PF1.37なら優秀なEA?
FX
## バックテスト結果を見るときに私が確認している5つの数字
EA(自動売買システム)を評価するとき、よく目にする数字のひとつが「PF(プロフィットファクター)」です。
PF1.2、PF1.5、PF2.0――。
数字が大きければ大きいほど優秀なEAに見えますし、私自身もEAを作り始めた頃は、まずPFを上げることを意識していました。
しかし、複数年にわたってバックテストやパラメータ調整を繰り返していると、PFだけを見てEAを評価するのはかなり危険だと感じるようになりました。
今回は、実際にEAを開発・検証するときに、私がバックテスト結果のどこを見ているのかを紹介します。
---
## そもそもPFとは?
PF(Profit Factor)は、
**総利益 ÷ 総損失**
で計算される数字です。
たとえば、
- 総利益:137万円
- 総損失:100万円
であれば、
**PF=1.37**
となります。
PFが1.0を上回っていれば、少なくともバックテスト上では利益が損失を上回っていることになります。
そのため、
「PF1.5だから優秀」
「PF2.0だからかなり強いEA」
と判断したくなります。
ただし、ここには大きな落とし穴があります。
PFはあくまで「そのテスト期間全体の利益と損失の比率」であり、
**どのようにその利益を積み上げたのか**
までは教えてくれないからです。
---
# 私が確認している5つの数字
EAを評価するとき、私は主に次の5項目を確認しています。
1. PF
2. 取引回数
3. 最大ドローダウン
4. 年別成績
5. 損益曲線
順番に見ていきます。
---
## 1.PF
もちろんPFは確認します。
個人的には、
**PF1.3前後を安定して維持できれば、十分検討対象になる**
と考えています。
逆に、PF2.0やPF3.0という数字が出ても、その時点では喜ばないようにしています。
パラメータを細かく最適化すれば、特定期間だけPFを大きくすることは比較的簡単だからです。
重要なのは、
**「PFがどれくらい高いか」ではなく、「そのPFがどれくらい安定しているか」**
だと思っています。
---
## 2.取引回数
次に見るのが取引回数です。
たとえば、
- PF1.80
- 取引回数30回
というEAと、
- PF1.37
- 取引回数300回
というEAがあった場合、私は後者をかなり重視します。
取引回数が少ないと、
「たまたま大きな利益が出た取引が数回あった」
だけでPFが高くなる場合があるためです。
逆に、数百回の取引を行ったうえでPF1.3~1.4程度を維持しているのであれば、統計的な信頼度は相対的に高くなります。
実際に私が検証しているEAのひとつでは、
**2021年~2026年のバックテストで約300回の取引**
が発生しています。
このくらいの取引数があると、
単純に「数回のラッキートレードで利益が出た」
とは考えにくくなります。
---
## 3.最大ドローダウン
個人的にPF以上に重要だと思っているのが、
**最大ドローダウン(Maximum Drawdown)**
です。
たとえば、
- PF1.60
- 最大DD 45%
というEAがあったとしても、実運用ではかなり厳しいものがあります。
100万円で運用していた場合、
一時的に55万円程度まで資金が減少する可能性があるからです。
バックテスト画面では、
「最終的に利益が出ている」
という結果だけを見てしまいがちですが、実際に運用する場合、その途中のドローダウンに耐えられるかどうかは非常に重要です。
私自身は、
**利益を増やすことよりも、大きなドローダウンを避けること**
をかなり意識するようになりました。
EAは一度の大きな損失で終わるのではなく、長期間使えることの方が重要だと考えているためです。
---
## 4.年別成績
ここは特に重要です。
たとえば、あるEAを2021年~2025年までバックテストした結果、
全体では、
**PF1.40**
という結果が出たとします。
これだけを見ると、それなりに良さそうに見えます。
しかし、年別に分けてみると、
- 2021年:PF1.13
- 2022年:PF1.33
- 2023年:PF1.46
- 2024年:PF1.26
- 2025年:PF1.80
という結果になることがあります。
この場合、
「毎年同じように利益が出ているEA」
ではありません。
2021年はかなり苦戦していますし、2025年は非常に好調です。
逆に言えば、
**特定の年だけ極端に利益が出て、全体のPFを押し上げていないか**
を確認できます。
私はバックテストを行うとき、
長期間の結果を確認したあと、必ず年単位でも分割して確認するようにしています。
---
# 同じEAなのに、2022年は勝てて2024年は負ける
EAを作っていると、さらに極端なケースもあります。
あるロジックでは、
2022年:
- PF:1.26
- 損益:プラス
