何千通りも検証してわかった、「月10%」が口座を吹き飛ばす仕組み
デモ取引で、1ヶ月に資金が15%増えたことがあります。当時のぼくは、正直「これはいける」と思いました。「月10%を続ければ、1年で資金は3倍以上だ」──電卓を叩いて、ニヤニヤしていました。そして、その勢いのままリアル(本番)の口座に同じやり方を持ち込んで、2週間で一発退場しました。
この記事は、その失敗を分解して書きます。テーマは「非現実的な目標を掲げると、なぜ退場が近づくのか」。結論を先に言うと、悪いのはメンタルでも運でもなくて、高すぎる目標そのものが、リスクを取りすぎる設計を強制してくるからです。
申し遅れました、lulu.fx と申します。GOLD(XAUUSD)を中心にトレードしている現役の裁量トレーダーで、自分でEAを組んでは検証する、ということを続けています。いまはプロップファームの (A社) に挑戦中です。
この「検証でわかる:FX初心者が勝てない理由」シリーズは、大量のデータやデモ取引を突き合わせてわかった、初心者が勝てない本当の理由を1つずつ書いていくものです。今回はその第2回。「デモで勝てたのにリアルで負ける」の、いちばん根っこにある「目標設定の間違い」を扱います。
デモで勝てた「自信」が、いちばん危ない
まず、いちばん最初につまずくポイントから。デモ取引で大きく勝てると、人は自分の実力を過大評価します。ぼくもそうでした。デモで月+15%が出たとき、それを「自分の手法が優秀だから」だと思い込みました。でも、実際はそうじゃなかった。
前回の記事でも書きましたが、デモはスプレッド(買値と売値の差)が狭くて、約定は完璧、そしていちばん大きいのが「お金の重みがない」ことです。負けても心が1ミリも痛まないから、大胆にロット(取引量)を張れる。損切りも躊躇なくできる。この「痛みのない環境」で出した好成績を、そのまま実力だと勘違いする。ここが、破滅への入口です。
問題は、その勘違いした自信が、次のステップで「非現実的な目標」に姿を変えることです。「デモで月+15%出たんだから、リアルでも月+10%はいけるだろう」。この一文が、あとで自分の首を絞めます。なぜなら、月+10%という数字を本気で追いかけると、取引の設計そのものが、危険な方向に歪んでいくからです。順を追って説明します。
高い目標は「リスクの取りすぎ」を強制してくる
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。目標が高いと、その目標を達成するために、リスクを取らざるを得なくなる。これは気合や性格の問題ではなくて、算数の問題です。
たとえば、ある手法の「1トレードあたりの平均的な優位」が決まっているとします。同じ手法で月+10%を出すには、月+3%を出すときの3倍以上、1回ごとのロットを大きくするか、無理に取引回数を増やすしかありません。ロットを大きくすれば、勝ったときの利益も増えますが、負けたときの下げ(ドローダウン=一時的にどれだけ資金が目減りしたか)も、同じだけ大きくなる。
つまり、月+10%を狙うということは、自動的に「一時的な下げも10%、20%まで許容する設計」を受け入れることになります。そして相場には、どんなに良い手法でも「連敗する時期」が必ず来ます。優位がある手法でも、5連敗、6連敗はふつうに起きる。そのときに大きなロットを張っていたら、下げは一気に膨らみます。月+10%を狙う設計は、この連敗の波が来た瞬間に、口座を吹き飛ばす爆弾を最初から抱えているんです。
ぼくが2週間で退場したのも、まさにこれでした。デモ気分で大きめのロットを張っていたところに、3連敗が来た。取り返そうとしてさらにロットを上げた。次も負けた。気づいたときには、プロップの損失上限を超えていました。手法が悪かったんじゃない。「月10%」という目標が、最初から退場する設計をぼくに組ませていたんです。
ここまでが、この記事の無料部分です。ここから先は、「じゃあ現実的な目標はどこなのか」を、検証でぶつかった壁の数字から書いていきます。ぼくが数えきれないほどのロジックを試して、何度も同じ場所で跳ね返された「構造的な天井」の話です。
ここから先(続きを読む)で公開:
- 検証で何度もぶつかった、GOLDの「構造的な天井」と、現実的に狙える利益の実数
- 「月+10%」がたいてい蜃気楼になる理由(甘い前提のときだけ見える数字)
- 「複利の夢」が判断を狂わせる仕組みと、-50%を戻すのに+100%要る非対称さ
- プロップの損失上限と「月+10%狙い」が、そもそも両立しないという話
- ぼくが自分に課している4つのルール(狙う利益・許容する下げ・順番・禁止事項)