「AI搭載EA」の"AI"って、結局なんのこと? ── 生成AIと機械学習の話
皆さんは、EAを選ぶとき「AI搭載」「AIが最適なタイミングを判断」「AIが環境認識」といった説明を見て、どう感じますか。
正直に言うと、私も最初は、この「AI」の二文字にワクワクしていました。なんだか凄そうですし、人間より賢く相場を読んでくれそうな気がしますよね。
でも、いくつもEAを見て、自分でも作ってみて、あるとき気づいたんです。「AI搭載」と書いてあるEAの多くは、私たちが思っている"AI"とは、けっこう違うものだ、と。
今日は、その話をします。良ければ身構えずに読んでくださいね!
そもそも「AI」には、種類がある
ひとくちにAIと言っても、EAの世界で関係してくるのは、大きく2種類だと思います。
ひとつは、生成AI。ChatGPTやClaude、Geminiのような、文章で対話できるあれです。最近「AI」といえば、たいていこれを思い浮かべますよね。
もうひとつは、機械学習。過去のデータから「こういう形のとき、相場はこう動きやすかった」というパターンを、自動で学ぶ仕組みです。
この2つは、名前は同じ「AI」でも、EAの中でやれることがまったく違います。ここを分けて考えるだけで、販売ページの見え方が変わってきます。
「ChatGPTが相場を判断します」は、ちょっと待ってほしい
まず、生成AIの方から。
「ChatGPT搭載で、AIがリアルタイムに売買を判断」——もしこういう説明を見たら、私は一歩下がって考えます。理由を、私の理解している範囲で正直に書きますね。
・速度が合わない。賢い受け答えをするAIほど、答えを返すのに時間がかかります。1秒を争う相場のエントリー判断には、正直、間に合いにくい。
・コストがかかる。取引のたびにAIへ問い合わせると、回数がかさんで費用も膨らみます。
・毎回同じ答えとは限らない。生成AIは、同じ質問でも少し違う答えを返すことがあります。売買ルールは「同じ状況なら同じ判断」であってほしいのに、そこが揺れる。
・特別な情報源があるわけではない。生成AIは、世の中にある一般的な情報から学んでいます。相場で人より優位に立てる"秘密の情報"を持っているわけではありません。
だから私は、「生成AIがEAの中でリアルタイムに売買を決めている」という触れ込みには、慎重になります。
もちろん、相場の"分析"を人間が対話しながら手伝ってもらう使い方や大きな市場の環境認識にはとても便利です。でも、「自動売買のエントリー判断そのものを生成AIに丸投げする」のは、話が別だと思っています。
では、機械学習は? ── こちらは"本物"になり得る
一方の機械学習は、”現時点では”EAの中で本当に役立ち得るAIだと、私は思っています。
どういうものか、できるだけ噛み砕いて説明しますね。人間が売買ルールを手で作ると、どうしても「なんとなく、この数字がよさそう」という感覚が入ってしまいます。相場の状況を決める条件はいくつもあって(たとえば値動きの勢い、時間帯、直近の高値・安値との位置関係など)、それをどう組み合わせれば勝ちやすいのか——人の勘だけで詰めるのは、正直、限界があります。
機械学習は、その「組み合わせ方」を、過去のデータそのものから見つけてくれます。「こういう条件が揃ったときは買って伸びやすかった」「この形は見送った方がよかった」——そうした傾向を、大量の過去の実例から自動で学ぶわけです。
よく使われる方法のひとつが、**「決定木(けっていぎ)」**というものです。ざっくり言えば、小さな「Yes / No の分かれ道」をいくつもつないでいって、最後に「買う/見送る」を決める仕組み。1本だけだと判断が大雑把ですが、少しずつ性質の違う決定木をたくさん用意して"多数決"を取ると、結果がぐっと安定します。
……実は、私のEA「Mikazuki USDJPY」も、この方式です。決定木を290本組み合わせて、1回1回のトレードの優位性を数値化して、それを更にAIに分析させてエントリー判断させています。(この中身の話は少し長くなるので、また別の回でじっくりお話しします。)
……とはいえ、機械学習にも大きな落とし穴があります。**過学習(オーバーフィッティング)**です。
過学習 ── "過去問だけ丸暗記した生徒"
たとえば、試験前に過去問だけを丸暗記した生徒を思い浮かべてください。過去問と同じ問題が出れば満点。でも、少しひねった初見の問題には、まるで歯が立たない。
過学習した機械学習も、これと同じなんです。学習に使った過去のチャートには完璧に当てはまる——だからバックテストの成績は、うっとりするほど綺麗になります。でも、見たことのない未来の相場では、あっさり崩れることがある。
