ゴールドのその陽線、金が買われたのか、ドルが売られただけなのか ― XAUUSDの上昇を2つの力に分解するMT4インジケーター
ゴールドのチャートが上に伸びました。
あなたは押し目を待ちます。
押し目が来たので買います。
——そして、戻りません。
私はこれを何度もやりました。
含み損を抱えながら「なんで戻らないんだろう」とチャートを眺めている、あの時間です。
原因は後から分かりました。
金は最初から買われていなかったのです。
上げていたのは、ドルが売られていたからでした。
ドルが買い戻された時点で、価格は元の位置に帰っていきます。
当たり前のことでした。
私はMT4/MT5用のインジケーターを開発している lab.aiueoと申します。
この記事は、ゴールド(XAUUSD)の値動きを「金の力」と「ドルの力」に分解して表示する MT4 インジケーター GD-Deck のご紹介です。
ゴールドの陽線には、2種類あります
XAUUSD が上昇したとき、理由は大きく2つに分かれます。
1. 金そのものが買われた
実需、地政学リスク、中央銀行の買い付け。
金への需要が価格を押し上げているケースです。
2. ドルが売られただけ
金は動いていません。
動いたのは、金を測る物差しであるドルのほうです。
物差しが縮めば、同じ長さのものが長く見えます。
チャートに出るのは、どちらも同じ「陽線」です。
ローソク足を見ているかぎり、この2つは区別がつきません。
出来高でも、移動平均線でも、オシレーターでも分かりません。
どれも XAUUSD という1つの数列を加工しているだけだからです。
しかし、意味はまったく違います。
前者は金への需要そのものですが、後者はドル側の事情にすぎず、ドルが戻れば価格も元に戻ります。
同じ形のチャートに対して、取るべき行動が正反対になる。
ゴールドが「難しい」と言われる理由の、かなりの部分がここにあると私は思っています。
見分ける方法は、実はとても単純です
答えは「ドル以外の物差しで測り直す」です。
XAUUSD が上昇したときに、
- 円建てでもユーロ建てでもポンド建てでも上昇している → 金そのものが買われている
- ドル建てだけが大きく上昇している → ドルが売られただけ
考えてみれば当然です。
金が本当に買われているなら、どの通貨で測っても上がっているはずですから。
原理はこれだけです。
特別な理論も、有料の情報源も要りません。
では、なぜ誰もやらないのか
やることが多すぎるからです。
XAUJPY、XAUEUR、XAUGBP……と複数のチャートを開いて、それぞれ同じ期間の騰落率を出して、並べて比べる。
エントリーを1回判断するために、この作業を毎回やることになります。
しかも期間を変えて見直したくなったら、全部やり直しです。
さらに、XAUJPY や XAUEUR を扱っていない業者も少なくありません。
そもそも測れない、という人が一定数いるわけです。
そして、ゴールドには他にも固有のつまずきがあります。
ロットの計算ができない。
ゴールドには「1pips がいくらか」という共通の定義がありません。
契約サイズが 1oz / 10oz / 100oz と業者で割れ、価格の桁数も2桁・3桁で割れています。
「SLは20pips」という指定は、業者が変わると意味そのものが変わってしまいます。
ネットで見かけるゴールドの手法解説が自分の口座で噛み合わない原因の多くはここです。
スプレッドが今どういう状態なのか分からない。
ゴールドは指標発表の前後で大きく開きます。
いま見えている数字が平常なのか、それとも開いている最中なのか、比較対象がなければ判断できません。
どの時間帯に値幅が出るのか、自分の口座の数字を知らない。
「ロンドンからNYにかけて動く」という一般論は聞きますが、業者によっても時期によっても傾向は変わります。
——手法の話に入る前に、計器が足りていないのです。
飛行機でいえば、高度計と燃料計と速度計がないまま飛んでいるような状態でした。
私はゴールドを触るたびにこれが気になって、必要な計器を1枚のパネルにまとめました。
それが GD-Deck です。【GD-Deck をゴールドH1チャートに乗せた全体図】
先に、この製品が「やらないこと」を書いておきます
購入を検討していただく前に、はっきりさせておきたいことがあります。
GD-Deck は売買シグナルを出しません。 矢印は表示されませんし、エントリー価格の推奨もありません。
