FXで勝率60%超えの手法は個別株でも通用する?実際に検証してみた
「FXで勝率60%を超える逆張り手法なら、日本株でも勝てるのではないか」
このように考えたことはないでしょうか?
RSIやボリンジャーバンドを使った逆張り、一定間隔でポジションを追加するグリッド、含み損に応じて買い増すナンピンなど、カウンタートレンド型の手法は数多く出回っています。
これらの手法は高い勝率を出しやすい一方で、相場が一方向へ強く動いたときに損失が大きくなりやすいという共通点があります。
そこで今回は、FX向けに開発した逆張り手法を日本の個別株へ応用し、MT4上でバックテストを行いました。
検証にはTick Data Suite、通称TDSで取得した日本株CFDのヒストリカルデータを使用しています。対象は信越化学工業、花王、LINEヤフー、リクルートホールディングス、デンソー、ファナック、キヤノン、任天堂、三菱UFJフィナンシャル・グループ、ファーストリテイリングの10銘柄です。
結論からお伝えすると、日本株でも逆張りロジックに一定の有意性は見られました。条件によっては60%前後、または60%を超える勝率が確認できるケースもあります。
ただし、検証期間が約2年半と短く、スプレッドや実際の約定条件も完全には再現できていません。
この記事では、単にバックテスト結果を紹介するだけではなく、以下の点まで具体的に解説します。
- FXの逆張り手法が日本株でも機能する理由
- 日本株CFDのデータをMT4で検証する方法
- 勝率60%という数字を見る際の注意点
- 実際の株式取引へ応用する場合の課題
- 自分で逆張りロジックを構築する方法
私は、2020年からMT4・MT5のEA開発とインジケーター開発に取り組み、これまでに200本以上を開発してきました。
今回は、その中で得た知見を交えながら、日本株での検証結果を紹介します。
FXの逆張り手法は日本株でも通用するのか
今回試したのは、価格が上がりすぎたところで売り、下がりすぎたところで買う、いわゆる逆張りの手法です。
逆張りは、カウンタートレンドとも呼ばれます。現在動いている方向とは反対側にエントリーして、価格が元の水準へ戻る動きを狙います。
例えば、短時間で株価が大きく下がったときに買い、少し反発したところで利益を確定します。反対に、急上昇したときには売りから入り、価格が落ち着いたところで決済します。
このような手法は、FXではよく使われています。
RSIの売られすぎや買われすぎを利用した方法、ボリンジャーバンドから価格が外れた場面を狙う方法、一定の値幅ごとにポジションを持つグリッド系の手法など、考え方はさまざまです。
私もこれまで、グリッド系や逆張り系のEA、インジケーターを複数開発してきました。
実際に検証を続けて感じるのは、逆張りはレンジ相場には強いということです。
相場が一定の範囲を上下しているときは、上がったところで売り、下がったところで買う動きがうまく機能します。小さな利益を何度も積み上げやすいため、勝率も比較的高くなります。
一方で、相場が一方向へ強く動き始めると、逆張りは急に苦しくなります。
下がっている途中で買っても、さらに下がり続ければ含み損が増えます。そこでナンピンをすると、反発したときには利益を出しやすくなりますが、反発しなかった場合には損失が大きくなります。
つまり、逆張りは勝率を高くしやすい反面、負けたときの損失が大きくなりやすい手法です。
今回の検証では、このFXで使ってきた逆張りの考え方が、日本株でも通用するのかを確認しました。
TDSを使って日本株をMT4でバックテスト
日本の個別株は、通常であればMT4でそのままバックテストすることはできません。
そこで今回は、Tick Data Suite、通称TDSを使いました。
TDSでは、FX通貨ペアだけでなく、一部の株価指数や個別株CFDのヒストリカルデータも取得できます。
取得した日本株CFDのデータをMT4へ読み込ませることで、過去の株価を使ってEAの動きを検証できます。
今回対象にしたのは、信越化学工業、花王、LINEヤフー、リクルートホールディングス、デンソー、ファナック、キヤノン、任天堂、三菱UFJフィナンシャル・グループ、ファーストリテイリングの10銘柄です。
どれも比較的知名度の高い大型株ですが、業種や値動きの特徴はそれぞれ違います。
例えば、三菱UFJフィナンシャル・グループは金利や金融政策の影響を受けやすく、ファナックや信越化学工業は海外景気や半導体関連の動きに左右されます。
任天堂はゲーム関連のニュースに反応しやすく、ファーストリテイリングは日経平均への影響が大きい銘柄です。
値動きの異なる銘柄をまとめて検証することで、逆張りロジックが特定の株だけで偶然機能しているのか、それとも複数の銘柄で使える可能性があるのかを確認しました。
参考として、日経平均株価に連動するJP225のCFDでも同じロジックを動かしています。
バックテストを行った期間と時間帯
