていきます。
次回予告
次回は、連載の最終回です。黄金の守人の「いま」を、正直にお話しします。私たちの口座の最新の経過、スプレッドの広い口座での取引の少なさ、そして、これまでのまとめも、お届けします。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
Yoko
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