暗号資産相場分析【9月1日】
今週の相場は横ばいでしたが、暗号資産決済のrainハッキングで資金流出、cosmosのセキュリティリスクなど悪いニュースがある一方で、ストラテジー社がビットコインを久しぶりの購入、ビットマインや日本上場企業TORICOのイーサリアム購入などがありました。
先週からの大きな上昇は落ち着いてきていますが、チャールスシュワブの取り扱い銘柄やENAの自社トークン買い戻しなど個別銘柄のニュースも暗号資産の大きな流れを使う上でも重要なニュースだと感じています。
また記事の最後に国内でも定評がある暗号資産投資家のビットコインが急買された背景と分析についてもご紹介しています。
ーーーー本題はここから
本日の暗号資産市場における値動きと背景解説(2026年9月1日時点)
主要銘柄における本日の価格動向と相場状況
ビットコイン(BTC)
現在の価格帯はおおむね78,000ドルから78,100ドル付近で推移しています。過去24時間の推移としてはほぼ横ばいから小幅な値下がりとなっており、メディアの報道ではマイナス0.5パーセント前後の推移として伝えられるケースが多く見られます。直近1週間の動きを振り返っても、大きな方向感はなく小幅な下落またはもみ合いが続いています。
ビットコイン日足チャート
イーサリアム(ETH)
現在の価格帯は約2,455ドルから2,460ドル付近です。過去24時間の推移はほぼ横ばいから小幅な上昇となっており、直近1週間の全体的なトレンドにおいても、緩やかな底堅さを保ちつつ小幅高で推移しています。
イーサリアム日足チャート
BNB(ビルドアンドビルド)
現在の価格帯は約686ドルから687ドル付近で推移しています。過去24時間はほぼ横ばいからわずかな下落傾向を見せており、直近1週間のスパンで見ても小幅な値下がり(軟調な推移)が続いています。
XRP(リップル)
現在の価格帯は約1.38ドルとなっています。過去24時間では小幅な値上がりを記録しているものの、直近1週間の推移で見るとやや弱含みの展開となっており、一部の報道では週間でマイナス3パーセント台の下落が伝えられています。
ソラナ(SOL)
現在の価格帯は約102ドル台で推移しています。過去24時間単体で見るとやや弱気な動きとなっていますが、直近1週間のトータルでは相対的に強いパフォーマンスを示しており、プラス3パーセントから6パーセント程度のプラスリターンが報じられています。
市場全体の動向と環境
暗号資産全体の時価総額は、おおむね2.5兆ドルから2.7兆ドル前後という規模で推移しています。市場の投資家心理を示すフィア·アンド·グリード·インデックス(Fear and Greed Index)の数値は「69」を示しており、市場環境としては「強欲(Greed)」の域内にあります。
1日の時間帯ごとの動きを見ると、朝方は市場全体で「小幅高」となる場面も見られましたが、昼前後に向けて主要銘柄であるビットコインがやや軟調な展開となり、全体として明確な方向感に欠けるレンジ相場となっています。
ここでの重要なポイントは、市場が急落しているわけではないということです。8月末に一時80,000ドルの大台を超えた後、利益確定売りなどを消化しながら77,000ドルから79,200ドルのレンジ内でもみ合いを続けている状態と言えます。
本日このような価格形成となっている要因解説
・アメリカの長期金利の上昇
米国10年債利回りが約4.75パーセントから4.76パーセントまで上昇しています。安全資産である現金や国債の利回りが高まると、投資家にとって暗号資産のようなリスク資産を保有する相対的な魅力が低下するため、暗号資産の上値を抑える重石となります。
・中東地域における地政学リスク(米イラン情勢)と原油価格の高騰
中東のホルムズ海峡周辺において2隻の石油タンカーが攻撃を受けたとの報道が流れ、米·イラン間の緊張が高まりました。これにより国際的な原油指標であるブレント原油価格が1バレルあたり90ドル、さらに92ドルを超えて急騰しました。原油高によるインフレ再加速懸念や投資家のリスク回避(リスクオフ)姿勢が強まったことで、ビットコイン価格も一時77,000ドル台前半まで下落する場面がありました。ただしその後は押し目買いも入り、78,000ドル前後まで価格を戻しています。
・米国連邦準備制度理事会(FRB)による9月の利上げ観測の浮上
ジャクソンホール会議における重要人物の発言などを受け、金融市場では9月に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げ確率の上昇が意識され始めています。
ただし、市場が完全に弱気一色に傾いているわけではありません。企業によるビットコインの継続的な買い増し(ストラテジー社やストライブ社など)や、イーサリアムに対する継続的な買付需要、現実資産のトークン化(RWA)に関連するテーマなどが下値を強力に支える要因となっています。
8月中旬から現在に至る価格変動の流れ
8月中旬まで
ビットコインは62,000ドルから65,000ドル前後の狭いレンジでもみ合いを続けていました。
8月17日から21日ごろ