検証期間は、2024年1月1日から2026年6月30日までです。
およそ2年半のデータになります。
長期的な優位性を判断するにはやや短い期間ですが、まず日本株でも逆張りロジックが反応するのかを確認するには、一定の参考になると考えました。
今回の検証では、EAが動き始める時間も変えています。
主にサーバー時間の2時から動かすパターンと、4時から動かすパターンです。
サーバー時間は使用するMT4や夏時間、冬時間によって日本時間とのずれが変わりますが、考え方としては、日本市場の寄り付き付近から動かすパターンと、寄り付き後の値動きが少し落ち着いてから動かすパターンに分けています。
日本株は、寄り付き直後に大きく動くことがあります。
前日の米国市場の動きや、夜間に出たニュースを一気に織り込むためです。
この時間帯は値幅が出やすい一方で、逆張りをすると、そのまま強いトレンドに巻き込まれる可能性もあります。
そこで、寄り付き付近から取引する場合と、少し時間をずらした場合で成績が変わるのかを確認しました。
エントリーを終了する時間も複数に分けています。
日本株CFDは、日本市場が閉まる時間に近づくと流動性や取引条件が変わります。そのため、基本的には日本市場が開いている時間帯を中心に新規エントリーを行い、大引けに近づいたら新しいポジションを持たない設定にしています。
日本株10銘柄で検証した結果
実際にバックテストを行ったところ、銘柄や取引時間によって結果にはかなり差が出ました。
比較的安定した値動きをする銘柄では、急落後の反発や急騰後の下落を捉えやすく、逆張りロジックが機能する場面が見られました。
一方で、一方向に値動きが続く銘柄や、寄り付きから強いトレンドが発生した日には、逆張りがうまく機能しないケースもあります。
それでも、全体として見ると、日本株でも一定の有意性はありそうだと感じました。
条件によっては勝率が60%前後になり、60%を超えるケースも確認できています。
FX向けに作った逆張りの考え方、短期的に上がりすぎた価格が戻る、下がりすぎた価格が反発するという動きは、日本株にも共通して存在していることが分かります。
ただし、今回の結果を見て、勝率60%ならそのまま実際の取引でも勝てると考えるのは早いです。
勝率60%でも安心できない理由
トレードでは、勝率だけを見ても本当の成績は分かりません。
例えば、10回中6回勝てば勝率は60%です。
しかし、勝ったときに1,000円の利益が出て、負けたときに3,000円の損失が出る手法では、最終的な収支はマイナスになります。
反対に、勝率が40%しかなくても、勝ったときの利益が負けたときの損失より大きければ、トータルではプラスになります。
逆張り系のEAでは、特にこの点に注意が必要です。
勝つときは小さな利益を何度も積み上げますが、強いトレンドが発生したときに大きく負けることがあります。
ナンピンやグリッドを使っている場合は、さらに注意が必要です。
反発しない相場が続くと、ポジション数と含み損が増えていきます。
私自身、これまで逆張り系やグリッド系のEAを何度も検証してきました。
最初は安定して利益が出ていたのに、ロットを上げた途端、大きなトレンドで逆行してしまい、積み上げた利益のほとんど失うケースもあります。
そのため、逆張り手法を見るときは、勝率だけではなく、ドローダウンの回避策を考えることが大切です。
今回の結果にはスプレッドが十分反映されていない
今回のバックテストには、もうひとつ大きな注意点があります。
それは、実際の取引で発生するスプレッドや約定のずれを、再現できていないことです。
バックテスト上では、売買のたびに発生するコストがほとんどないスプレッドゼロ状態になっています。
しかし、実際の取引では、買値と売値の間に差があります。
利益確定の幅が小さいスキャルピングでは、この差が成績に大きく影響します。
1回あたりのコストが小さくても、売買回数が増えれば、最終的には無視できない金額になります。
そのため、今回確認できた利益や勝率は、ロジックに一定の可能性があることを示した結果であり、そのまま実際の利益になるわけではありません。
実際に取引へ応用する場合は、手数料を抑えられる証券会社を選び、スプレッドや約定のずれを含めて再度検証する必要があります。
日本株で実際に使うならどうするか
今回の検証では日本株CFDのデータを使いましたが、実際に日本株を売買するなら、現物株や信用取引を利用する方法があります。
楽天証券やSBI証券など、国内株式の売買手数料を抑えられる証券会社を使えば、取引コストを小さくできる可能性があります。
ただし、手数料が無料だからといって、完全にコストがなくなるわけではありません。
売り注文と買い注文の価格差や、板の厚さによる約定価格のずれは発生します。
また、信用取引で売りから入る場合には、貸株料や信用取引金利も考える必要があります。
決算発表の日は逆張りを避けたほうがいい
個別株で逆張りをする場合、特に注意したいのが決算発表です。