勝率やプロフィットファクターといった成績も表示しませんし、訴求もしていません。 「これを使えば勝てます」とは書けませんし、書きません。
表示されるのはすべて、そのときのチャートから計測した実測値です。要因分解も、相関も、時間帯ボラも、スプレッドの平常値も、全部そうです。
なぜそうしたか。成績の数字は、切り取る期間と検証のやり方しだいでいくらでも良く見せられるからです。
自分で再現できない数字を根拠に道具を売るのはやめよう、と決めました。
計器盤としての設計に振り切ったのは、そういう理由です。
ここに納得いただけない方には、この先を読んでいただく必要はないと思います。
ここから先で、具体的に何が表示されるのかを全部お見せします
- 「金の力」と「ドルの力」を、推定ではなく計算で分ける方法
- 期間を1日と1週間で切り替えると、主因の判定が逆転するという話
- XAUJPY を扱っていない業者でも7通貨建てを計算できる理由
- ドルとの相関が崩れた瞬間に何が起きているのか
- pips が定義できないゴールドで、どの業者でも正しいロットを出す方法
- 建てる前に見る5つの手順と、価格
1. 「金の力」と「ドルの力」— 足し算が合う分解です
GD-Deck は、円・ユーロ・ポンド・豪ドル・NZドル・カナダドル・スイスフランの7通貨建てでゴールドの騰落を計算し、
その中央値を「金の力」としています。そして XAUUSD 全体の変化から金の力を差し引いた残りが「ドルの力」です。
XAUUSD の変化 = 金の力 + ドルの力ここが重要なのですが、この2つは必ず足して全体の変化に一致します。
「たぶんこれくらいだろう」という推定や近似ではなく、定義上そうなる関係です。
パネルに出ている数字を、ご自身で足し算して確かめられます。
分解の結果は横棒グラフで並びます。
どちらの棒が長いかを見れば、いまの値動きを主に作っている力がひと目で分かります。
見出しには主因が一言で出ます。
| 表示 | 状態 |
|---|---|
| 金買い主導 | 金そのものへの需要が値動きを作っている |
| ドル安主導 | 上昇の主因はドル売り。金の需要というより通貨側の事情 |
| 金買い+ドル安 | 2つの力が同程度で、どちらも上向き |
| 金売りをドル安が相殺 | 金は売られているのに、ドル安が押し上げて打ち消している |
| 動意薄 | 設定期間内の変化がごくわずか |
(下落側にも「金売り主導」「ドル高主導」「金売り+ドル高」「金買いをドル高が相殺」が同様に用意されています)
個人的にいちばん価値があると思っているのは「金売りをドル安が相殺」です。これは、価格はほとんど動いていないのに、水面下では金が売られている状態を指します。
ドル安が止まった瞬間に、その売りがそのまま表に出てきます。
横ばいのチャートを眺めているだけでは、絶対に気づけない情報です。
【パネル拡大】
2. XAUJPY を扱っていない業者でも計算できます
「7通貨建てで測る」と聞くと、XAUJPY や XAUEUR といった銘柄が必要に思えますが、不要です。
ゴールドの円建て価格は「XAUUSD × ドル円」で求まります。
つまり、ドルストレート7ペア(EURUSD / GBPUSD / AUDUSD / NZDUSD / USDCAD / USDCHF / USDJPY)さえ気配値に出ていれば、7通貨建てすべてを算出できます。
追加の銘柄を用意する必要はありません。
銘柄名が EURUSD.a や EURUSDm のように業者ごとに違う点も、起動時に自動検出して合わせます。手入力は不要です。
ゴールドの銘柄名そのものも、GOLD / Gold / XAUUSD.a / XAUUSDm など業者によってバラバラですが、銘柄名ではなく決済通貨で判定しているため、名前の付け方に関係なく動作します。
3. 期間を切り替えると、主因が変わります
ここがこの製品のいちばんの使いどころです。
パネルのボタンで、分解する期間を 1日/3日/1週間 に切り替えられます(増減ボタンで細かい調整も可能です)。
設定画面を開く必要はありません。
そして、同じチャートでも期間を変えると判定が変わります。
1日で見ると「ドル安主導」なのに、1週間で見ると「金買い主導」。こういう場面が頻繁に起きます。
これは、短期のドルの振れに隠れて、その下で金の買いが継続している状態です。
逆に「1日は金買い主導だが1週間ではドル安主導」なら、大きな流れはドル側の事情で、足元だけ金に買いが入っている、と読めます。
両方が同じ方向を向いているときは、地合いが揃っています。
