移動平均線を「エントリー」ではなく「見送りフィルタ」に切り替えたら勝てるEAが生まれた話──実データで見るMAの正しい使い方
前回、教科書50/200のゴールデンクロスから始めて主要な期間ペアを網羅的に振ってもプラス圏はゼロという検証結果を書きました。
じゃあ移動平均線は捨ててしまえばいいのか──ぼくの答えは違いました。
エントリーに使うのをやめて「見送りフィルタ」に配置転換した瞬間、それまで沈んでいた検証構成が次々にプラス圏に浮上したからです。
実際、いまぼくが実弾監視中のEA「GoldBreakEA_v1」の中核はH1とH4のEMA40が両方一致した時だけ発火という「見送りゲート」で成り立っています。
M5のブレイクをタイミングにしていますが、上位2つの時間軸のEMA40が方向を合意していない時は、ブレイクが出ても全て見送り。
この見送りゲートがない状態では、EA自体が成立しません。
申し遅れました、lulu.fxと申します。GOLD(XAUUSD)中心の現役裁量トレーダーで、いまはプロップファームの(A社)に挑戦中です。
この記事は、実弾監視中のEAで機能している「見送りフィルタとしてのMA活用」を、実際の検証データと合わせて書きます。
この記事では、①なぜMAは「エントリー」で使うと負けて「フィルタ」で使うと勝つのか、②実弾EAの中核ゲート「H1+H4 EMA40合意」の実測データ、③CCI+EMA200順張り限定で期待値が10倍になった事例、④EMA傾きを見送り条件にする使い方、⑤中級者向け「見送りフィルタとしてのMA」設計テンプレ3種を、実際の検証結果と合わせて書きます。
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なぜMAは「エントリー」で負けて「フィルタ」で勝つのか
前記事で示したように、教科書50/200のEMAゴールデンクロスをはじめとする「MAクロス」系のエントリー戦略は、EURUSD H1の6年検証でプラス圏に入った期間ペアはゼロでした。
ぼくが1年以上MQL4で自作してきた検証EAの累計は5万構成を超えますが、MAを主エントリーに据えた戦略は全滅と結論しています。
エントリーでMAが負ける2つの理由
- 遅行性: MAは過去N本の平均、クロスや傾き変化は必ず「動いた後」に確定する。エントリー時点でトレンドはもう進んでいて、伸び代が薄い
- 可視性の高さ: 世界中のトレーダー・EAが同じシグナルを見ている。同じタイミングで同じ方向の注文が集まれば、その注文はカウンター側にとって予測可能な流動性になり、必ず利用される
フィルタで使うと局面が変わる理由
一方、MAをエントリーから外して「行くな」と言うフィルタとして使うと、局面がガラッと変わります。理由は3つ:
- 他のエッジ(ブレイク/オシ/価格構造)がタイミングを担う: MAはタイミング判定の重荷から解放され、「大局が味方かどうか」だけ答えればいい
- 可視性の高さが逆に武器になる: 誰もが見ているMA200の上/下、EMA40の傾き向きなどは「大局の合意点」として使える。世界中の視線が集まる場所を、方向確認に使うだけ
- 発火数を絞ることでコスト負けを抑える: 見送り率60〜95%は珍しくない。取引数を1/2〜1/20に絞れば、その分スプレッド累計負けが減る
要するに、MAは「自分ではトレードしない、他の駒に『行くな』と言う」時に初めて機能するというのが、これまでの実データから見える結論です。
実弾EAの中核ゲート「H1+H4 EMA40合意」の実測データ
ぼくが現在フォワードテスト中のEA「GoldBreakEA_v1」は、GOLDのM5ブレイクをタイミング判定にしていますが、その手前に「H1のEMA40とH4のEMA40が両方とも同じ方向を指す」という見送りゲートを敷いています。
両方一致していないときは、M5でブレイクが出ても全て見送り。この見送りゲートを外すと、EAは成立しません。
ゲートロジック仕様
- 使用MA: EMA期間40 (H1とH4の両方)
- ゲート条件: 「価格 > EMA40 かつ EMA40が上向き傾き」がH1とH4で両方一致 → ロング側発火可、逆側全skip
- 傾き判定: 直近5本のEMA差分で上/下向きを数値化
- エントリータイミング: M5のブレイクロジック(別ロジック)で判定
ゲートありなしの実測比較 (GOLD, 6年)
同じM5ブレイクロジックで、H1+H4 EMA40合意ゲートを外した場合と付けた場合の6年実測を比較します。
- ゲートなし (単純M5ブレイクのみ): 期待値マイナス、mo/DDプラス圏に到達せず、EAとして成立しない (128構成検証で通過ゼロ)
- + H1+H4 EMA40合意ゲート: 期待値 +0.136〜+0.149R、mo/DD 0.088〜0.097、6年中5年プラス
- + 日次ボラゲート(dayvol>=0.8) 追加: 期待値 +0.137〜+0.170R、mo/DD 0.116〜0.123、6年中5〜6年プラス
単純にM5でブレイクを取っていた時は128構成全てマイナスだったのが、上位2つの時間軸のEMA40合意を要求した瞬間にプラス圏に浮上します。
しかも発火数は約60%削減、それでも期待値は改善しています。「見送りフィルタとしてのMA」の効き方の典型例です。
数字だけ見て判断しないための注釈
上記数字はPython検証段階のものです。
実機(Forex Tester/MT4)でのフォワードでは、スプレッド・スリッページの影響で期待値はさらに下がる可能性があります。
実際、GoldBreakEA_v1もFT実機突合で期待値は+0.128Rまで下がっていますが、それでも6年全てプラスで、mo/DD 0.078を維持しています。
フィルタの構造的な効き方は変わりません。
ここまでが無料部分です。
ここから先は、CCI+EMA200順張り限定で期待値が10倍化した事例、EMA傾きを見送り条件にする使い方、見送りフィルタが効く3つの共通パターン、中級者向け「見送りフィルタとしてのMA」設計テンプレ3種を書きます。
EA自作でMAをどう配置すれば勝てるかを実装レベルで知りたい方に読んでほしい内容です。
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- CCI+EMA200順張り限定で期待値が10倍化した実データ (USDJPY H1)
- EMA傾き(スロープ)を見送り条件にする使い方の実例 (EURUSD 4H DeMarker)
- 見送りフィルタが効く3つの共通パターン(上位2TF合意/EMA200順張り側/傾き閾値カット)
- 中級者向け設計テンプレ3種(そのままEAコードに落とせる仕様)
- MAフィルタが効かない銘柄・時間軸の見分け方(EURUSD特有の注意点)