勝率100%・負け0回のEAができました――その数字に意味がない理由を、現物ごと公開します
XAUUSDの5分足で、4年半のバックテストを回しました。
371回取引して、負けが0回。勝率100.00%。プロフィットファクター1.27。最大ドローダウンは0.04%です。
資産曲線は、ほぼ一直線に右上を向いています。
そして、この数字には何の意味もありません。
数字そのものは本物です。MT5のストラテジーテスターが出力した、全ティックのレポートです。改ざんはしていません。問題は作り方のほうにあります。
このEAは、私が「過剰最適化だけで爆益EAは作れるのか」を確かめるために、自分の手で作ったものです。
どうやって作ったか
やったことは単純です。7,362通りのパラメータの組み合わせを、片端から走らせました。
内訳は、資金管理が1,500通り、エントリー条件が960通り、時間帯と曜日の組み合わせが1,152通り、複利設定が1,926通り、10年通しが324通り。
そして、いちばん成績の良かったものを選びました。それだけです。相場の理屈は一切考えていません。
出てきた答えは「火曜と木曜の0時から7時だけ取引する」でした。
なぜ火曜と木曜なのか。私には説明できません。過去のデータにいちばんよく合った、という以上の意味がないからです。
4つの設定と、その成績
すべて全ティックの検証です。XAUUSDの5分足、レバレッジ1:500、海外業者のデモ口座のヒストリーを使いました。
設定1:固定ロット・火曜と木曜の0時から7時のみ(初期資金1万ドル)
設定を決めるのに使った2022年から2026年は、勝率100.00%(371勝0敗)、PF1.27、最大ドローダウン0.04%。
一度も触れていない2016年から2021年に、同じ設定のまま当てると——PF0.34、マイナス1,210ドル。
設定2:固定ロット・時間帯を絞らない(1万ドル)
2022年から2026年はPF1.02。触れていない期間は0.46。残高ベースの最大ドローダウンは2.75%ですが、含み損ベースでは41.21%です。15倍違います。
設定3:複利・時間帯を絞らない(10万ドル)
2022年から2026年はプラス32,285ドル、4年半でプラス32.3%。勝率95.10%、最大ドローダウン12.27%。触れていない2016年から2021年はマイナス37,669ドル、PF0.44。
そしてこの設定、残高ベースの最大ドローダウンは12.27%ですが、含み損ベースでは94.57%。10万ドルの口座が、一度5,000ドル付近まで落ちています。
設定4:複利・10年通しで最適化(10万ドル)
2016年から2026年の10年7か月をまるごと最適化に使いました。プラス14,540ドル、勝率93.51%、最大ドローダウン27.15%、12,903取引。
この設定には「触れていない期間」が1日もありません。全部を設定探しに使ってしまったので、照合できるデータが残っていないのです。
分かった4つのこと
1. 爆益の正体は複利ロットでした。固定ロットで作れた利益はプラス96ドルが上限でした。同じロジックに複利を乗せると、マイナス99,997ドルまで飛びます。利益と同じ倍率が、損失にもそのまま乗ります。
2. 期間を長くするほど、作れる利益は減ります。4年半で最適化すればプラス171.7%まで作れました。10年7か月だとプラス58.0%が限界でした。同じ手口でも、長い期間には合わせにくいのです。検証期間の表示が短い成績表ほど、良い数字を作りやすいということでもあります。
3. 執行モデルを変えると符号が反転しました。1分足OHLCの走査で1位だった10年設定を、全ティックで回し直したらマイナス3,575ドルの赤字でした。同じ設定、同じ期間、違うのは執行の細かさだけです。
4. 残高だけを見ると「早く死んだ設定」が1位になります。最良とされた設定の取引回数は429回。中央値は7,042回でした。ドローダウンを残高ベースだけで見ると、含み損を抱えたまま生き延びている状態が数字に出ません。
私の数字にも、同じ疑いを向けてください
ここまで「2016年から2021年には一度も触れていない」と何度も書きました。それを証明する方法は、私にはありません。
読んでいる側から見れば、本当に開かなかったのか、こっそり見てから調整したのかは区別がつきません。出てくるのは最終的な数字とグラフだけで、そこに「何回見たか」は写らないからです。
そして、悪意がなくても崩れます。10年で回す。負けている場所を見つける。その負け方を避ける条件を足す。もう一度10年で回す。
これを1回やった時点で、その10年はもう検証用の期間ではありません。
繰り返せば、10年間ずっと右肩上がりの曲線は作れます。時間さえかければ誰でも作れます。できあがった曲線を見ても、本物と区別はつきません。グラフは、それが何回の手直しを経てそうなったかを記録していないからです。
これは私自身にも、そのまま返ってくる話です。
成績表を見るときに、私が確かめるようになったこと
この検証をやってから、私が数字を見る順番が変わりました。
残高ベースのドローダウンだけでなく、含み損ベースも見る。さっきの設定3は、残高では12.27%、含み損では94.57%でした。同じEAの、同じ検証の、同じ期間の数字です。
検証期間の長さを見る。短いほど、良い数字は作りやすくなります。
取引回数を見る。数十回の成績は、まだ何も言っていません。
「最適化に使っていない期間」がどこかを見る。そして、その申告を確かめる手段が自分にはない、と分かったうえで見る。
どれも、誰かの成績表を疑うためではありません。自分が作った数字を、自分で疑うために必要になったものです。
私はこれを、遠回りをして手を動かしてから、ようやく分かりました。
この記事の続きについて
ここから先は、このEAの現物をお渡しします。
実行ファイル、記事に出てきた4つの成績それぞれに対応する設定ファイル、バックテストのレポート10本と資産曲線10枚、そして説明書。表に書いた数字の元データが全部入っています。
自分の手元で、同じ設定のまま期間だけを変えて回してみてください。数字が崩れる瞬間を自分の目で見るのが、いちばん速いと思います。
無料ですが、お申し込みが必要です。受け取る前に読んでいただきたい注意書きがあるためです。