【ドル/円相場】先週の相場と今週の見通し
【ドル/円相場】先週の相場と今週の見通し
4月22日以降のドル/円相場は、もみ合い状態になっている。レンジとしては111.0円から112.3円。ただし、ドルの上値が112円台入ると重くなっているのが特徴である。4月30日・5月1日に開かれたFOMCで米国景気の好調さが続く見通しで、現状維持スタンスが示され、一部の利下げ期待が削がれている。
米10年債相場が、ほぼ2.5%台で安定した動きで、ドル/円相場との連動性が強い米2年債相場も、2.3%前後で安定した動きになっていることが、ドル/円相場がもみ合い状態になっている主因である。
ドルは4月25日に112.3円まで買われ年初来高値を更新する場面があったが、4月12日、17日と同様に112円台をさらに上抜けていくには勢いがない。3月5日に112.1円を付けた場面では、その後、3月25日に109.7円をつけるまでドルが下値を試す展開になった。日本と米国の景気を比較すると米国の方が力強さがあり、低迷しているインフレ率は、FRBが示すように中期的には上昇していく可能性があるために、インフレ率が上昇し始めると、米国債利回りも上昇するために、中長期的にはドル買いトレンドが続く可能性高い。しかし、足元ではドルが短期的な天井を付けた感があるので、一旦は下値を試しやすい地合いになってきた。ただし、米10年債利回りや2年債利回りがさらなる低下にならない場合は、ドルの下値も限定的となる。3月25日に付けた109.7円をさらに下抜けて、ドルが下値を試すような動きにならなければ、しばらくはもみ合い状態が続く可能性がある。
貿易関税問題では、米中貿易交渉は、最終場面が見えてきたようだ。4月29日に米国のムニューシン財務長官は、「中国、ワシントンで交互に開催している今後2回の閣僚級協議で、トランプ大統領に通商合意すべきか否かの提言ができる状況になることを期待している」とコメント。4月30日・5月1日の米中閣僚級貿易協議では、中国側が切望している米国の中国製品への2500億ドルの関税について、中国に対して米国への赤字削減の実効性が確認できる機関の設置や方法がまとまれば、まず2000億ドル分の関税について、米国が一部は即時撤廃し、残りを段階的に撤廃する。残り500億ドル分については、2020年11月の米大統領選挙まで追加関税を持続することで調整している模様。
5日にトランプ大統領は交渉決裂ならば10日から、中国への貿易関税を25%に引き上げるとツイートしたが、5月8日から週末10日にかけて、中国の劉鶴副首相が米国のワシントンで協議して、閣僚級交渉での最終的な合意の可能性がでてきている。この交渉後、米中首脳会談の日程が発表されれば、米国、中国をはじめ。世界の貿易取引、および景気拡大要因になる。反面、決裂すれば、波乱要因となり、一時的にはドル売り・円買い要因になる。
なお、米中貿易交渉がまとまれば、米国は次に米欧貿易協議、日米物品貿易交渉に移っていく。ドル/円相場では、日米貿易交渉の中で為替条項が盛り込まれるのか、麻生財務相が主張しているように、米中の為替問題は、貿易問題とは切り離して、従来通り、財務相間での交渉になるのかがポイントになってくる。貿易交渉の中で、ドル/円相場が意識されれば、米国は恒常的に日本に対して赤字傾向にあるので、ドル売り・円買いに推移していく可能性が高まる。
2日未明に発表されたFOMC声明文では、「米国経済は堅調なパースで拡大しており、雇用の伸びはここ数カ月堅調。個人消費と企業の設備投資はこの1-3月期にやや鈍化している。インフレ率は全体および、食品およびエネルギーを除くコアインフレ率はともに、政策目標の2%以下にあり安定している。世界経済の動向や低いインフレ率を踏まえ、次の調整についてはFOMCは忍耐強くなるだろう」としている。
パウエルFRB議長はFOMC後の会見で、トランプ大統領をはじめ、トランプ政権幹部から利下げ要求発言が出ていることに触れ「現状の政策スタンスは適切だと考えている。短期的な政治の考え方について、FRB内では議論しないし、政策決定の際に考慮もしない」と、きっぱりコメント。このコメントを受けて、米国債利回りは小幅ながら上昇する要因になった。今後のリスク要因について、パウエルFRB議長は中国や欧州の景気動向と貿易交渉の先行き、英国のEI離脱問題を指摘している。
長期金利の指標である米10年債利回り、短期である2年債利回りは、トランプ大統領やペンス副大統領らが、政策金利を下げるよう発言を繰り返していることから、FOMC前までは利下げ期待からやや低下する場面もあったが総じて、安定する展開になっている。現状維持の決定と、米国景気の拡大見通しを示していることから、FOMC後は、やや利回りは上昇している。週末3日は、2年債利回りが2.33%、5年債利回りが2.32%に、10年債利回りは2.53%。2年債と5年債利回りの逆転現象は、正常化する場面が出てきており、先週末ではまだ続いているものの、利回り差は微妙な程度に縮まっている。世界経済および米国景気の景気後退リスクが和らいできている状況である。
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