だったにもかかわらず、
2024年:
- PF:0.87
- 損益:マイナス
という結果になりました。
ロジックもパラメータも同じです。
それでも結果が大きく変わります。
これは、
**相場そのものが変化している**
からです。
トレンドが発生しやすい年もあれば、
レンジ相場が長く続く年もあります。
ボラティリティも変化します。
そのため、
「過去5年間で利益が出た」
というだけではなく、
**どの相場環境で強く、どの相場環境で弱いのか**
を見ることが重要になります。
---
## 5.損益曲線
最後に必ず見るのが、
**損益曲線(Balance / Equity Curve)**
です。
私はPFよりも、このグラフを見る時間の方が長いかもしれません。
理想は、
緩やかでもいいので右肩上がりになっていることです。
逆に、
- 長期間横ばい
- 突然大きく利益が増える
- 急激に資金が減る
- 一部の期間だけ利益が集中している
といったEAは注意します。
特に、
**ほとんど利益が出ていない期間が続いたあと、数回のトレードだけで大きく利益が増えているEA**
は要注意です。
PFだけを見ると非常に良い数字になることがあります。
---
# 「最高のパラメータ」を探さない
EA開発をしていて、最近特に意識していることがあります。
それは、
**最高のバックテスト結果を探さないこと**
です。
最適化を行うと、
PF1.30
PF1.40
PF1.60
PF2.00
といった結果が並びます。
どうしても一番数字の良いパラメータを選びたくなります。
しかし、そのパラメータが、
「過去の値動きに偶然うまく適合しただけ」
という可能性があります。
いわゆる、
**カーブフィッティング(過剰最適化)**
です。
そのため現在は、
最高成績のパラメータではなく、
**多少数値を変更しても大きく成績が崩れない領域**
を探すようにしています。
たとえば、
あるパラメータが、
20 → PF1.34
21 → PF1.38
22 → PF1.36
23 → PF1.35
24 → PF1.33
となっていれば、
かなり安心できます。
一方、
20 → PF1.05
21 → PF1.08
22 → PF2.10
23 → PF1.03
24 → PF0.98
という結果であれば、
22という数字だけに偶然適合している可能性があります。
個人的には後者は採用しません。
---
# 「エントリー条件」より「エントリーしない条件」
EAを作り始めた頃は、
「どういう条件でエントリーするか」
ばかり考えていました。
しかし現在は、
**どういうときにエントリーしないか**
の方を重視しています。
たとえば、
- ADXが低い
- EMAの傾きが弱い
- EMAから価格が離れすぎている
- ボラティリティが極端に低い
- 特定の時間帯
- 金曜日
- 月曜日の午前
などです。
こういったフィルターを追加すると、
取引回数は減ります。
その代わり、
**「条件の悪いトレードを減らす」**
ことができます。
EAの場合、
勝ちトレードを増やすよりも、
負けやすいトレードを減らす方が結果が改善することも多いと感じています。
---
# PF1.37は良い数字なのか?
では、
**PF1.37**
という数字は良いのでしょうか。
私の答えは、
**「PFだけでは判断できない」**
です。
たとえば、
- 取引回数300回以上
- 複数年で利益
- 最大DDが許容範囲
- 年別成績に極端な偏りがない
- 損益曲線が比較的安定
という条件を満たしたPF1.37なら、
私はかなり評価します。
逆に、
- 取引回数20回
- 特定の1年だけテスト
- 最大DD50%
- 数回の大勝ちで利益
というPF2.0なら、
実運用はかなり慎重になります。
---
# まとめ
EAのバックテストを見るとき、
ついPFの数字に目が行きます。
しかし、実際に長期間検証してみると、
PFはEAを評価するための数字のひとつにすぎません。
私が現在確認しているのは、
**PF・取引回数・最大ドローダウン・年別成績・損益曲線**
の5つです。
さらに、
「最高の成績が出るパラメータ」
よりも、
**多少条件が変わっても成績が崩れにくいロジック**
を重視しています。
EA開発では、
「どれだけ利益を増やせるか」
だけでなく、
**「どうすれば大きく負けないか」**
を考えることが、最終的には重要なのではないかと思っています。
今後も、実際のバックテスト結果を使いながら、
- 最適化でどこを見るのか
- ADXやATRをどう使っているのか
- 年度によって成績が変わる原因
- EAの必要証拠金をどう考えるか
- トレンド相場とレンジ相場への対応
など、実際にEAを作りながら分かったことを書いていく予定です。
※本記事は筆者自身のEA開発・バックテスト経験をもとにした内容です。将来の利益や運用成績を保証するものではありません。実際の取引は、ご自身の判断と責任で行ってください。
