金融AI検証:遅い再エントリーはなぜ危険か—GOLDの同方向4本上限を設計した背景
金融AI/AIエージェント研究開発
遅い再エントリーはなぜ危険か——GOLDの同方向「4本まで」ルールを設計した背景
トレンドを正しく判定できても、同じ方向へ入り直す時刻が遅ければ、残っている値幅より反転リスクの方が大きくなります。9月17日の開発では、GOLD13の新規エントリー評価に「同じ流れの1〜4本目だけを評価し、5本目以降を入口で止める」という上限を追加しました。
本稿は、私が開発したインジケーターと自動売買ソフト(EA)を、AIエージェントと実口座で研究・検証している開発ログです。成功だけでなく、見送り・遮断・失敗も同じ基準で記録します。検証状況は平日24時間のトレードライブ配信でも公開しています。
問題は「方向」ではなく「何本目か」だった
上昇・下降の方向が合っていても、トレンド終盤では伸び代が小さく、わずかな逆行で損益比が崩れます。従来はシグナル強度や相場方向を中心に判定していましたが、同じepisode内で何本目の候補かという時間軸が不足していました。
そこで、同一symbol・同一direction・fresh・REALTIME・warn_level=0の候補だけを数えます。BUYとSELLは別々に扱い、warn1/2、履歴データ、stale、反対方向はカウントしません。同一barに重複recordがあっても1件です。候補間隔が6bar以上空けば、新しいepisodeとしてリセットします。
今回確定した入口ルール
- 同一episodeの1〜4本目は新規エントリー評価へ進める
- 5本目以降はSOUL1・NORMALの両系統で遮断する
- 遮断理由をguard_rejected / skip_warn0_late_clusterとして保存する
- 再起動後も同じ候補を再評価しない
- 遮断後はGemini判定、signal生成、order送信へ進ませない
重要なのは「AIに入るなと言わせる」だけではありません。入口で止めた事実と理由を永続化し、後から検証できることです。これにより、都合のよい勝ちトレードだけでなく、避けた損失候補も評価対象にできます。
9月17日のリプレイで確認したこと
ticket 29721052相当のepisode 1本目は許可され、ticket 29721491相当の8本目は遮断されました。4本目許可、5本目遮断、6barリセット、warn1/2・履歴・stale除外、BUY/SELL独立、同一bar重複非加算を含む挙動テストは7/7で通過しています。
21:15の定期実行もno_breakout / exit=0で終了し、新しいソース読込後の例外はありませんでした。ただし、リプレイで通ることと自然取引で再現することは別の証拠です。
まだ証明できていないこと
本番の自然取引で、同方向warn0の5本目以降が実際に発生し、skip_warn0_late_clusterで止まる場面は未確認です。したがって「実装完了」と「実口座で効果を証明済み」を分け、該当episodeの発生を待って録画・テレメトリ・注文ログを照合します。
読者が見るべき評価軸
新しいフィルターは、取引回数を減らしただけでは評価できません。遮断候補がその後どこまで逆行・順行したか、許可した1〜4本目との損益差、誤遮断の割合、再起動後の重複判定を継続計測します。勝率だけでなく、遅いエントリーによる最大逆行幅を抑えられたかを見ます。
対応する自然取引の遮断動画はまだないため、無関係な録画は埋め込みません。証拠が取れた時点で、判断時刻とチャートを一致させて公開します。
本稿は研究・検証ログであり、利益を保証するものではありません。
「5本目」を数えるためにepisodeを定義する
単純に当日のエントリー回数を数えるだけでは、朝の上昇と夜の上昇を同じ流れとして扱ってしまいます。そこで同一方向のwarn0候補が連続する区間をepisodeとし、6bar以上の空白で新しい流れへ切り替えます。この境界が曖昧だと、正常な初動を「遅い」と誤認します。
episodeは相場の真理ではなく、検証のための作業仮説です。実データで6barという境界が短すぎる、または長すぎると分かれば変更します。重要なのは、後から同じデータを使って同じカウントを再現できることです。
入口を止めても既存ポジション管理は止めない
新規エントリーの遮断と、保有中ポジションのSL・決済は別機能です。5本目以降を止めても、すでに保有している建玉の監視、利益保護、損失限定を継続します。入口ルールの変更が出口へ波及しないよう、変更範囲を限定しました。
この分離がないと「新規を止めた結果、保有管理まで止まった」という重大事故につながります。配備時の未決済1件についても、方針変更や手動決済を行わず、従来どおりの管理が継続することを確認対象にしました。
回数上限の副作用
強いトレンドでは5本目以降も伸びる場合があります。上限は損失を減らす一方で、利益機会を失う可能性があります。そのため、遮断回数だけを成果にせず、遮断後の値動きを追跡します。
- 遮断後の最大順行幅が大きい場合は機会損失
- 最大逆行幅が大きい場合は損失回避
- スプレッド拡大と同時なら流動性要因
- 反転直前に集中するなら終盤検知として有効
AIエージェントと決定論ガードの役割
相場環境の分類や候補の優先順位はAIエージェントが扱い、回数集計と遮断は必ず同じ結果になるガードが担当します。AIの柔軟さとEAの再現性を混ぜず、注文直前では説明可能性を優先します。
モデルが「今回は例外」と文章で主張しても、上限を超えれば注文へ進ませません。例外を認める場合は、先にルールと検証項目を変更し、後から都合よく解釈しない運用にします。
検証完了の条件
自然取引で5本目以降が発生し、候補、ガード、signal、order、録画が一つの時系列で一致すること。さらに複数episodeを集め、遮断の損失回避と機会損失を比較できること。この二段階が揃うまで「効果確認済み」とはしません。
公開後に更新する検証表
各episodeについて、開始時刻、方向、候補本数、許可・遮断、候補価格、スプレッド、ATR、1時間後の最大順行・最大逆行、実際の注文有無を一行にまとめます。遮断が正しかった事例だけでなく、止めた後に伸びた事例も同じ表へ残します。
最低10episodeを集めるまでは結論を固定せず、4本上限と6barリセットの感度を比較します。件数が少ない段階で勝率を強調せず、損失回避額と機会損失額を並べて評価します。ルールを変更した場合は、変更日より前後を分け、過去データを新ルールの成績へ混ぜません。
また、heartbeat欠損、録画欠損、テレメトリ不一致があるepisodeは「判定不能」とし、都合よく除外しません。取引結果だけでなく、証拠が最後まで残った割合もシステム品質として公開します。
判定基準:記事公開後も、該当episodeが増えるたびに同じ集計形式で追記し、10件未満の段階では暫定結果と明記します。上限変更は事後的に勝ちトレードへ合わせず、変更前に評価期間と比較項目を固定します。