【トレーディング編】第6回:チャートの線は「大衆の痛みと後悔」の跡。プロが狙うブレイクアウトの罠とは???

前回の記事では、チャートとは「買い手(ブル)と売り手(ベア)の戦いの記録」であり、そこに自分の希望的観測を重ねてはいけないというお話をしました。
今回は、そのチャート分析の中でも最も基本でありながら、最も強力な武器となる「サポート(下値支持線)」と「レジスタンス(上値抵抗線)」の真実について、少し長めに、そして深く切り込んでいきます。
あなたはチャートに水平線を引くとき、「なぜここで価格が止まるのか?」を考えたことがありますか?
ただの「過去の高値・安値だから」ではありません。その線の裏には、生々しい人間の感情が渦巻いているのです。
? 相場は「床と天井」をバウンドするボール
エルダー博士は、サポートとレジスタンスを「ボール」に例えて非常にわかりやすく説明しています。
ボールを床に落とすと跳ね返ります。反対に、ボールを上に投げると天井にぶつかって落ちてきます。 相場もこれと同じです。
サポート(床): 下落してきた価格が「これ以上は下がらないだろう」という買い手の力によって跳ね返される水準。
レジスタンス(天井): 上昇してきた価格が「これ以上は上がらないだろう」という売り手の圧力によって頭を押さえつけられる水準。
チャート上の目立った高値同士、あるいは安値同士を水平の線で結ぶだけで、この「床と天井」が見えてきます。 しかし、なぜ何ヶ月も、時には何年も前にできた「床や天井」で、再び価格がピタリと止まるのでしょうか?
? ラインの正体は「記憶、痛み、そして後悔」

サポートとレジスタンスが存在する本当の理由。それは、大多数のトレーダーがその価格水準で「苦痛と後悔」を感じているからです。
過去の相場に関する記憶が、私たちに売買を促し、それが新たなサポートとレジスタンスを作り出します。 例えば、ある価格まで下がった後に大きく上昇した相場があったとします。その価格に再び近づいたとき、市場には以下の感情を持った人々がひしめき合っています。
買い逃して後悔している人: 「あの時買っておけばよかった!次こそ、あの価格(サポート)まで落ちてきたら絶対に買うぞ」と待ち構えている人。
空売りをして苦痛を感じている人: 「あそこで売ったのは失敗だった。含み損が辛い。なんとかあの価格まで戻ってきてくれたら、トントン(建値)で買い戻して逃げよう」と祈っている人。
このように、「後悔から買いたい人」と「痛みから逃れたい(買い戻したい)人」の注文がその価格水準に集中するため、そこが強固なサポート(床)として機能するのです。 レジスタンス(天井)も全く同じ心理で、今度は「売りたい人」と「痛みから逃れたい(売り抜けたい)人」の感情が集中することで形成されます。
つまり、チャートに引く水平線は、決して無機質な線ではなく、「大衆の痛みと後悔が刻み込まれた傷跡」なのです。
? アマチュアが狩られる「ダマシのブレイクアウト」

サポートやレジスタンスの力学を理解すると、アマチュアがなぜ負け続けるのかが見えてきます。
その最たる例が「ブレイクアウト(床や天井を突き抜ける動き)」への対応です。