米財務省による長期国債の買い入れ拡大方針が発表され、市場ではこれを「金融緩和·通貨価値下落(ディベースメント)に備えるトレード」と解釈する動きが広がりました。これに伴い、売り方に蓄積していたショートポジションの大量清算(ショートスクイーズ)が巻き起こり、価格が急騰しました。8月全体の月間騰落率は約プラス25パーセントに達し、2017年以来最も力強い8月のパフォーマンスとなりました。
8月27日前後
上昇の勢いが続き、価格は一時80,000ドルを突破して高値約81,300ドルから81,350ドル付近まで達しました。
8月28日
上昇一服から反落へ転じました。終値ベースで約3パーセントの下落となり、77,800ドル台まで押し戻される展開となりました。
8月29日から9月1日(本日)
77,300ドルから79,200ドルのレンジ内で一進一退の攻防が続いており、本日の値動きもこのレンジ相場の延長線上に位置しています。
要約すると、「底打ちからの急反発によって大きく価格を戻したものの、80,000ドルの大台を完全に固めるには至っていない」という状況です。
今後の下値の目安としては77,000ドルから77,300ドル付近がサポートとなり、上値の節目としては79,200ドル前後、そこを突破できれば80,000ドルから81,000ドル台が次のターゲットとなります。銘柄別では、ソラナが週次で相対的に力強い動きを見せる一方、XRPはやや出遅れる形となっています。
ビットコイン現物ETFの資金流出入状況(直近約1週間の動向)
8月24日:プラス3億3,760万ドル
8月25日:プラス3億1,440万ドル
8月26日:プラス2億3,210万ドル
8月27日:プラス2億4,220万ドル
8月28日(金曜日):マイナス2億180万ドル(これにより、これまで続いていた9営業日連続の資金流入が一旦ストップしました)
8月31日(月曜日):プラス2億1,670万ドル
資金流出入の集計と特徴
8月24日から28日の週間合計では、純流入(ネット)で約9億2,000万ドルのプラスとなりました。
直近5営業日(8月25日から8月31日)の合計では、約8億0,000万ドルのプラスとなっています。
8月全体の累計資金流入額は約33億ドルから35億ドルに達し、これは2025年10月以来で最も力強い月間流入実績です。
テクニカル分析と上値の壁(81,000ドルの抵抗帯)
ビットコインは8月に約24パーセントという大きな上昇を記録したものの、81,000ドルの壁を突破できずに足踏みを展開しています。この背景には、50週移動平均線が位置していることや、81,000ドルから86,000ドルの価格帯に過去の取引高が集中した厚い供給の壁(戻り売り圧力)が存在することが挙げられます。さらに、9月の季節的な弱気傾向やFRBの追加利上げ観測も逆風となっています。ただし、ETFを通じた機関投資家の資金流入自体は継続しており、構造的な下支えは機能しています。
マクロ経済および地政学ニュースの詳細
◯原油価格の上昇とインフレ懸念
ホルムズ海峡にて石油タンカー2隻が攻撃を受けたことを受けて、ブレント原油先物が1バレル92ドルを超える水準まで急騰しました。金融市場はこれにより「インフレの再燃(第2波)」を織り込み始めています。政策金利は現在3.50パーセントから3.75パーセントの範囲で据え置かれていますが、原油高に伴うインフレが持続する場合、市場が期待していた利下げ観測は後退し、逆に9月のFOMCでの利上げ可能性が強く意識されることになります。結果として国債利回り全体が押し上げられ、株式や不動産市場における資金調達コストが増大します。原油高を起因とするコストプッシュ型のインフレ局面に際しては、まずリスク資産からの資金逃避(リスクオフ)と金利上昇が先行するため、暗号資産市場にとっては短期的·中期的には強い逆風となります。
◯ケビン·ウォーシュ氏の発言と市場の反応
ケビン·ウォーシュ氏がFRB議長就任後、初めてジャクソンホール会議で演説を行いました。その直後、ビットコイン価格は76,845.71ドルまで下落する場面がありました。同氏は演説の中で「私の判断基準は極めて明確だ。基調インフレ率が明確かつ十分な速度で目標値(2パーセント)に向かって収束していると確信を持てなければならない。そうでなければ、我々中央銀行にはまだ実行すべき政策(引き締め)が残されている」と述べ、タカ派的なスタンスを強調しました。
◯CZ(チャンペン·ジャオ)氏の投資哲学「4つのノー」と経歴
バイナンスの創業者であるCZ(チャンペン·ジャオ)氏が、自身の資産運用における厳格な「4つのノー(やらないこと)」という原則を共有し、市場で大きな話題となっています。その原則とは、第一に「株式投資をしない」、第二に「不動産投機をしない」、第三に「暗号資産の短期投機をしない」、第四に「過剰な現金を保有しない」という内容です。
メディアの「香港01」の報道によると、CZ氏は香港で開催された国際会議「Bitcoin Asia 2026」に出席した際、独占インタビューに応じ、中国江蘇省の農村部で生まれ育った状態から世界的な大富豪へと上り詰めた波乱万丈の半生を語りました。
