暗号資産相場分析(9月29日)
暗号通貨
2026年9月29日(火)時点の暗号資産(仮想通貨)市場は、朝方に観測された下落傾向から持ち直し、いわゆる「調整後の安定」局面を迎えています。マクロ経済における逆風(米長期金利の上昇や原油価格の高騰など)が株式を含むリスク資産全般を圧迫しているものの、暗号資産市場においては機関投資家による継続的な買い増しや、ETF(上場投資信託)への強い資金流入が強力な下支え要因となっています。
本日の主要通貨の値動き(概況)
主要データサイト(CoinMarketCap等)の夜時点でのデータによれば、各通貨の価格水準は以下の通り推移しています(利用する為替レートや取引所によって若干の価格差が生じます)。
・ビットコイン(BTC): 約84,400ドル前後で推移。24時間比ではほぼ横ばいから小幅なプラス(+0.1%前後)を記録しています。朝方は83,000ドル台まで一時下落する場面もありましたが、その後に力強い回復を見せました。現在の時価総額は約1.67兆ドル規模を維持しています。
ビットコイン日足チャート
・イーサリアム(ETH): 約2,740ドル前後。24時間比で微増(+0.3%前後)となっています。先週記録した高値である2,800ドル台からはやや落ち着いた値動きを見せています。
イーサリアム日足チャート
・BNB: 約766ドル前後(24時間比でほぼ横ばいの推移)。
・XRP: 約1.54ドル前後(24時間比で相対的にやや強めの動きを維持)。
・ソラナ(SOL): 約121ドル前後(小幅な増加傾向)。
・その他の主要銘柄: TRXやDOGEなどの主要アルトコインは小幅な変動にとどまっています。市場全体の時価総額は約2.89兆ドル規模に達しており、市場の投資家心理を示す「Fear & Greed指数」は69(強欲ゾーン)を示しています。また、暗号資産市場全体におけるビットコインの占有率を示すBTCドミナンスは58.5%前後で推移しています。
朝方の報道では、ビットコインが1%を超える下落を見せ83,000ドル台まで押し込まれたと伝えられていましたが、その後は押し目買いの需要が入り、順調に買い戻される展開となりました。
値動きの主な要因(マクロと機関投資家の攻防)
今回の市場下落および価格調整における最大の主因は、マクロ経済環境の変化と地政学リスクの上昇です。
【下落・圧迫要因】
・米10年債利回りの急伸: 米国10年債利回りが5.2%を超え、2007年以来となる高水準に達しました。国債利回りの上昇は無リスク資産の魅力を高めるため、暗号資産のようなリスク資産に対する相対的な投資魅力を低下させます。
・原油高とインフレ懸念の再燃: ブレント原油が1バレル=105ドル前後まで上昇したとの報道や、米国とイランを巡る地政学的緊張の再燃が、世界的なインフレ長期化懸念を引き起こしています。
・米経済指標の底堅さと利上げ警戒: 購買担当者景気指数(PMI)などの米経済指標が予想以上に強い結果を示したことで、米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締めや高金利政策の長期化観測が一段と強まりました。
・主要経済指標発表前の様子見姿勢: 水曜日に予定されている米個人消費支出(PCE)物価指数など、今週控えている重要な経済指標の発表を前に、投資家の間で慎重な様子見ムードが広がっています。
【上値を支える要因(機関投資家の動き)】
・Strategy(旧MicroStrategy)の追加購入: ビットコイン最大保有企業であるStrategy社が、今週も約1,666 BTC(約1.43億ドル相当)を追加取得したと発表しました。これにより同社の総保有量は84.7万BTCを超え、平均取得単価は約75,437ドルとなっています。
・BitmineによるETH購入: Bitmineがイーサリアムの追加取得を進めており、その保有量は全発行供給量の約4.9%にまで近づいています。
・スポットBTC ETFへの資金流入: 米国の現物ビットコインETFに対する継続的な資金流入が続いており、市場の需給面を強力に下支えしています。
先週からの価格動向(背景と文脈の整理)
先週(9月22日頃〜)からの価格推移を振り返ると、「急騰局面のあとの健全な調整」という構図が見えてきます。
・9月21日頃、ビットコインは81,000ドル台から一気に買われ、一時87,000ドルを超える急騰を見せました(1日で約7%前後の上昇を記録)。
・その後、前述した米長期利回りの急騰や過熱感に伴う利益確定売りが膨らんだことで、価格は83,000〜84,000ドル台まで押し戻されました。
・しかし、この調整を経てもなお、9月全体の月次パフォーマンスはプラス圏をしっかりと維持しており、7月・8月・9月の「3ヶ月連続で月次プラス」を達成する可能性が極めて高い状況です(9月単体では約7%前後の上昇率)。
・イーサリアム(ETH)についても7週連続で上昇基調を保ちつつ、現在は2,800ドル付近で一服感が出ています。また、ソラナ(SOL)などの一部アルトコインは、週を通して相対的に強い値動きを見せる場面がありました。
総括すると、「機関投資家主導の大型資金によって大きく押し上げられた後、マクロ環境の悪化を受けて一旦の調整が入ったものの、現在は83,000〜85,000ドルのレンジ内で底堅く揉み合っている」という状況です。
BTC ETFの資金流入状況(直近1週間の傾向)
市場を牽引する大きな要素となっているのが米国の現物ビットコインETFです。特に「9月21日〜25日の1週間」の資金流入スピードは目を見張るものがありました。
この1週間における米スポットBTC ETFの純流入額は約23.9億ドルに達し、2026年に入ってからの最大記録となったほか、2025年10月以来の高水準を記録しました。これにより、YTD(年初来通算)のパフォーマンスも明確なプラスに転換しています。
