先が見えると練習にならない理由 ─ 過去検証に「後知恵」が入る3つの場面
はじめに
過去検証では成績が良かったのに、実際のトレードでは同じようにいかない。 そんな経験はありませんか。
理由はいくつもありますが、見落とされやすいのが「後知恵」です。 後知恵とは、結果を知ったあとで「最初から分かっていた」と感じてしまう心の動きのことです。
過去のチャートには、すでに結果が出ています。 やり方しだいで、その結果が練習の中に入り込みます。
この記事で分かること
- 過去検証に後知恵が入り込む 3 つの場面
- 手で検証するときに、後知恵を減らす工夫
- 先の足が「無い」チャートで練習するという考え方
後知恵が入ると、何が困るのか
過去検証の目的は、「自分はこの場面でどう判断するか」を確かめることです。
ところが、答えを少しでも知っていると、判断はその答えに引っぱられます。 本人は自分で考えたつもりでも、実際には答えを見て決めています。
その結果、検証の成績は実力より良く出ます。 良く出た成績を信じて実戦に入ると、「こんなはずでは」となりやすくなります。
後知恵は、気をつけているつもりでも入り込みます。 どこから入るかを知っておくことが、最初の対策です。
場面 1:画面の右側に、先の足が見えている
手で過去検証をするときは、チャートを左へ戻して、少しずつ右へ進めます。
このとき、先の足は消えていません。画面の右側にあります。 スクロールを少し行き過ぎたり、チャートの縮尺を変えたりしただけで、その後の値動きが目に入ります。
一瞬でも見てしまうと、忘れることはできません。 「ここは上がりそうだ」と感じたとき、それが自分の判断なのか、さっき見た値動きの記憶なのか、区別がつかなくなります。
場面 2:上位足には、できあがった足が表示されている
たとえば 15 分足で練習しながら、4 時間足で流れを確かめるとします。
手で検証していると、4 時間足のチャートにはその日のうちにできあがる足が、最後まで描かれた形で表示されます。 15 分足ではまだ 10 時なのに、4 時間足を見ると、12 時までの高値と安値がもう分かってしまいます。
上位足を見るのは大切なことです。 ただ、手で見る上位足には、先の答えが混ざりやすいのです。
同じことは、足ができあがる途中にも言えます。 過去のチャートで見えるのは、できあがった足だけです。 実際の相場では、足は上がったり下がったりしながら形になります。 「陽線で閉じると分かっていれば入れた」場面でも、形ができる途中では迷うはずです。その迷いを練習できません。
場面 3:結果を知ってから記録を書いている
検証を何回かまとめて行い、あとで表に書き写すことがあります。
このとき、入った理由を結果を知ってから書くことになります。 勝った取引には「根拠がそろっていた」、負けた取引には「無理に入った」と書きたくなります。
こうして書いた記録は、振り返りに使えません。 本当にその場で考えていたことではなく、結果に合わせた説明になっているからです。
見覚えのある相場で練習するときも同じです。 大きく動いた日の値動きを覚えていると、チャートを見る前から答えが頭にあります。
手で検証するときに、後知恵を減らす工夫
道具を使わずに続けるなら、次のことを決めておくと、後知恵が入りにくくなります。
- 進める前に書く。 次の足へ進める前に、「買う・売る・見送る」とその理由を 1 行書きます。書いてから進めます
- 損切りと利確も先に書く。 入ると決めたら、損切りと利確の価格を先に書きます。当たってから書いても根拠になりません
- 上位足は、確定した足だけを見る。 いま練習している時刻より前に閉じた足だけを見ます。まだ閉じていない足は見ないようにします
- 見てしまった場面は数えない。 先が見えてしまった場面は、成績に入れずに飛ばします
- 覚えている相場は避ける。 値動きを覚えている日は、練習の題材にしません
ただし、どれも意思で守る方法です。 疲れているときほど、書く前に進めてしまいます。 何十回、何百回と続けるなら、守れない日が出てくるのは自然なことです。
先の足が「無い」チャートで練習する
後知恵を意思だけで防ぐのが難しいなら、先の足そのものが無い状態で練習する方法があります。
MT5 用のインジケーター「FX過去検証トレーナー」は、練習用の銘柄を別に作り、そこへ過去の足を 1 本ずつ入れていきます。 まだ入れていない先の足は、隠しているのではなく、データとして存在しません。
右端の足の先には、まだ何も入っていません。スクロールしても先は出てきません。
さきほどの 3 つの場面は、次のように変わります。
- 場面 1(画面の右側):先の足が無いので、スクロールを行き過ぎても見えません
- 場面 2(上位足):上位足も、練習している時刻までの足でできています。4 時間足の最後の足は、その時刻までの高値と安値で描かれます。遅い速度で再生すると、足ができあがる途中も見られます
- 場面 3(記録):トレードノートに、入った理由を注文の前に書けます。「厳格」の設定にすると、理由を書くまで注文も決済もできません
左が普段の設定、右が「厳格」の設定です。厳格では、理由を書くまで注文のボタンが「記録を書く」に変わります。
ただし、このツールにもできないことがあります。 手数料・スワップは計算に入りません。設定した最小の足(既定は 1 分足)より細かい値動きも再現しません。 見覚えのある相場を避けることも、道具ではできません。そこは自分で選ぶ必要があります。
まとめ
- 過去検証には、画面の右側・上位足・あとから書く記録の 3 か所から後知恵が入り込む
- 手で検証するなら「進める前に書く」「確定した上位足だけを見る」「見てしまった場面は数えない」を決めておく
- 先の足が「無い」チャートで練習すれば、意思に頼らずに後知恵を減らせる
練習ツールについて
この記事で紹介した練習は、MT5 用のインジケーター「FX過去検証トレーナー」でできます。 過去のチャートを 1 本ずつ再生し、仮想口座で注文・記録・振り返りまで行える練習用のツールです。
無料版があります。 すべての機能・通貨ペア・期間で、決済 30 回まで(通算)練習できます。期限はありません。 お使いの MT5 で動くか、普段のインジケーターが使えるかを、先に確かめられます。
▶ 無料版(商品ID 86772) https://www.gogojungle.co.jp/tools/indicators/86772
回数を気にせず練習したい方は、製品版をご覧ください。 無料版で書いたトレードノートと保存した検証は、そのまま製品版で開けます。
▶ 製品版(商品ID 86765) https://www.gogojungle.co.jp/tools/indicators/86765
ご注意
- このツールは練習のための道具です。利益を保証するものではありません。実際の発注は行いません。
- この記事は練習の方法の紹介です。特定の売買や手法をすすめるものではありません。