同氏は12歳の時にカナダへ移住し、マクドナルドやガソリンスタンドでのアルバイトで学費や生活費を稼ぎながらマギル大学に進学·卒業しました。2005年には中国の上海でシステム開発企業を起業して8年間経営したものの、当時の資産はほぼゼロの状態でした。大きな転機となったのは2013年で、彼は上海に所有していた自宅マンションを売却し、その全財産をビットコインに集中投資しました。その後、2017年に暗号資産取引所バイナンスを設立すると、わずか5ヶ月という異例のスピードで世界最大の暗号資産取引所へと成長させました。
同氏は自身の持論として、資産の大部分をビットコインなどの暗号資産として長期保有しており、「インフレによって価値が減避し続ける法定通貨(現金)をそのまま保有し続けることこそが、最も愚かな投資行動である」と強く主張しています。
◯米国債務問題とベッセント財務長官、レイ·ダリオ氏の見解
ベッセント米財務長官は、「米国が抱える莫大な国家債務問題から抜け出す唯一の道は、経済成長を通じて債務比率を相対的に低下させる(成長によって乗り越える)ことだ」と発言しました。
これに対し、世界最大級のヘッジファンドであるブリッジウォーター·アソシエイツの創業者レイ·ダリオ氏は、「歴史上、深刻な債務問題を抱えたすべての国家は『成長によって債務を克服する』と主張してきたが、例外なく最終的には通貨を増刷し、通貨価値の切り下げ(インフレ化)によって実質的な債務をを踏み倒す道を選んできた」と指摘し、法定通貨に対する警戒感を示しています。
ビットコイン(BTC)に関連する個別ニュース
◯マイクロストラテジー社(現Strategy社)によるビットコイン大量追加購入
マイケル·セイラー氏が率いるStrategy社が、新たに4,603BTCを約3億6,900万ドル(日本円で約500億円規模)で追加購入したことが判明しました。先週の時点では買い増しを行っていないと見られていましたが、迅速に市場で動いていたことが明らかになりました。これにより同社の総保有量は84万5,000BTCに達し、未実現利益(含み益)は40億ドルを突破しています。
◯ハル·フィニー氏の没後12年
今から12年前の本日(28日)、ビットコインネットワーク上でサトシ·ナカモトから歴史上初めてビットコインの送金を受けた伝説的な暗号学者でありプログラマーのハル·フィニー氏が逝去しました。同氏は筋萎縮性側索硬化症(ALS)という難病と闘いながらも、最期までベッドの上でコードを書き続けました。彼の遺した功績と志は、現在の暗号資産およびブロックチェーン技術の根幹として受け継がれています。
◯次回ビットコイン半減期までのカウントダウン
次回(第5回)のビットコイン半減期まで、残り85,000ブロックとなりました。日数にして約590日後(2028年春ごろ)に、マイナーが得られる新規採掘報酬が現在の半分へと削減される予定です。過去の歴史において、半減期の前後には需給の不均衡から価格が大きく急騰した経緯があります。
◯トム·リー氏による15万ドル予測の継続
ストラテガス·リサーチのアナリストであるトム·リー氏は、ビットコインが15万ドルへ到達するという強気予測を改めて強調しました。同氏は「世界的に見て、まだ暗号資産を保有している人口は全体のごく一部に過ぎない。現在はWall Streetをはじめとする機関投資家の本格参入が加速している段階であり、今年の第4四半期(10月から12月)こそが相場の本番となるだろう」と述べています。また、関連銘柄の出来高が急増している現象は機関投資家の活発な動きを裏付けており、現在の価格上昇はまだ全体の第一波に過ぎないと分析しています。
◯CZ氏による超長期的な価格予想とAIエージェント構想
CZ氏は香港でのカンファレンスにおいて、「ビットコインが1枚あたり100万ドルに達するのに25年もかかることはない。それよりも遥かに早いスピードで到達するだろう。金(ゴールド)の時価総額を超える瞬間は、次の強気相場(ブルマーケット)で訪れる可能性がある」という大胆な見解を示しました。さらに同氏は、現在AI関連企業と連携し、独自のトークン発行に向けた協議を進めていることを明かしました。「将来的に数十億規模のAIエージェント(自律型AIプログラム)が経済活動や自律取引を行う時代が到来するが、その決済手段として使われるのは間違いなく暗号資産である」と予測しています。
◯アーサー·ヘイズ氏による米国債買戻しとビットコイン上昇の相関解説
BitMEXの共同創業者であるアーサー·ヘイズ氏は、ベッセント財務長官が打ち出した長期米国債の買戻し拡大策について解説を行いました。10年債利回りが4.75パーセントに達し、さらに5パーセント台への上昇も現実味を帯びる中、国債の買戻しを実施することは実質的な市中への米ドル流動性供給(資金注入)を意味します。市場にお金が溢れ出せば、その資金はビットコインやゴールドのような発行上限が定められた希少資産へとなだれ込みます。同氏は、FRBや財務省による事実上の金利操作(イールドカーブ·コントロール)に対する市場の警戒感が本格化した場合、ビットコイン価格が数十万ドルまで跳ね上がる可能性も十分に考えられると述べています。
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