【期間切替の比較(1日 vs 1週)で主因の表示が変わる場面】
なお期間は「バー本数」ではなく実時間で指定しているため、時間足を切り替えても見ている期間の長さは変わりません。M15 で見ても H1 で見ても「1日」は1日です。
4. 「金は7通貨中◯つで上昇」
要因分解と並んで、7通貨建てのうち何通貨に対して上げているかが表示されます。
- 7/7 に近い → 金への買いが広く入っている
- 2/7 のように少ない → 上昇の中身はほぼドル安
見出しの判定と組み合わせると、さらに細かく読めます。たとえば「金は7通貨中7つで上昇」かつ「ドル安主導」なら、
金は全面的に買われているが、それ以上にドルが売られているという状態です。
5. ドルとの相関 — 崩れた瞬間が地合いの変化です
ゴールドとドル強弱の相関を常時計測し、向きと強さを1語にまとめて表示します。
| 表示 | 絶対値 | 読み方 |
|---|---|---|
| ドルと強い逆相関 | 0.70以上 | ドルの方向を見れば、ほぼ方向が読める |
| ドルとやや逆相関 | 0.40〜0.70 | おおむね連動している |
| ドルと弱い逆相関 | 0.20〜0.40 | 連動が薄れている |
| ドルとほぼ無相関 | 0.20未満 | ドルでは説明できない動きをしている |
ゴールドは逆相関(マイナス)が平常です。マイナスだからといって異常ではありません。
見るべきなのは、ふだん「強い逆相関」で推移していたのが「弱い」「ほぼ無し」に落ちたときです。
それまでドルで説明できていた値動きが、説明できなくなったということ。
金固有の材料が動きはじめた可能性があり、ドルの方向を根拠にした見立ては働きにくくなります。地合いが切り替わる場面で起きやすい現象です。
なお相関は期間ボタンでは変わりません。要因分解が「いまの期間に何が起きたか」を見るのに対し、相関は「ふだんどれくらい連動しているか」という土台を見る数字なので、別の固定本数で常時計測しています。
6. ゴールドには「1pips」が存在しません
ロット計算の話です。ゴールドがやりにくい理由は、業者ごとに仕様がバラバラだからです。
| 業者ごとに異なる点 | バリエーション |
|---|---|
| 契約サイズ(1ロットの重さ) | 1oz / 10oz / 100oz |
| 価格の小数点以下の桁数 | 2桁(1811.25)/ 3桁(1811.253) |
| 1pips の解釈 | $0.1 とする業者 / $0.01 とする業者 |
GD-Deck はこの混乱を避けるため、値幅を一貫してドルで表示します。「23.56ドル」と言えば、業者を問わず金価格が23ドル56セント動くという意味です。
そして計算の土台には、「1ロットを保有して金価格が $1 動いたときの損益」を口座から直接取得した値を使います。
契約サイズも桁数も、この1つの値に集約されます。だからどの業者でも正しいロットが出ます。
判定した契約サイズは 1lot=100oz のようにパネルに表示されるので、ご自身の口座仕様と一致しているか初回に照合できます。
許容リスクは 0.5% / 1.0% / 2.0% / 3.0% をボタンで切り替え、SL幅は ATR の倍率で指定します(こちらもボタンで増減できます)。
表示されるのは妥当なロット数と、そのときの想定損失額です。口座通貨の金額には 3,000 JPY のように通貨コードが付きます。
7. スプレッド監視と、24時間の時間帯ボラ
スプレッド監視は、現在のスプレッドが平常時の何倍まで開いているかを倍率で表示します。
| 表示 | 状態 |
|---|---|
| 平常 | 平常時の1.3倍未満 |
| やや広い | 1.3倍以上 |
| 拡大中 | 設定した警告倍率(初期値2.0倍)以上 |
「拡大中」と出ているときのエントリーは、それだけで不利なコストを負うことになります。設定倍率を超えたときはアラートで通知します(ポップアップ/スマートフォンへのプッシュ通知/サウンド)。
時間帯ボラは、過去の実測データから時間帯ごとの平均値幅を集計し、24本の棒グラフで表示します。現在の時間帯は金色で強調され、24時間平均を100としたときの比率も数値で出ます。165% なら、その時間帯はふだんの1.65倍動くということです。
集計は表示時間足に関係なく1時間足で行うため、どの時間足で見ても同じ結果になります。棒にマウスを乗せると、その時刻の平均値幅と集計日数が吹き出しで表示されます。