決算内容が市場の予想を大きく上回ったり、下回ったりすると、翌日の株価が大きく窓を開けて始まることがあります。
その後も一方向へ動き続けるケースがあり、通常の反発を狙う逆張りロジックが機能しないことがあります。
FXで雇用統計やCPIの前後にEAを止めるのと同じように、日本株では決算や重要な企業発表の前後を避けたほうが安全です。
私の経験でも、逆張り系のEAは、通常の相場では安定していても、急変する相場では想定以上の損失を受けることがあります。
EA自動売買は、24時間ずっと放置して動かせばよいものではありません。
相場が比較的落ち着いている時間帯だけ動かし、急変が予想される日は止める。このような運用管理が必要です。
日本株であれば、決算日だけでなく、業績修正、自社株買い、増資、M&A、不祥事などのニュースにも注意する必要があります。
RSIやボリンジャーバンドでも逆張り手法は作れる
個別株のトレードにおいて、今回使用したEAとまったく同じ環境を用意するのは、少し難しいかもしれません。
そこで、まずはRSIやボリンジャーバンドを使ったシンプルな逆張りから試す方法があります。
例えば、RSIが30を下回ったときに売られすぎと判断し、RSIが再び30を上回ったところで買います。
反対に、RSIが70を上回った後、再び70を下回ったところで売ります。
ただし、RSIだけでは、強いトレンドの途中でも売られすぎ、買われすぎのサインが出ます。
そこで、ボリンジャーバンドを組み合わせます。
価格がボリンジャーバンドのマイナス2σを下回り、RSIも30以下になったあと、価格が再びバンドの内側へ戻ったところで買う方法です。
売りの場合は反対です。
それでも、強いトレンドでは逆張りが失敗する可能性があります。
移動平均線の傾きやADXなどを使い、相場のトレンドが強すぎるときは取引しないようにすると、無理なエントリーを減らせます。
ただし、条件を増やしすぎると、過去の相場だけに合わせたロジックになりやすくなります。
最初から複雑な手法を作るより、シンプルな条件で複数銘柄を検証し、どのような場面で負けるのかを確認するほうが重要です。
逆張り手法を使うときに最も大切なこと
逆張り手法で大切なのは、どこでエントリーするかだけではありません。
どこで諦めるかを先に決めておくことです。
価格が戻るまで待つという考え方だけでは、損失を管理できません。
最大で何回まで追加エントリーするのか、どの価格まで動いたら損切りするのか、1日にいくら負けたら取引を止めるのかを決めておく必要があります。
まとめ
今回、FX向けに開発した逆張り手法を、日本の個別株10銘柄と日経225 CFDでバックテストしました。
その結果、日本株でも逆張りロジックに一定の有意性が見られました。
条件によっては勝率が60%前後になり、60%を超えるケースも確認できています。
そのため、FXで使われている逆張りの考え方を、日本株へ応用すること自体は可能だと考えています。
ただし、今回の結果だけで、実際の取引でも同じように勝てるとはいえません。
検証期間は約2年半と短く、スプレッドや約定のずれも十分に反映できていないからです。
また、個別株は決算や企業ニュースによって、突然一方向へ大きく動くことがあります。
逆張りはレンジ相場では強いですが、強いトレンドには弱い手法です。
勝率60%という数字だけを見るのではなく、負けたときにどれくらい損失が出るのか、最大ドローダウンがどれくらいになるのかまで確認する必要があります。
これから自分で試す場合は、まずRSIやボリンジャーバンドを使ったシンプルなロジックを作り、過去のデータで検証してみてください。
監修・執筆:まさやん
※この記事はバックテスト結果と開発経験を紹介するものであり、特定の銘柄や金融商品の売買を推奨するものではありません。実際の取引は、ご自身の判断と責任で行ってください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Grid Rushシリーズ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
MT5用サインインジケーター
Volatility Rush Indicator
https://www.gogojungle.co.jp/tools/indicators/80364
MT4用サインインジケーター
Grid Rash_Arrow_Indicator
https://www.gogojungle.co.jp/tools/indicators/55251
MT5用EA自動売買
Grid Rush MT5
https://www.gogojungle.co.jp/systemtrade/fx/78797
MT4用EA自動売買
Grid Rash EURUSD
https://www.gogojungle.co.jp/systemtrade/fx/55503