【日次資金流入の主な目安(SoSoValue等参照)】
・9月21日(月): 約 +9億9,900万ドル(今年最大級の単日流入を記録)
・9月22日(火): 約 +7億1,500万ドル
・9月23日(水): 約 +3億4,700万ドル
・9月24日(木): 約 +1億9,100万ドル
・9月25日(金): 約 +1億3,500万ドル
この強烈な資金流入を主導したのは、BlackRockが提供する「IBIT」であり、1週間で約12億ドル規模を集めました。また、Fidelityの「FBTC」も好調な流入を維持しています。直近の9月28日には約+3,100万ドルと流入ペース自体は鈍化したものの、連続流入記録自体は継続しています。なお、イーサリアムETF(ETH ETF)にも同週で約6.9億ドルの純流入が観測されました。
個別銘柄・目立った動きを見せたアルトコイン
この1週間で最も市場の話題を集めたのはQuant(QNT)です。
・背景と出来事: 9月24日、米国の主要25行が関与し1日あたり2兆ドル超の資金決済を担う大手決済機関「The Clearing House」が、トークン化預金のクリアリング・決済ネットワーク構想「On-Chain Money Initiative」において、Quantの技術を採用すると発表しました。
・価格への影響: この材料を受けてQNTの価格は1週間で3倍以上に急騰。60ドル台から一時300ドル超、最大370ドル付近まで暴騰しました。その後はボラティリティが非常に高く、急落して大幅に値を戻す局面もありました。トークン自体が決済で直接使用されるかについては慎重な見方もありますが、伝統的金融の機関向けインフラにおける採用事例として強い注目を集めています。
【その他の主な銘柄動向】
・Chainlink(LINK): 実世界データを取り込むオラクル需要の底固さを背景に、週次で+17%前後と堅調に推移しました。
・The Graph(GRT): データのインデックス需要の高まりから、一時+18%前後の上昇を記録しました。
・Hedera(HBAR): IBMに関連するニュースや提携思惑などをきっかけに、一時株価が大きく買われる展開となりました。
・ZEC(Zcash): 12%超の下落を記録するなど、暗号資産市場全体のボラティリティの影響を強く受けて価格が乱高下しました。
・HYPE(Hyperliquid): 9月29日に予定されていた大規模なトークンアンロック(ロック解除)に伴い、市場への供給量増加圧力が懸念され、警戒感が高まりました。
全体的な見取り図として、ビットコインやイーサリアムといったメジャー通貨はマクロ経済や金利動向に素直に反応する一方、明確な個別材料(機関投資家への採用や実用化)を持つインフラ系・データ系のアルトコインが局所的に急騰する展開が目立ちました。今後は、水曜日のPCE物価指数の結果と米金利の推移が市場の方向性を決定づける大きな鍵となります。
その他の市場・マクロ・規制・政治関連ニュース
【マクロ経済・AI関連ニュース】
・米10年債利回りが5.2%に達し、ゴールド(金)が4,200ドルを割り込み、中東の緊張感増す中で原油が再上昇するなど、マクロ経済環境は非常に厳しい状況が続いています。しかしその一方で、AI(人工知能)関連銘柄への投資熱は冷めていません。
・フィラデルフィア半導体指数(SOX)は先週比で+6.27%上昇し、AMD、Arm、Intelの主要3社が揃って10%を超える大幅高を記録しました。
・今週の株式・IT市場における最大の注目イベントは、マイクロンテクノロジー(#Micron)の決算発表およびOpenAI主催の「OpenAI DevDay」となります。
【米大統領・政治関連ニュース】
・トランプ大統領の最新の資産報告書が公開されました。7月中にコインベース(#Coinbase)およびストラテジー社(#Strategy)の株式をそれぞれ最大10万ドル規模で購入していたことが判明した一方、暗号資産マイニング企業のCleanSpark(#CleanSpark)やMarathon Digital(#MARA)の株式を売却していたことが明らかになりました。なお、コインベースは米最大の暗号資産取引所であり、ストラテジー社は世界最大のビットコイン保有企業です。
【規制機関(SEC・CFTC)の動向と個人情報保護】
・SEC(米証券取引委員会)の「クリプト・ママ」として知られるヘスター・ピアース委員が、10月2日をもって退任することが決定しました。約9年間にわたり暗号資産規制の緩和や業界の健全な育成を訴え続けた人物であり、退任後の11月からはリージェント大学法科大学院の准教授に就任予定です。同氏は初期の暗号資産規制における最大の理解者・功労者と評価されています。
・ピアース氏は退任を前に、現在の過度なKYC(本人確認データ収集)制度の危険性について強い警鐘を鳴らしました。「現行のKYC/AML(マネーロンダリング防止)制度は単に巨大な個人情報データベースを作り出しているだけであり、ハッキングや情報漏洩が発生した際、暗号資産保有者をフィッシング詐欺や現実世界での物理的な襲撃・強盗リスクに晒している」と指摘しています。
・この問題の解決策として、ピアース氏は個人情報を直接公開・提供することなく規制上の要件を満たしていることのみを数学的に証明できる「ゼロ知識証明(ZK証明)」技術の積極的な活用を強く推奨しています。
・商品先物取引委員会(CFTC)は、暗号資産市場における明確なルール策定を本格化させると発表し、「GO TIME(始動の時だ)」との力強い宣言を出しました。
・先週からの規制面での進展として、SECがトークン化株式の取引を一部承認したほか、CFTCもデリバティブ開発者に対する登録要件を大幅に緩和するなど、規制環境のアップデートが加速しています。
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