グラフの下には Asia / London / NY のラベルが入っているので、サーバー時刻を気にせず読めます。
繰り返しになりますが、これは一般論ではなく、お使いの口座の実測値です。 他社と比較できる値ではありませんが、自分が実際に発注する環境の数字である、という点に意味があります。
8. 建てる前の確認手順
私自身が使っている順序です。
- 期間を切り替えて主因を見る — 1日と1週間で判定が変わるか。両方が同じ方向なら地合いが揃っています
- 「◯/7通貨建て」を見る — 7/7 や 0/7 に近いほど、金への需給が一方向に偏っています
- 時間帯ボラを見る — いまが「静か」な時間帯なら、値幅が出にくい可能性があります
- スプレッドを見る — 「拡大中」なら、落ち着くまで待つ判断もあります
- ロットと損失額を確認する — 表示された金額が許容範囲か、発注前に必ず確認します
ここまでが、パネル上のボタン操作だけで完結します。 パラメータ画面を開く必要はありません。
9. 動作環境とカスタマイズ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| プラットフォーム | MetaTrader 4(ビルド600以降) |
| 対象銘柄 | ドル建てのゴールド(GOLD / XAUUSD.a / XAUUSDm などの表記でも動作) |
| 推奨時間足 | M15 以上(M1・M5 でも動作します) |
| 必要なヒストリ | ドルストレート7ペア |
| DLL | 不使用 |
| 外部インジケーター | 不要 |
| マニュアル | A4・全11章のPDFを同梱 |
株価指数・原油は一切参照しません。業者ごとに銘柄名が異なり、動作不良の原因になるためです。
表示は4つのセクションを個別にオン・オフでき、背景色・文字色・バー色、フォント名・文字サイズ・表示位置もすべて変更できます。4K・高DPI環境にも対応済みで、Windows の表示スケール(125%/150%/175%)を自動で読み取って、枠・行間・文字を同じ倍率で拡大します。表示倍率を 100〜250% から手動指定することもできます。
円建てゴールド(XAUJPY など)のチャートでは、要因分解の計算の前提が成り立たないため「対象外」と表示されます。ロット計算・スプレッド・時間帯ボラは問題なく動作します。
10. 他のツールとの関係
GD-Deck はゴールド専用です。通貨ペア側では動作しません。
通貨ペアも含めて「今日どこが動いているか」を俯瞰したい場合は、変化率ランキングの CP-POW が同じ役割を担います。こちらはゴールドを一覧の枠に入れることもできます。
無料版もあります。
また、通貨ペア側のロット計算・証拠金維持率・強制ロスカット価格をまとめて確認したい場合は RM-LOT(¥980)があります。GD-Deck のロット計算はゴールドの契約サイズ問題に特化したものなので、役割は分かれています。
価格と販売ページ
GD-Deck は GogoJungle にて ¥3,980 で販売しています。
https://www.gogojungle.co.jp/tools/indicators/85960
※価格は記事執筆時点のものです。
最後に
ゴールドは、通貨ペアと同じつもりで触ると必ずどこかで噛み合わなくなります。
上昇の中身が分からない。ロットの前提になる pips が業者ごとに違う。スプレッドが平常なのか分からない。
そのどれもが、手法の巧拙とは関係のないところで判断を鈍らせます。
GD-Deck は勝ち方を教えるツールではありません。判断に必要な数字を、正しい形で並べるだけの道具です。
そのうえで何をするかは、使う方が決めることだと思っています。
ご質問は、購入前でも購入後でもお気軽にどうぞ。私が直接お答えします。
免責事項
本記事および本ツールは投資助言を行うものではありません。
売買シグナルを出す機能はなく、利益や勝率を保証するものでもありません。
表示される情報はすべて、そのときのチャートから計測した実測値であり、将来の値動きを予測するものではありません。
時間帯ボラおよびスプレッドの平常値は、お使いの口座の実測値であり、他社と比較できる値ではありません。
ロット計算は業者から取得した契約サイズにもとづきます。
発注前に必ずご自身で金額をご確認ください。
外国為替証拠金取引および貴金属CFD取引には、元本を上回る損失が生じる可能性があります。
売買の最終判断はご自身の責任で行ってください。