第16話:守れば守るほど、ACEは弱くなった
チャネルを作った
価格が触れた
過去を調べた
そしてACEは、ようやく
BUYする
SELLする
何もしない
を考えるようになりました
ここまで来ると
次に考えることは、自然に決まっていました
どうやって負けを減らすか
勝つ方法より、まず負けない方法
EAを作っていると
どうしても思います
もっと安全にしたい
もっと大きな損失を減らしたい
もっと危ない場面を避けたい
だったら
危険そうな時は止めればいい
長く持ちすぎたら切ればいい
含み損が大きくなったら逃げればいい
逆方向へ抜けたら撤退すればいい
考えれば考えるほど
防御のアイデアは増えていきました
防御を足せば、強くなる
最初は本気でそう思っていました
防御が1つより2つ
2つより3つ
3つより4つ
危険な場面をたくさん止められるなら
その分だけ成績は良くなるはず
とても自然な考えです
実際
大きな損失が出たチャートを見ると
あとからなら
「ここで止められた」
「ここで切れた」
「ここで入らなければよかった」
という場所はいくらでも見つかります
だから
その失敗を一つずつ潰していきました
でも、数字が良くならない
ところが
防御を追加するたびに
期待していたようにはなりませんでした
大きな負けが減った
でも
利益も減った
ポジション数を抑えた
でも
後から大きく伸びるポジションまで消えた
早めに撤退させた
でも
その後に戻ってきて利益になっていたポジションまで切っていた
守っているはずなのに
最終的な成績が弱くなる
そんなことが何度も起きました
「この負けを消したい」が危なかった
バックテストを見ると
どうしても目立つ取引があります
何日も含み損
大きなマイナス
なかなか決済されない
見ていて気持ちの悪いポジション
こういう取引を見ると
つい
「これを消したい」
と思います
そして
その取引を止められるルールを作る
すると確かに
その負けは消える
でも
同じルールが
別の場所では
未来の大きな利益をもたらすポジションを消している
長く持っているから、悪いとは限らない
ACEでは
長期間持つポジションもあります
最初は
長く持っているポジションほど
危険なのではないか
と思いました
時間が経っている
含み損もある
スワップもある
だったら
一定時間で切ればいい
でも検証してみると
そう単純ではありませんでした
長く持っているポジションの中には
その後に大きく戻って
ACE全体の利益を支えるものがあった
つまり
長く持っている = 悪いポジション
ではなかった
含み損があるから、切る
これも同じでした
含み損が一定以上なら
危険と判断して切る
これも一見合理的です
でもACEでは
大きく含み損になったあと
何週間もかけて戻ってくるケースがあります
途中だけ見れば
どう見ても失敗
でも最後まで見れば
大きな利益
バックテストだから
その未来が見えます
でも実運用では
その未来は見えません
だからこそ
簡単な途中退場ルールほど危ない
ことが分かってきました
逆方向に抜けたら、もうダメ?
チャネルを使っているなら
逆方向にブレイクされたら
そのポジションは間違い
そう考えたこともありました
だから
逆ブレイクで撤退する仕組みも試しました
これも
一部の大きな損失には効きました
でもまた同じ問題が起きます
逆方向へ一度抜けても
そこから戻って
最終的には利益になる
そんなポジションまで切ってしまう
防御は、負けだけを見ていた
この頃
ようやく分かってきました
防御を作る時
自分は
「負けたポジション」
ばかり見ていた
どうすれば、この負けを消せるか
どうすれば、この損失を避けられるか
でも本当に見るべきなのは
その防御を入れたことで
何を失うのか
でした
1つの防御は、2つの仕事をする
防御ロジックを入れると
悪いポジションを止めます
でも同時に
良いポジションも止めます
問題は
どちらが多いか
どちらの金額が大きいか
例えば
10万円の損失を防いでも
その代わり
20万円の利益を消していたら
EAとしては弱くなります
防御を評価する時は
救った損失だけでは足りない
失った利益まで見なければいけません
そして、防御を外し始めた
ここから
開発の方向が少し変わりました
防御を追加する
ではなく
本当に必要なのかを疑う
時間で切る仕組み
含み損で切る仕組み
逆方向のブレイクで切る仕組み
一度作ったものでも
長期バックテストで
利益を削っているなら
外す
強そうに見える機能でも
数字が悪くなるなら
使わない
「何かを足す」より「何もしない」
これはかなり意外でした
EA開発というと
新しい機能を追加するほど
進化しているように見えます
でもACEでは
逆でした
新しい防御を作る
検証する
そして
外す
この繰り返し
結果として残ったのは
「たくさんの防御」ではなく
本当に必要だった防御だけ
でした
勝っているACEには、触らない
この頃から
ACEの開発で
一つの考え方が強くなっていきました
勝っている時のACEを変えない
間違っている時だけ
できるだけ小さく抑える
勝つ形まで変えてしまったら
ACEそのものが別物になる
これは今でも
ACEを改良する時の大きな基準になっています
最強の防御ではなく、必要最低限の防御
Ver.1の完成に近づくにつれて
目指すものも変わりました
最初は
できるだけ損失を防ぐEA
でも最後は
大きな利益ポジションを殺さずに、致命傷だけ避けるEA
になっていきました
全部守る必要はない
全部の損失を消す必要もない
負ける時は負ける
でも
生き残る
そして
ACEが本当に得意な相場が来た時に
しっかり走れる状態を残しておく
ACEVer1が完成した
チャネルを作るところから始まったACE
タッチを見つけ
過去を調べ
反発とブレイクを考え
エントリーを始め
TPとSLを持ち
トレーリングを使い
そして
防御を増やし
また減らした
最後に残ったものが
ACE Gold EA Ver.1 ‐GENESIS‐
です
完成したのは
最初に思い描いていた
「何でも止めるEA」
ではありませんでした
むしろ逆です
必要以上に触らない
それが
長い検証の中でたどり着いた答えでした
Ver.1は、完成した
でも
完成したから
もう変わらない
ということではありません
実運用が始まれば
バックテストでは見えなかったものも出てくる
長い相場の中では
また新しい疑問も出てくる
そして今
ACEは
次の段階へ進んでいます
次回
「完成したACEに、もう一度メスを入れる」
Ver.1を壊さず
勝っている部分には触れず
間違っている部分だけを探す
ここから
Ver.2の開発が始まります。