ゴールドは再び上昇するのか? 米利上げと金需要から考える今後の行方
2026年9月26日執筆。ドル建て金現物(XAU/USD)を対象に、今後数週間から数カ月の見通しを整理します。
ゴールドの今後を考えるうえで、いま注目したいのは、米金利とドルによる下押し圧力が和らぐかどうかです。
中央銀行による金購入や投資家の資金流入は、金相場を支える材料です。一方、米国では9月に利上げが実施されました。金を持ちたい需要があっても、金利の上昇が続けば価格の重荷になり得ます。
本記事では、短期の上昇再開には慎重な確認が必要であり、数カ月先の方向性は、金融引き締めへの警戒と金への需要のどちらが強まるかで変わる、と考えます。
まず、足元の位置を確認しましょう。
ロイターによると、9月25日18時05分GMT、日本時間9月26日3時05分時点の金現物は、1トロイオンス当たり4,282.98米ドルでした。その時点では週間で約2.1%下落していました。これは取引途中の参考値です。9月26日は土曜日であり、週末のリアルタイム価格や確定した週末終値として扱うものではありません。ロイター報道/MarketScreener転載
この価格だけを見て、十分に下がったと判断するのは早計です。相場の見方を変えるには、下落を促している材料が変化したかを確認する必要があります。
FRBは9月16日、政策金利の誘導目標を0.25%ポイント引き上げ、3.75〜4.00%としました。声明では、インフレが依然として高いことを指摘しています。FRB・9月16日FOMC声明
金そのものは利息を生みません。米国債などの利回りが上がると、金を保有することで受け取れない利息が相対的に大きくなります。これが、金利上昇が金の重荷になりやすい理由です。ロイターも、足元の金相場を圧迫する要因として米国債利回りの上昇を挙げています。ロイター報道/MarketScreener転載
ここで注意したいのが、インフレとゴールドの関係です。
物価への不安は、金の価値保存機能を意識させる材料になります。しかし、インフレを抑えるための追加利上げが意識されれば、金には逆風も生じます。物価指標が強かったというニュースだけでは、その後の金価格の方向は決まりません。
見るべきなのは、指標を受けて米金利とドルがどう動き、金価格がどう反応したかです。金利については、通常の国債利回りに加え、期待インフレを考慮した実質金利も判断材料になります。材料の意味を、値動きと合わせて確かめたい局面です。
一方で、金を支える需要も確認できます。
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、2026年4〜6月の中央銀行などによる金の純購入量は約289トンでした。ただし、上半期全体の需要は2022年以来の低水準です。四半期の回復と、半年間の減速の両方を見る必要があります。WGC・2026年第2四半期の中央銀行需要
また、8月には世界の現物裏付け型金ETFに約180億米ドルが流入しました。金ETFは、金への投資資金の動きを確認する手掛かりになります。ただし、これは8月の実績であり、9月後半も同じペースで買われていることを示す数字ではありません。WGC・2026年8月の金ETF動向
これらから、本記事では、中期的な需要の支えは残っていると捉えます。ただし、中央銀行が購入していることだけで、目先の下値が保証されるわけではありません。需要の存在と、価格が上昇を続ける条件は分けて考える必要があります。
この状況を踏まえ、今後は次の三つの展開を想定します。いずれも本記事の条件付きシナリオであり、発生確率を推定したものではありません。
1. 上昇再開を検討する展開
米国の物価指標が落ち着き、追加利上げへの警戒が後退する。米金利とドルの上昇圧力が和らぎ、金への資金流入も続く。この組み合わせなら、ゴールドの上昇を支える条件が増えます。
次に確認したいのは、指標発表直後の上昇が翌営業日にも維持されるか、金利とドルが再び上昇していないかです。金価格だけが一時的に跳ね、金利とドルが元の上昇に戻る場合は、上昇再開の判断を保留します。
2. 方向が定まらず、もみ合う展開
中央銀行やETFの需要が支えになる一方、高い米金利が上値を抑える。経済指標ごとに利上げ観測が変わり、金も上下に振れる展開です。
この場合は、上がった日と下がった日を個別に追うより、週単位で値動きがどちらへ広がっているかを確認します。米金利とドルの方向がそろわず、金価格も直近の値動きの範囲に戻る間は、方向を決めつけにくい状態です。
3. 下落が続く展開
インフレの強さが続き、追加利上げへの警戒が強まる。米金利とドルが上昇し、金ETFからの資金流出も重なるなら、ゴールドへの下押し圧力が強まる可能性があります。
次に見るのは、反発した後も安値を更新するか、金利上昇と資金流出が継続するかです。逆に、金利上昇が止まり、資金流出が落ち着き、金価格も安値を更新しなくなれば、下落継続という見方を再評価します。
以上の分岐を考えるうえで、10月は米国の雇用と物価の確認が欠かせません。公式日程では、9月分の雇用統計は10月2日21時30分(日本時間)、9月分の消費者物価指数(CPI)は10月14日21時30分(日本時間)に予定されています。いずれも米東部夏時間8時30分を日本時間へ換算しています。米労働統計局・2026年発表日程
次回のFOMCは、米国現地日付で10月27〜28日の予定です。雇用や物価の結果が、その後の金融政策の見方をどう変えるかを確認する機会になります。FRB・今後の日程
指標を見る際は、数字の強弱に加えて、市場が事前に予想していた内容との差にも注目したいところです。強い結果でも、すでに織り込まれていれば反応が限られる場合があります。結果と、その後の金利・ドル・金価格を一緒に見ることで、シナリオを更新しやすくなります。
今後のゴールドに対する本記事の見方は、短期の上昇再開を確認するには、米金利とドルによる下押し圧力が和らぐことが重要というものです。中期では、中央銀行の購入と投資資金の流入が続くかも確認します。
価格が下がった事実だけで割安と考えず、上がった事実だけで新しい上昇局面と判断せず、背景にある条件の変化を追う。今後の行方を考える際には、この視点が役立つと考えます。
本記事は情報提供を目的としており、特定の売買を推奨するものではありません。記載したシナリオは将来の値動きを保証しません。円建ての金価格や各社のCFD価格は、為替、価格配信、取引条件などによって本文のドル建て現物価格と異なります。