私が一番警戒するのは、ここです。「AIが自動で最適化し続けます」といった、中身の見えないブラックボックス型で、しかもバックテストが綺麗すぎるもの。これは、過学習した"過去問マシン"かもしれない、と疑ってかかります。
では、この「丸暗記」を防ぐには、どうすればいいのか。少しだけ、作り手側の話をさせてください。
基本は、AIに"初見の問題"を解かせてみることです。過去のデータを前半と後半に分けて、前半だけでAIを学ばせる。そして、まだ見ていない後半の期間でも成績が保たれるかを確かめる。専門的には「アウトオブサンプル検証」と呼びますが、要は"試験範囲の外"でも通用するかのテスト、ですね。もう一歩ていねいにやるなら、時期を少しずつずらしながら「学ばせる → 次の期間で試す」を何度も繰り返すウォークフォワード分析という方法もあります。
判定はシンプルです。学習した期間では絶好調なのに、初見の期間で崩れるなら、過学習の赤信号。両方でそこそこ保てるなら、本物に近い。それだけのことなんです。
私のEAも、まさにこうして"学習に使っていない期間"での成績を確かめたうえで公開しています。
そこで崩れてしまうものは、どれだけバックテストが綺麗でも、私は世に出しません。
これから、EAとAIはどうなっていくのか
ここで少し、未来の話もさせてください。ここからは私の勝手な想像ですが——AIは、これからも賢く、速く、そして安くなっていくはずです。今日「生成AIはリアルタイムの売買には向かない」と書きましたが、その理由のほとんどは"今の"技術的な制約にすぎません。数年後には、その壁がずいぶん低くなっているかもしれない。「ChatGPTが判断するEA」が笑い話ではなくなる日も、案外来るのかもしれません。
ただ、それでも私は、「AIが相場を完璧に当てる水晶玉になる」日は来ないと思っています。相場は、過去のパターンがそのまま未来まで続いてくれる世界ではないからです。しかも厄介なことに、皆が同じAIで同じ手を打てば、その手はいずれ効かなくなる。どれだけAIが進化しても、過学習という落とし穴と、"未来は過去の続きではない"という壁だけは、たぶん残り続けます。
だからEAの世界も、こんなふうに変わっていく気がします。機械学習を使うこと自体は、どんどん当たり前になる。やがて「AI搭載」は特別な売り文句ではなくなって、代わりに問われるのは——そのAIをどれだけ誠実に使い、リスクをどう管理しているか。看板ではなく、中身と姿勢。少し地味ですが、私はそう予想しています。
そして、もうひとつ。AIが賢くなって得をするのは、EAを"作る側""売る側"だけではありません。買う私たちの側も、同じだけAIを味方にできる。販売ページの数字を自分のAIに読ませて、厳しく問い詰める——そんな"目利きの道具"が、これからもっと手軽に、もっと賢くなっていく。売り手と買い手の両方に、同じ武器が渡る。私はそれを、けっこうフェアで健全な未来だと思っています。
最後に
先ほどお話しした私のEA「Mikazuki USDJPY」も、まさにこの機械学習型です。だから「AIなんて飾りだ」と切り捨てる立場ではありません。むしろ、本気で使っている側です。
でも、使っているからこそ、その限界(過学習しやすいこと)が怖い。だから私は、自分のEAですら、別のAIに診断させて、粗を探させています。前回配布した診断プロンプトは、まさにそのために作ったものです。
AIは、魔法のツールではありません。でも、限界を理解して使えば、確かに役に立つ"精密な道具"です。盲信もせず、全否定もせず——そういう距離感で付き合うのが、私にはちょうどいいと思っています。
これはさっきの"未来の話"とも繋がるのですが、最後に見るべきところは、たぶんこの先も変わりません。「AIかどうか」より、「中身とリスク」。損失に上限はあるか、バックテストの条件は現実的か、実運用の記録はあるか。看板の四文字ではなく、こういう地味なところで判断する。「AIだから凄い」で思考を止めないことが、一番の自衛策だと思います。
もし「自分の検討中のEAは、どっちのAIなんだろう?」と気になったら、前回の診断プロンプトを使って、一度チェックしてみてください。案外、看板と中身が違うことに気づけるかもしれません。
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Mikazuki USDJPYの詳しい内容や、実運用の成績はこちら
https://www.gogojungle.co.jp/systemtrade/fx/79530