大手投資銀行が使用している手法とは!?
ゴールドマン・サックス(GS)やモルガン・スタンレーなどの大手投資銀行・プロップファームの新人研修(アナリスト・アソシエイト研修)では、個人投資家が好むオシレーター系(RSIやMACDなど)のテクニカル指標はほぼ教えられません。但し、ダイバージェンスは効果的です。
1. TWAP(Time Weighted Average Price:時間加重平均価格)
概要:
VWAPが「出来高」で加重するのに対し、TWAPは「時間」を均等に刻んで平均価格を算出します。 なぜ研修で教えるか:
出来高が薄い時間帯や流動性が低い銘柄でVWAPアルゴを使うと、自らの注文で価格を歪めてしまいます(シグナリングリスク)。そのため、大口が「市場に気付かれないようにステルスで均等分割執行する」際の最重要ベンチマークとしてTWAPが徹底的に教えられます。 リテールとの見方の違い:
リテールはVWAPばかり見ますが、機関投資家は「あえて出来高のないところでTWAPで静かに集める」動きを想定します。
2. アンカー付きVWAP(Anchored VWAP: AVWAP)
概要:
一般的なVWAPは「日中(デイセッション)」の開始時から計算されますが、AVWAPは特定の起点(アンカー)から計算をスタートさせます。 新人教育での実態: 機関投資家は「今日の寄り付き」だけでなく、以下のイベントを起点にしたVWAPを基準にポジション管理をします。
FOMCや中央銀行の政策金利発表の瞬間
直近の四半期決算発表日
年初来(YTD)、月初、SQ(メジャーSQ)
スイングの最高値・最安値(トレンド発生の瞬間)
重要性:
「あの決算以降に入ってきた全大口投資家の平均取得単価」が正確に可視化されるため、強烈なサポート・レジスタンスになります。
3. TPO プロファイル(Market Profile)と 出来高プロファイル(Volume Profile)
概要:
横軸(時間)ではなく、縦軸(価格水準)に「滞在時間(TPO)」や「約定出来高(Volume)」をヒストグラム表示するツールです。 主要な数値:
POC (Point of Control): その期間で最も商いが集中した価格帯(大口の合意価格)。
VAH / VAL (Value Area High / Low): 全体商いの約68%(標準偏差1σ)が収まる「フェアバリュー(公正価値)」の境界線。
なぜ使うか: 機関投資家は「現在の価格が割高(Premium)か割安(Discount)か」をローソク足ではなくバリューエリアとの位置関係で判断します。新人はまず「フェアバリューの外側(レンジブレイクや過度な乖離)」と「内側(平均回帰)」のフローをこれで叩き込まれます。
4. 累積出来高デルタ(CVD: Cumulative Volume Delta)
概要:
指値ではなく、成行買いと成行売りの差分(アグレッシブな注文の偏り)を累積折れ線で表示する指標です。 新人教育・プロップデスクでの役割:
価格が上昇しているのにCVDが下落している場合、「成行買いの手が止まり、大口が指値の売り板をぶつけて吸収(Absorption)している」ことが一目で分かります。
ダイバージェンスを見ることで、リテールがブレイクで飛びついた局面(Trap)を機関投資家が逆手に取る瞬間(流動性の吸収)を判断します。
5. オーダーフロー / フットプリント(Footprint / Order Book Heatmap)
概要:
1本のローソク足の中身を分解し、価格ごとの「Bid / Askの出来高差」を数字で見せるツール(BookmapやSierra Chart等)。 背景: 板情報(DOM)の奥にある大口の氷山注文(Iceberg Orders)や、どの価格帯で損切りが連鎖(Liquidity Sweep)したかをリアルタイムで追跡するために使われます。
まとめ:彼らが見ている本質
GSなどの機関投資家教育における共通点は、「過去の価格データ(終値・高値など)を加工した遅行インジケーター(移動平均線やMACDなど)は売買判断に使わない」という点です。
彼らは「出来高(Volume)」「時間(Time)」「約定フロー(Order Flow)」の3要素のみを重視し、「他参加者がどこに損切りや大量の注文を置いており、それをどう巻き込んで約定させるか」を可視化する指標だけを実務で徹底的に叩き込みます。
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