仲値アノマリーとは ― 毎朝9時55分に生まれる「癖」を26年分検証した
EA開発をしているトノチと申します。今回の記事はAIがメインで書いて、私が最終確認をしています。次回以降も断りがない場合同じ形式で書いていると思って頂ければ幸いです。
今回は、私が販売準備を進めているEAの土台でもある「仲値アノマリー」について、仕組みの入門から26年分の検証結果までまとめます。
1. 仲値とは何か ― 毎朝9時55分に決まる「その日の基準レート」
銀行は、企業や個人と外貨を売り買いするとき、取引のたびに市場のレートを引いてくるわけではありません。毎営業日9時55分ごろの市場レートをもとに「その日の基準レート」を決めて、原則その日はそれを使います。 これが仲値です。海外送金や貿易代金の決済など、銀行の窓口を通る外貨取引の多くが、この1本のレートで処理されます。
つまり9時55分は、「この瞬間のレートを使う取引」が1日でいちばん集中する時刻です。値動きに癖が出るとしたら、ここに出るのが自然です。
2. なぜ「癖」が生まれるのか ― 支払いのためのドル買い
鍵は輸入企業です。海外から商品を仕入れる企業は、代金をドルで支払います。銀行は仲値のレートで企業にドルを売るので、その分のドルを市場で調達しておく必要がある。この調達が、仲値に向けたドル買い圧力になります。
さらに日本の商慣習では、企業の決済日が5日・10日・15日……と、5と10のつく日(ゴトウ日)に集中します。給料日が25日に多いのと同じ類の、昔からの慣習です。
この2つを合わせると、こうなります。
ゴトウ日の朝は、9時55分の仲値に向けてドル買いの需要がいつもより多い。だからドル円は仲値に向けて上がりやすく、仲値が決まった後は圧力が消える。
これが仲値アノマリーの骨格です。理屈が「投資家の心理」ではなく実需の資金フローで説明できる、数少ないアノマリーです。
▲図1:仲値アノマリーの仕組み(模式図)。①銀行は毎営業日9時55分ごろのレートで「その日の基準レート」を決めるので、外貨の実需がこの1本に集まる。②その分のドルを市場で用意するため、仲値に向けて買いが積み上がり、仲値が決まった後は圧力が消える。値動きの線は説明のための模式図で、実測は次の図。
3. 本当にあるのか ― 26年分の数字
理屈はもっともらしい。では統計はどうか。
この癖に素直に沿ったシンプルなEA(買いは前夜に入って仲値前後で手仕舞い、売りは仲値から入って昼過ぎまでに手仕舞い)を、2000年から2026年まで全ティックで通しました。
- コストを引く前の「偏り」そのものは、26年間ずっと観測されます。 円高の時代(2000〜2011年)も円安の時代(2012年以降)も、仲値に向けた偏りの強さはほぼ同じでした
- ただし、スプレッドなどのコストを引いた後の実現益は時代で大きく変わります。2000〜2009年の合計はほぼ横ばい(わずかにプラス)で、利益の大半は2010年以降に出ています
- 素のEA(保護機構なし・固定ロット)の26年通しは PF 1.45・最大ドローダウン0.71%
▲図2:コストを引く前の「偏り」を年ごとに見た図。縦軸はゴトウ日1回あたり何pips分の偏りがあったか(仲値に向けて買う側と、仲値の後に売る側の合計)。27年のうち26年がプラスで、マイナスは2023年だけ。円高の時代(2000〜2011・平均11.8pips)と円安の時代(2012〜・平均12.2pips)で強さはほぼ同じ。USDJPY・時刻補正後の再計測。
答えは「癖は26年間ずっとある。ただし、コストを引いた後の旨味は時代で変わる」です。
当時の値動きの環境では決済のされ方が悪く、癖はあってもコスト負けに近い10年があった――これがこの手法の実像です。癖が存在することと、それで勝てることは別問題。この区別が、次の§4と§5につながります。
4. 「知られたら消えるのでは?」への答え
