売りと買いは対称か
FX
トレードにおいて売りと買いは対称ではありません。
株式トレードでは一部銘柄で大口機関投資家の空売りが顕著です。もちろん儲かるから空売りをします。一種の合法的詐欺です。個人投資家を儲かると欺罔して株式を買わせ、機関投資家、証券会社はその株式を借り受けて空売りし大きく値を下げて損切りさせます。高い配当利回り、目標株価、低い PBR, PER は詐欺の小道具でしかありません。「個人投資家の損切りによる損失 = 空売り機関投資家の利益」です。
「仕手が買い上げるのは簡単だが売り抜けるのが難しい」と言いますが注意すべき点は株式相場においては売りと買いは非対称だということです。買い上げる場合は利確が出るので、値を上げることが難しくその分儲かり難くなります。他方、売り崩した場合は損切りが出るので、その分大きく値を下げることができて儲かり易くなります。また買い戻しの際には利確売りが出るため値をあまり上げずに買い戻すことが出来ます。つまり売り崩して買い戻せば自動的に儲かるような特性、非対称性、が株式市場にはあります。
無論、買いが買いを呼び空売りが踏み上げられ続けて下がってこないということもありますので安易な株式の空売りは極めて危険であることを申し添えておきます。
上下に揺れ動きながら、上値確認と下値確認を繰り返しながら推移していくことの多い FX 相場でも売りと買いは対称ではありません。テクニカルに対称に作成されることが多い EA においても売買成績に多かれ少なかれ差があります。下図はゴゴジャンの「リアル口座 EA 稼働率」の図表に示された EA のバックテストの売りトレードの勝率を買いトレードの勝率に対してプロットしたものです。両者はほぼ一致することが多いのですがかなり差があることもあります。
非対称性の一つの原因はスワップにあります。プラススワップの USD/JPY であれば長期保有でかなりの収益が見込めます。仮に一米ドル 160 円 1000 通貨で一日10円のスワップとしても証拠金に対する年利は 50 パーセントを超えますから買いは比較的長期目線のトレード、売りは短期目線のトレードとなるはずです。スワップは通貨ペアによりまちまちです。上図は様々な通貨ペアに加えて XAU/USD も混在していますので通貨ペア毎に集計してプロットする必要があります。
USD/JPY に限定した場合は下図のようになります。
「多少ばらつきは減っていて買いトレードの方が売りトレードよりも勝率が高いようだがそうでない場合もあり、はっきりしない」といったところでしょうか。しかしこのグラフには買いトレードに限定された 8 つの EA の存在が反映されていません。それらは当然、買いトレードが売りトレードに比べて優勢であると考えられます。
そこで売り買いが限定された EA では限定された売買方向が優勢、それ以外では勝率が高い方が優勢として優勢率を通貨ペア毎 (XAU/USD を含む) に計算して表にしてみました。スワップの概算値 (通貨価額に対する一日当たりの %) も示してあります。
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通貨ペア 買いの勝率 売りの勝率 買い優勢率 スワップ 例数
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USD/JPY 63.8 60.8 84.6 0.010 78
XAU/USD 70.4 68.1 60.0 -0.012 20
EUR/USD 71.5 72.7 7.1 -0.005 14
GBP/JPY 56.8 56.1 71.4 0.008 14
AUD/CAD 73.8 73.9 45.5 0.004 11
EUR/JPY 62.8 72.4 60.0 0.004 6
GBP/USD 76.8 78.3 50.0 0.000 4
AUD/JPY 65.3 65.6 0.0 0.009 2
CHF/JPY 64.3 61.9 100.0 -0.003 2
EUR/CHF 80.9 76.5 50.0 0.004 2
EUR/GBP 70.0 71.2 0.0 -0.007 2
GBP/CHF 69.4 72.1 0.0 0.008 1
USD/CHF 84.3 84.2 100.0 0.007 1
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例数が多い上の 6 通貨ペアについて少し詳しく見てみましょう。スワップがプラスの USD/JPY, GBP/JPY, EUR/JPY は明らかに買いが優勢でマイナスのEUR/USD は売りが優勢です。両方が資源国でトレンドが発生しにくく難平逆張りの有効性が高いということで人気の AUD/CAD は売買方向による差があまりありません。他方、XAU/USD は金現物を保有していても利子がつかず最も大きなマイナススワップとなっていますが何故か買いトレードが優勢です。
USD/JPY の買い優勢の EA について詳しく調べてみようとバックテストのデータをダウンロードしようとしたのですが購入者であることが条件となっていますので諦めました。
私もいろいろ EA を作成していますので売買方向限定の効果をバックテスト(2025/7/1-2026/6/30, USD/JPY 0.1 ロット) で調べてみました。結果を下の表に示します。
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EA 名 トレード数 総利益 勝率 pf
(円) (%)
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OTR2501 355 67,947 50.14 (53.81/43.94) 1.10
OTR2501L 286 87,635 53.15 1.16
OTR2501S 191 -100,035 42.93 0.78
OTR2502 262 38,249 49.62 (57.03/42.54) 1.09
OTR2502L 138 100,530 59.42 1.55
OTR2502S 154 80,000 46.75 1.03
OTR2503 150 132,369 58.67 (62.64/52.54) 1.64
OTR2503L 96 104,977 62.50 1.94
OTR2503S 67 -7,191 50.75 0.94
OTR2504 306 6,136 49.67 (52.98/45.65) 1.01
OTR2504L 204 68,904 52.45 1.19
OTR2504S 186 -112,948 44.62 0.74
OTR2515 204 83,294 53.43 (57.76/47.73) 1.22
OTR2515L 129 69,937 54.26 1.31
OTR2515S 95 24,930 49.47 1.14
OTR2608 350 -20,245 49.43 (54.45/43.40) 0.97
OTR2608L 226 104,129 53.98 1.26
OTR2608S 192 -139,675 42.71 0.71
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各 EA の売買方向を買いに限定したものの EA 名を ***L, 売りに限定したものの EA 名を ***S としてあります。括弧内の勝率は (買いトレードの勝率/売りトレードの勝率)です。
売買方向を限定することにより EA のパフォーマンスが著しく向上することがあることが分かります。バックテストの結果はスワップを無視していますので実際の差はもっと大きいことになります。
EA を運用していていつも感じることですが負けが続くと、この EA は長期運用で勝てる EA であろうかという疑念です。そのような時に完全に運用を停止して諦めてしまう前に売買方向の限定をするという選択肢を是非ご検討ください。多少なりともパフォーマンスの向上が期待できますし少なくとも損失は半減します。
EA によっては売買方向限定の機能が実装されているでしょう。一方のトレードのみを停止することができるようにプログラムすることは極めて簡単ですので開発者に依頼すれば応えてくれるかもしれません。
なお EA に売買方向限定の機能が実装されておらず開発者がプログラムの改修に応じてくれないような場合に簡単に売買方向を限定したトレードを (近似的に) 実現するために cancel trade EA を作成し販売しておりますのでよろしかったらご利用ください。また上記の私の EA のうちバックテストの結果が良好な OTR2503, OTR2515, OTR2608L も出品/販売しておりますので是非、EA ポートフォリォの候補としてご検討ください。