仮想通貨相場分析【5月19日】
市場概況と主要暗号資産(仮想通貨)の動向
現在の金融市場は、イラン情勢に関するトランプ政権の予測不能かつ分裂症的なソーシャルメディア上での発言に振り回され、困惑している様子が見て取れます。地政学的リスクへの懸念は燻るものの、具体的な進展があまり見られなかったことから、週明けの市場は方向感を欠く展開となりました。
米国の株式市場では、S&P 500がプラス0.3%、ナスダック100がプラス0.2%と、月曜日の取引を小幅な上昇で終えています。その一方で、暗号資産(仮想通貨)関連セクターは全体的に元気がなく、概ね横ばいか軟調な推移となりました。
先週金曜日から始まった下落局面の波は依然として続いており、市場全体の重荷となっています。暗号資産の王様であるビットコイン(BTC)は月曜日に一段と下落幅を拡大し、心理的節目であった7万7000ドルを割り込みました。
ビットコイン日足チャート
これに連鎖する形で、イーサリアム(ETH)も2.0%以上の下落を記録して2135ドルまで値を下げています。その他の主要なアルトコイン銘柄も、例外なく一斉に連れ安となる厳しい展開を迎えました。
イーサリアム日足チャート
伝統的金融(TradFi)の分野に目を向けると、業界を前進させる重要な規制上の動きがありました。デジタル資産大手のGalaxyデジタルが、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)から待望の「ビットライセンス(BitLicense)」を取得したのです。これにより、同社は規制の厳しいニューヨーク州において公式に暗号資産事業を運営する法的許可を得たことになります。
また、現物ETFの展開を巡る動きも活発です。資産運用大手のVanEck(ヴァンエック)とGrayscale(グレースケール)は、それぞれが申請中である「現物BNB ETF」について、新たな修正案を米証券取引委員会(SEC)へ提出しました。特にVanEckによる修正案の提出は今回で5回目を数えており、当局であるSECとの間で非常に前向きかつ積極的な対話(ディスカッション)が行われている舞台裏が浮き彫りになっています。
分散型金融(DeFi)の分野でも、画期的なイノベーションが誕生しました。分散型取引所(DEX)のHyperliquid(ハイパーリキッド)上で、Trade.xyzが宇宙企業SpaceX(スペースX)を対象とした、初となる「IPO前(未公開株)無期限先物市場」を開設したのです。この市場では、SpaceXの基準評価額が1兆7800億ドル(約260兆円規模)に設定されました。
この驚きのニュースが刺激となり、Hyperliquidのガバナンストークンである「HYPE」は一時7%も急上昇しました。これまで投資機会が限られていた未公開株(IPO前銘柄)をオンチェーンのデリバティブとして扱う試みは、今や一過性のブームを超え、市場における「本格的な主要商品カテゴリー」としての地位を確立しつつあります。
さらにDeFiセクター全体(プラス3.1%)としても、この日は市場の中で一際目立つ強さを見せました。ただし、その力強い牽引役となったのは、ほぼ完全にRWA(現実資産)トークン化分野をリードするOndo Finance(ONDO)の独壇場でした。
ONDOは終値ベースで約11%もの大幅高を記録。特に取引終了間際の最後の4時間において猛烈な買いが集まり、他の主要なDeFi銘柄を決定的に引き離す圧倒的な独走状態を見せつけました。
この急騰の直接的なきっかけとなったのが、ブルームバーグ(Bloomberg)が報じた「SECによるトークン化市場に関する前向きな報道」です。Ondo社は、トークン化された資産·株式市場においてすでに大きなシェアを占めています。同社は先手を打つ形で、4月の段階でSECに対して「ノーアクションレター(法令適用事前確認手続=法的に処罰しないことを求める要望書)」を提出済みです。
さらに、今後のロードマップも非常に強力です。きたる7月には、世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)や、金融大手のゴールドマン·サックス(Goldman Sachs)といった世界トップの機関投資家たちと共に、米国証券集中保管機関(DTCC)のコンソーシアム(共同体)内部において、実運用でのトランザクション(取引)を開始する予定であることが明らかになっています。
ビットコイン関連の重要トピックス
■ 2028年に向けた日本国内の「暗号資産大ブーム」到来の予兆
日本国内の伝統的な大手金融機関の間で、地殻変動が起きつつあります。米国で承認され巨額の資金が流入している「ビットコインETF」や「イーサリアムETF」を含めた、仮想通貨投資信託(暗号資産関連の投資商品)の一般販売を前向きに検討する証券会社が、続々と名乗りを上げています。
すでに具体的な販売へと舵を切っている、あるいは非常に前向きな姿勢を示している企業は以下の通りです。
実際の販売·取扱:
SBI証券、楽天証券
現在導入を本格検討中:
野村證券、大和証券、SMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン·スタンレー証券、松井証券、マネックス証券、三菱UFJ eスマート証券、岡三証券、東海東京証券、岩井コスモ証券
これまで暗号資産に対して慎重だった日本の金融界ですが、主要な対面型·ネット証券がこれほど網羅的に検討を開始したことは、数年後の日本国内における投資ラッシュを強く予感させます。
■ 「ビットコイン·ピザ·デー」の歴史:1万BTCでピザ2枚が買えた日
今から数年前の歴史的な出来事です。プログラマーのラズロ·ハニエツ氏が、暗号資産の黎明期にオンラインフォーラム「Bitcointalk」へ行ったある書き込みが、ビットコイン史上初となる「現実世界での商業決済(取引)」の第一歩となりました。
当時、彼はわずかピザ2枚(パパ·ジョンズのピザ)を手に入れるために、1万BTCを支払ったのです。時が流れた現在、その時支払われた1万BTCの価値は、計算すると実に7億6700万ドル(数千億円)以上の巨額な資産価値にまで膨れ上がっています。暗号資産の持つ爆発的な成長力を物語る、最も有名な逸話です。
■ アーサー·ヘイズ氏、BTCの長期目標価格を50万ドルから12.5万ドルへ大幅下方修正
暗号資産取引所BitMEXの共同創設者である著名投資家アーサー·ヘイズ氏が、ビットコインの将来的な目標価格を、これまでの「50万ドル」という超強気な予測から「12.5万ドル」へと大きく引き下げ、市場の注目を集めています。その論理的な背景は以下の通りです。
- 「人工知能(AI)の進化と生産性向上」のスピードが市場の想定を遥かに上回って強力である。
- その結果、世界中の中央銀行がどれだけ「お金を大量に印刷(金融緩和)」したとしても、AIによる供給能力の拡大が相殺するため、インフレが思ったほど引き起こされない可能性がある。
- つまり、ビットコインが50万ドルまで暴騰する原動力となるはずだった「超インフレ(通貨価値の崩壊)」が起きにくくなるため、現実的な着地点として目標価格を12.5万ドルに再設定した。
これは決してビットコインの未来を悲観しているわけではなく、AIの進化という新しいマクロ経済の変数を考慮した上での現実的な修正と言えます。
■ マイケル·セイラー氏の主張「ビットコインは人類史上、最も優れた資本の形態である」
米マイクロストラテジー(MicroStrategy)社の会長であり、世界最大のビットコイン保有者の一人であるマイケル·セイラー氏は、ビットコインへの揺るぎない絶対的な信頼を改めて語りました。
同氏の主張によると、歴史的に「金(ゴールド)」はかつて地球上で最も優れた携帯可能な資本(資産)として機能していましたが、スピードとデジタル化が求められる現代のグローバル経済においては、移動や保管にコストがかかりすぎ、動きが遅すぎます。これに対し、ビットコインはまさに「デジタル化された21世紀のゴールド」であり、国境を越えて何百億、何兆円もの大量の資本を瞬時に、かつ最も効率的に移動させることができる唯一無二のインフラであると主張しています。
先般も市場に対して「資産を売るくらいなら、ビットコインを買え」という強烈なメッセージを発信したばかりですが、言葉だけでなく行動でもそれを示しています。直近でも、さらに535BTC(約4340万ドル=約60億円相当)を市場から追加で購入したことを公表しました。
■ イラン政府による制裁回避の切り札、BTC決済型·海上保険プラットフォーム「ホルムズ·セーフ」
地政学的な対立が続く中、イラン政府は国際貿易の要所であるホルムズ海峡を通過する海運会社を対象とした、ビットコインで決済を行う革新的な海上保険プラットフォーム「ホルムズ·セーフ(Hormuz Safe)」を立ち上げました。
この画期的なプラットフォームの導入により、世界の海上保険会社や船舶の運航会社は、ビットコインを媒介にして保険契約の引受(加入)や、万が一の際の保険金決済を完結させることが可能になります。紛争リスクが高く、世界中の原油輸送の生命線であるホルムズ海峡という重要な海上回廊のリスク管理において、暗号資産が実需決済として広く採用される非常に大きな事例となります。
ただし、この先進的な試みは極めて大きな逆風や障壁にも直面しています。最大の問題は、これが「国際的にどこまで広く認知され、受け入れられるか」が依然として不透明な点です。
さらに決定的なリスクとして、このプラットフォームはイラン政府との金融取引を円滑化させる仕組みであるため、イランと関わる世界中の企業や金融機関を狙い撃ちにする「米国の二次制裁(セカンダリー·サンクション)」の対象となる危険性を完全にはらんでいます。それでもなお、今回のプラットフォーム立ち上げは、国際社会からの金融制裁を潜り抜ける強力な手段として、イランが暗号資産を国家の重要な経済インフラへ本格的に組み込もうとしている明確な国家戦略の現れです。
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