アノマリーには「広く知られたら、先回りする人が増えて消える」という宿命があります。実際、多くの統計的な癖はそうやって消えてきました。では仲値の癖が20年以上観測され続けているのはなぜか。
これが投機ではなく実需のフローだからです。 輸入企業は、儲けるためにドルを買うのではありません。支払いのために買います。レートが多少不利でも、支払日が来れば買う。だから、この癖を取りにくる投機家がどれだけ増えても、元になる需要は毎月やってきます。
ただし §3 のとおり、フローが存在することと、それで勝てることは別問題です。「消えない」は「ずっと勝てる」を意味しません。ここを混ぜると判断を誤ります。
5. 弱点を正直に
いつもどおり、良い話だけでは終わらせません。
① 「薄かった10年」が、実在する
2000〜2009年は、癖はあってもコスト後の実現益がほぼ横ばいの10年でした。これは仮定ではなく実測です。将来また「癖はあるのに旨味が薄い」時代が来ることは、あり得ると考えるのが誠実です。 私はこの問題を「儲けが薄くなった時期をEA自身に検知させて休む」設計(適応エッジゲート)で扱っています。この機構の検証記録も、別途詳しく公開しています。
▲図3:同じ26年を、コストを引く前(左)と引いた後(右)で見た図。偏りの強さは前半10年と後半17年でほぼ変わらない(11.8対12.2pips)のに、コストを引いた後に残った利益は前半10年が全体の1割ほどしかない。「癖がある」ことと「それで勝てる」ことは別問題、という意味。素のEA(保護機構なし)・コスト後の内訳は概数。
② 保有時間が短い=取引コストに敏感
このアノマリーの保有時間は短く、1回の値幅も小さい。つまりスプレッド(売買の値差)の影響を強く受けます。コスト環境の悪い口座では、同じルールでも成績が大きく落ちます。バックテストと実運用の差が出やすいタイプの手法だ、ということは知っておくべきです。
③ 「有名だから」と雑に使うと養分になる
時刻と日付だけ真似て、損切りも決めずに入る――いちばん危ない使い方です。§3の数字は、決済ルールとリスク管理を決めた上での26年分の結果であって、「ゴトウ日の朝に買えば勝てる」という話ではありません。
まとめ
- 仲値=毎朝9時55分に決まる、銀行のその日の基準レート。実需の注文がここに集中する
- ゴトウ日は決済が重なり、仲値に向けたドル買いが偏る。実需由来なので、知られても需要は消えない
- 26年の検証では、癖は26年間一貫して観測される。ただしコストを引いた後の旨味は時代で大きく変わる
- 旨味の薄かった10年(2000〜2009)は実績として存在する。コスト感度も高い。「消えない癖」と「ずっと勝てる」は別問題
この癖を土台に、適応エッジゲート(旨味が薄くなった時期の自動休止)を載せたEA 「510EdgeGate」 を、現在ゴゴジャンで販売準備中です(審査待ち)。ゲートの判定は過去2年ぶんの価格履歴から行うため、稼働を始める時期によって売買が変わることはありません。販売開始の際は、あらためてこちらでもご報告します。
検証条件:USDJPY / M1 / 固定0.10ロット / 全ティック / 2000.01.01–2026 / 同一セッション / 実効スプレッド実測≈1.3pip。§3の数値は時刻補正後の再計測(素のEA構成)に基づきます(価格履歴の2014年12月以前に時刻ラベルの1時間ズレがあることを発見し、補正のうえ全系統を再検証済み)。
免責:本記事はバックテスト結果に基づく開発記録であり、将来の運用成績を保証するものではありません。投資助言ではありません。EAの運用はご自身の判断と責任でお願いします。
この検証について:26年分の全ティックバックテスト、年別分解、弱点の洗い出しまで、AI(Claude Code)をペアにして回しています。設計と判断は人、生産と検証はAI ―― という分担です。