EA(自動売買システム)を評価するとき、よく目にする数字のひとつが「PF(プロフィットファクター)」です。
PF1.2、PF1.5、PF2.0――。
数字が大きければ大きいほど優秀なEAに見えますし、私自身もEAを作り始めた頃は、まずPFを上げることを意識していました。
しかし、複数年にわたってバックテストやパラメータ調整を繰り返していると、PFだけを見てEAを評価するのはかなり危険だと感じるようになりました。
今回は、実際にEAを開発・検証するときに、私がバックテスト結果のどこを見ているのかを紹介します。
---
## そもそもPFとは?
PF(Profit Factor)は、
**総利益 ÷ 総損失**
で計算される数字です。
たとえば、
- 総利益:137万円
- 総損失:100万円
であれば、
**PF=1.37**
となります。
PFが1.0を上回っていれば、少なくともバックテスト上では利益が損失を上回っていることになります。
そのため、
「PF1.5だから優秀」
「PF2.0だからかなり強いEA」
と判断したくなります。
ただし、ここには大きな落とし穴があります。
PFはあくまで「そのテスト期間全体の利益と損失の比率」であり、
**どのようにその利益を積み上げたのか**
までは教えてくれないからです。
---
# 私が確認している5つの数字
EAを評価するとき、私は主に次の5項目を確認しています。
1. PF
2. 取引回数
3. 最大ドローダウン
4. 年別成績
5. 損益曲線
順番に見ていきます。
---
## 1.PF
もちろんPFは確認します。
個人的には、
**PF1.3前後を安定して維持できれば、十分検討対象になる**
と考えています。
逆に、PF2.0やPF3.0という数字が出ても、その時点では喜ばないようにしています。
パラメータを細かく最適化すれば、特定期間だけPFを大きくすることは比較的簡単だからです。
重要なのは、
**「PFがどれくらい高いか」ではなく、「そのPFがどれくらい安定しているか」**
だと思っています。
---
## 2.取引回数
次に見るのが取引回数です。
たとえば、
- PF1.80
- 取引回数30回
というEAと、
- PF1.37
- 取引回数300回
というEAがあった場合、私は後者をかなり重視します。
取引回数が少ないと、
「たまたま大きな利益が出た取引が数回あった」
だけでPFが高くなる場合があるためです。
逆に、数百回の取引を行ったうえでPF1.3~1.4程度を維持しているのであれば、統計的な信頼度は相対的に高くなります。
実際に私が検証しているEAのひとつでは、
**2021年~2026年のバックテストで約300回の取引**
が発生しています。
このくらいの取引数があると、
単純に「数回のラッキートレードで利益が出た」
とは考えにくくなります。
---
## 3.最大ドローダウン
個人的にPF以上に重要だと思っているのが、
**最大ドローダウン(Maximum Drawdown)**
です。
たとえば、
- PF1.60
- 最大DD 45%
というEAがあったとしても、実運用ではかなり厳しいものがあります。
100万円で運用していた場合、
一時的に55万円程度まで資金が減少する可能性があるからです。
バックテスト画面では、
「最終的に利益が出ている」
という結果だけを見てしまいがちですが、実際に運用する場合、その途中のドローダウンに耐えられるかどうかは非常に重要です。
私自身は、
**利益を増やすことよりも、大きなドローダウンを避けること**
をかなり意識するようになりました。
EAは一度の大きな損失で終わるのではなく、長期間使えることの方が重要だと考えているためです。
---
## 4.年別成績
ここは特に重要です。
たとえば、あるEAを2021年~2025年までバックテストした結果、
全体では、
**PF1.40**
という結果が出たとします。
これだけを見ると、それなりに良さそうに見えます。
しかし、年別に分けてみると、
- 2021年:PF1.13
- 2022年:PF1.33
- 2023年:PF1.46
- 2024年:PF1.26
- 2025年:PF1.80
という結果になることがあります。
この場合、
「毎年同じように利益が出ているEA」
ではありません。
2021年はかなり苦戦していますし、2025年は非常に好調です。
逆に言えば、
**特定の年だけ極端に利益が出て、全体のPFを押し上げていないか**
を確認できます。
私はバックテストを行うとき、
長期間の結果を確認したあと、必ず年単位でも分割して確認するようにしています。
---
# 同じEAなのに、2022年は勝てて2024年は負ける
EAを作っていると、さらに極端なケースもあります。
あるロジックでは、
2022年:
- PF:1.26
- 損益:プラス
だったにもかかわらず、
2024年:
- PF:0.87
