【NIKE 2026年10-K完全解剖 第2回】:B/Sに隠された爆弾と福音 ― 売掛金急増の謎と10億ドルの関税還付
株式
ICHIRO|決算書解剖ラボ
前回の第1回では、ナイキが本業の稼ぎ(営業キャッシュフロー)の急減に直面し、手元現金の流出を防ぐために自社株買いを93%もストップさせて「75億ドルの防波堤」を死守した経緯を紐解きました。
しかし、連結キャッシュフロー計算書(60ページ)の明細を一行ずつ精査していくと、誰もが目を疑うような異常な数値が記録されています。
それは、当期純利益から実際の現金の動きへと調整する「運転資本の増減(Changes in working capital)」の中にありました。
Accounts receivable(売掛金の増減): ▲1,207 百万ドル
マイナス12億700万ドル。前年はプラス2.5億ドル(売掛金が順調に回収されてキャッシュが増加)だったこの項目が、FY26には「売掛金が急増したことで、営業キャッシュフローから約12億ドルもの現金が差し引かれた」という強烈なマイナス調整として計上されていたのです。
なぜ売上が前年並み(約464億ドル規模)で横ばいにもかかわらず、売掛金だけが突如として跳ね上がったのか。そして、貸借対照表(B/S)の資産の部に計上されたこの「未回収の巨額の権利」は何を意味しているのか。
その裏側には、卸売回帰のオペレーションリスクと、全米を揺るがした「最高裁判決による約10億ドルの関税還付」という、期末をまたぐ巨大な会計ドラマが隠されていました。
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