- 損益:マイナス
という結果になりました。
ロジックもパラメータも同じです。
それでも結果が大きく変わります。
これは、
**相場そのものが変化している**
からです。
トレンドが発生しやすい年もあれば、
レンジ相場が長く続く年もあります。
ボラティリティも変化します。
そのため、
「過去5年間で利益が出た」
というだけではなく、
**どの相場環境で強く、どの相場環境で弱いのか**
を見ることが重要になります。
---
## 5.損益曲線
最後に必ず見るのが、
**損益曲線(Balance / Equity Curve)**
です。
私はPFよりも、このグラフを見る時間の方が長いかもしれません。
理想は、
緩やかでもいいので右肩上がりになっていることです。
逆に、
- 長期間横ばい
- 突然大きく利益が増える
- 急激に資金が減る
- 一部の期間だけ利益が集中している
といったEAは注意します。
特に、
**ほとんど利益が出ていない期間が続いたあと、数回のトレードだけで大きく利益が増えているEA**
は要注意です。
PFだけを見ると非常に良い数字になることがあります。
---
# 「最高のパラメータ」を探さない
EA開発をしていて、最近特に意識していることがあります。
それは、
**最高のバックテスト結果を探さないこと**
です。
最適化を行うと、
PF1.30
PF1.40
PF1.60
PF2.00
といった結果が並びます。
どうしても一番数字の良いパラメータを選びたくなります。
しかし、そのパラメータが、
「過去の値動きに偶然うまく適合しただけ」
という可能性があります。
いわゆる、
**カーブフィッティング(過剰最適化)**
です。
そのため現在は、
最高成績のパラメータではなく、
**多少数値を変更しても大きく成績が崩れない領域**
を探すようにしています。
たとえば、
あるパラメータが、
20 → PF1.34
21 → PF1.38
22 → PF1.36
23 → PF1.35
24 → PF1.33
となっていれば、
かなり安心できます。
一方、
20 → PF1.05
21 → PF1.08
22 → PF2.10
23 → PF1.03
24 → PF0.98
という結果であれば、
22という数字だけに偶然適合している可能性があります。
個人的には後者は採用しません。
---
# 「エントリー条件」より「エントリーしない条件」
EAを作り始めた頃は、
「どういう条件でエントリーするか」
ばかり考えていました。
しかし現在は、
**どういうときにエントリーしないか**
の方を重視しています。
たとえば、
- ADXが低い
- EMAの傾きが弱い
- EMAから価格が離れすぎている
- ボラティリティが極端に低い
- 特定の時間帯
- 金曜日
- 月曜日の午前
などです。
こういったフィルターを追加すると、
取引回数は減ります。
その代わり、
**「条件の悪いトレードを減らす」**
ことができます。
EAの場合、
勝ちトレードを増やすよりも、
負けやすいトレードを減らす方が結果が改善することも多いと感じています。
---
# PF1.37は良い数字なのか?
では、
**PF1.37**
という数字は良いのでしょうか。
私の答えは、
**「PFだけでは判断できない」**
です。
たとえば、
- 取引回数300回以上
- 複数年で利益
- 最大DDが許容範囲
- 年別成績に極端な偏りがない
- 損益曲線が比較的安定
という条件を満たしたPF1.37なら、
私はかなり評価します。
逆に、
- 取引回数20回
- 特定の1年だけテスト
- 最大DD50%
- 数回の大勝ちで利益
というPF2.0なら、
実運用はかなり慎重になります。
---
# まとめ
EAのバックテストを見るとき、
ついPFの数字に目が行きます。
しかし、実際に長期間検証してみると、
PFはEAを評価するための数字のひとつにすぎません。
私が現在確認しているのは、
**PF・取引回数・最大ドローダウン・年別成績・損益曲線**
の5つです。
さらに、
「最高の成績が出るパラメータ」
よりも、
**多少条件が変わっても成績が崩れにくいロジック**
を重視しています。
EA開発では、
「どれだけ利益を増やせるか」
だけでなく、
**「どうすれば大きく負けないか」**
を考えることが、最終的には重要なのではないかと思っています。
今後も、実際のバックテスト結果を使いながら、
- 最適化でどこを見るのか
- ADXやATRをどう使っているのか
- 年度によって成績が変わる原因
- EAの必要証拠金をどう考えるか
- トレンド相場とレンジ相場への対応
など、実際にEAを作りながら分かったことを書いていく予定です。
※本記事は筆者自身のEA開発・バックテスト経験をもとにした内容です。将来の利益や運用成績を保証するものではありません。実際の取引は、ご自身の判断と責任で行ってください。